column デマー・デローザン フットワーク

Published on 9月 10th, 2017 | by Tunaパスタ

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ベスト・オブ・NBA:デマー・デローザンのフットワーク

トロント・ラプターズのオールスターSG、デマー・デローザンにとって、2016-17シーズンはスコアラーとしてさらなる躍進を遂げた1年となった。

昨季のデローザンは、74試合の出場でFG成功率46.7%から昨季リーグ5位かつ自己キャリアベストとなる27.3得点を平均。最近のガード/ウィング選手にとってマストスキルとなりつつあるスリーポイントショットが苦手だが、ポストアップアイソレーションプルアップ・ショットでの得点力では、ポジションを問わずいずれもNBAトップクラスを記録しており、リーグ屈指のスコアラーであることは間違いない。

▼デローザンの2016-17ショットチャート

デマー・デローザン 2016-17ショットチャート

そんなデローザンの得点力を支えているのが抜群のフットワークテクニックだ。特に、サイドステップでのセパレーションから放つジャンプショットは、阻止するのが極めて困難なシグネチャームーブの一つになりつつある。

フロアスペーシングとペースの向上が重要視される近年のリーグで、3Pラインとペイントエリアの間を縄張りとするアイソレーションヘビーなプレイスタイルは時代遅れなどと厳しい評価を受けることもあるが、本人はまったく気にしていない。デローザンは自身が必要だと考えるスキルを磨き続け、毎年のように選手として“頭打ち”だと思われながらも、毎年のように成長し、否定派たちを黙らせてきた。

「僕はとても反抗的な人間だ。誰かに『できない』と言われれば、できるということを証明するためだけにやってみせる。面白いのは、僕のプレイを見た人たちが『ミドルレンジ・ゲームはまだ死んでいない』と言う時だね。僕がどんな風にバスケットボールをプレイすべきかなんて、誰にも決めさせない。どんなスタイルであれ、ちゃんと仕事をこなせるかどうか。大切なのはそれだけだ」
– デマー・デローザン

デローザンのフットワークは、ジャンプショットの際にスペースを作り出すためだけでなく、ファーストブレイクやドライブからのユーロステップにも活かされている。

デローザンのフットワークは、ライバルたちからの評価も非常に高い。昨季の11月にラプターズとウォリアーズが対戦した際には、ケビン・デュラントが「これほど素晴らしいフットワークを見たのは久しぶり」と絶賛。8月に出演したポッドキャスト番組『The Bill Simmons Podcast』でも、「最近はデローザンから(フットワークを)学ぼうとしている」とデローザンのユニークさを熱弁した。

「スコアリングの面でいえば、僕はあらゆるエリアから点を取る手段、コート上のあらゆるスポットからショットを決めるスキルを習得していると思う。僕のムーブの話ではなく、単純にショットを決めるという意味でね。次の課題は、どれだけ多くのコンビネーションスキルを習得できるかだ。トリプル・ムーブやフットワークなど、学ぶべきことはたくさんあるよ。フットワークと言えばデマー・デローザンだね。彼ほど素晴らしいフットワークを持った選手を見るのは本当に久しぶりだ。どんな風に動いているのか理解するため、彼のプレイをたくさん見るようにしている」

「まずデマーは僕よりも遥かにアスレチックな選手なので、体の動かし方が違う。ただ彼の緩急のつけ方は実に素晴らしいよ。あのフットワークを学びたいから、最近は特に彼を研究をしている。注目しているのは体と足の動かし方だ。僕にとって上達の余地があるのはその部分だと思う。サイズや身体能力だけでなく、フットワークも駆使しながらディフェンスを翻弄する。そのレベルにはまだほど遠いが、それが僕の次のステップだ」
– ケビン・デュラント

▼コービーを彷彿とさせるポンプフェイクからのステップスルー

ステップバック・ジャンプショットを打つと見せかけて、ポンプフェイクで浮かせたディフェンダーをピボットでかわし、ソフトタッチなフローターを決める。ディフェンスが面白いようにこのムーブに引っかかるのは、デローザンの強力なミドルレンジショットがあるからこそだ。

デローザンは、これらすべてのスキルを地道な努力によって自分の物にしてきた。若手の頃は「身体能力とダンクのみの選手」などと言われていたが、ミドルレンジを強化してプレイの幅を広げ、次にディフェンスのボールディナイが厳しくなれば、自らドリブルで攻められるようにボールハンドリング力を向上。さらに小さなディフェンダーに対するポストアップ、大きなディフェンダーに対するステップバック・ジャンパーなど、ミスマッチを的確にアタックするスキルを習得し、最近ではダブルチームのさばき方も上手くなっている。

デローザンの努力家ぶりは、NBA選手の中でも特に有名だ。ESPNによると、リオ五輪の開催期間中にも必ず毎朝5時30分までに起床し、チームUSAが宿泊施設として使用していた豪華客船の中をランニングするなどワークアウトに励んでいたらしい。

またデローザンはフィジカルなトレーニングだけでなく、フィルムスタディーにも熱心で、若手だった頃から大晦日の夜でもパーティーに行かずに自宅に籠り、試合の映像を研究しながら自身のプレイにダメ出ししていたという。

「THE MATRIX(映画)の主人公ネオと同じだ。たくさんフィルムを見て、たくさん勉強する。あらゆる角度から、すべてのディフェンス戦略、すべての対戦相手に関してね。必ず試合の前は、僕をガードするであろう選手がビッグなのかスモールなのかを確認する。そうやってメンタル面を真剣に準備すれば、プレイした時に違いが現れるんだ」
– デマー・デローザン

デローザンは、今年のオフシーズンも早くからプロアマリーグの試合に参加するなど、バスケットボール活動に熱心だ。オフェンス面での唯一の弱点であるロングレンジショット(キャリア3P成功率28.1%)の向上にも取り組んでいるらしく、7月末にはインスタグラムのストーリーで「700本中450本のスリーを決めた」と特訓の様子をシェアしていた。

「選手として、リーダーとして成長を続け、常に限界に挑んでいく。去年の自分の弱点を理解して、今年はさらに成長して戻ってくる」
– デマー・デローザン

来季以降もデローザンのさらなる躍進に期待したい。

Image by Keith Allison

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いつもたくさんのコメントをありがとうございます。最近、返信が遅くなっており、申し訳ありません…



  • ゆうき

    デローザンの次の課題はプレイオフでの活躍ですね。レギュラーシーズンと同様の活躍が出来れば文句はないです(*`・ω・)だんだんフットワークはコービの域まで近づいてますね。ただデローザンの動画を見たあとにコービーのフットワークをみるとやっぱコービーのヤバさが分かりますね(。>д<)

  • nino

    ほぼ2PのみでTS% .552ですから、3Pが向上すれば恐ろしい選手になると思います
    逆に向上しないとこれだけ素晴らしいスキルがあっても得点効率では大したことないということではありますが。

    あと、毎年プレイオフでスタッツを落とす傾向にあるのも気がかりなところです。
    どう解決したらよいものか……

  • 龍 辰巳

    ミドルレンジも満足に決まらない頃から彼を見ているので、一昨年あたりからのエリートスコアラーぶりには個人的に感慨深いものがあります。年齢的には全盛期に差し掛かるので、これからも貴重なフランチャイズプレーヤーとして、リーグを面白くしてほしいですね。

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