ドラフト順位別に見る歴代NBAトップスコアラー: 31位~60位指名
「ドラフト順位別に見る歴代NBAトップスコアラー: 1位~30位指名」の続き。ドラフト31位から60位(2巡目)のそれぞれの指名順位でどの選手がスコアリングリーダーなのか?
ドラフト2巡目指名権はトレードの微調整などに使われる場合が多く、スタータークラスのプレイヤーどころかロスターに入る選手を獲得するのも難しい。だがごく稀ではあるが、デニス・ロッドマンやマヌ・ジノビリ、ドレイモンド・グリーンなどダイナスティのコアメンバーとなるオールスターを排出することもある。
31位~60位
31位指名:ダニー・エインジ
通算1万3866点
- レギュラーシーズン:1万1964点
- プレイオフ:1902点
80年代セルティックスの一員として2度のリーグ制覇に大貢献した。エインジは1979年に導入されたばかりだったスリーポイントショットを積極的に活用した最初の選手の一人で、セルティックス在籍中(7シーズン)のスリー成功率では、当時の平均を大幅に上回る38.6%を記録。1980年代のNBAで1シーズンに4本以上の3Pアテンプト数を平均したことがあるのは、エインジの他に4選手しかいない。
エインジはバスケだけでなく野球でもプロになった選手で、NBAに入る前は内野手としてMLBのトロント・ブルージェイズでプレイ。現在はセルティックスのGMとして手腕を振るっている。
他の31位指名:ギルバート・アリーナス(1万1932点)
32位指名:ラシャード・ルイス
通算1万6771点
- レギュラーシーズン:1万5579点
- プレイオフ:1192点
ルイスはキャリア16シーズンで3P成功率38.6%を記録した優秀なシューターで、2005年と2009年にオールスターゲームに出場。2012-13シーズンには、ビッグ3のマイアミ・ヒートの一員として初優勝を果たした。
33位指名:ボブ・ラブ
通算1万4971点
- レギュラーシーズン:1万3895点
- プレイオフ:1076点
1970年代前半にシカゴ・ブルズで活躍したフォワード。デビューから最初3シーズンは6得点前後を平均するだけだったが、ブルズに移籍したキャリア4シーズン目に大ブレイクし、その後の6シーズン連続で平均20得点以上を記録した。オールスターに3回、オールNBAチームに2回選出されている。
34位指名:ノーム・ヴァン・ライアー
通算9300点
- レギュラーシーズン:8770点
- プレイオフ:530点
1970年代シカゴ・ブルズのポイントガード。1970-71シーズンにアシスト王を獲得した他、守備にも優れた選手で、キャリア11年で8回のオール・ディフェンシブ・チーム入りを果たした。
35位指名:カルロス・ブーザー
通算1万5396点
- レギュラーシーズン:1万3976点
- プレイオフ:1420点
ブーザーはキャリア13シーズンで16.2得点、9.5リバウンドを平均。特にユタ・ジャズ時代にはデロン・ウィリアムズのパートナーとしてオールスター級のパフォーマンスを見せ、2006~2008年の2シーズンで平均20得点/10リバウンドを記録した。また2008年の北京五輪では、チームUSAの一員として金メダルを獲得している。
なお近年の35位指名はなかなかの豊作で、2008年のディアンドレ・ジョーダン、2012年のドレイモンド・グリーンと、オールスターを2人輩出している。
36位指名:クリフ・ロビンソン
通算2万1044点
- レギュラーシーズン:1万9591点
- プレイオフ:1453点
1993年のシックスマン賞受賞者。40歳になるまでの18シーズンをブレイザーズやサンズをはじめとした5チームでプレイし、通算得点では歴代47位となっている。
37位指名:ニック・ヴァン・エクセル
通算1万3690点
- レギュラーシーズン:1万2658点
- プレイオフ:1032点
ブラデ・ディバッツと共に、「Showtime」時代と「コービー/シャック」時代の間のレイカーズを支えたポイントガード。1998年にオールスターに選ばれた。
38位指名:メメット・オカー
通算9137点
- レギュラーシーズン:8561点
- プレイオフ:576点
スリーポイントショットが得意だったトルコ出身のビッグ。00年代としては珍しいタイプのセンターで、今の時代ならストレッチビッグとしてもっと重宝されていたかもしれない。
▼オカーはクラッチタイムにも強かった
39位指名:ケビン・ポーター
通算8008点
- レギュラーシーズン:7645点
- プレイオフ:363点
70年代~80年代序盤のウィザーズ(当時ブレッツ)やピストンズで活躍したポイントガード。キャリア10シーズン中4シーズンでリーグのアシスト王に輝いている。
40位指名:ジョージ・ガービン
通算2万2300点
- レギュラーシーズン:2万0708点
- プレイオフ:1592点
「アイスマン」と呼ばれた1970~80年代スパーズのフランチャイズスター。33.1得点を平均した1979-80シーズンを含め合計4回の得点王に輝き、9回のオールスターゲーム出場を果たした(1980年にオールスターMVP)。 1987年に背番号「44」がスパーズの永久欠番になり、さらに1996年にバスケットボール殿堂入りしている。
他の40位指名:モンタ・エリス(1万5379点)
41位指名:カッティノ・モブリー
通算1万2297点
- レギュラーシーズン:1万1964点
- プレイオフ:333点
00年代前半のロケッツで、スリーに強いSGとして活躍。スティーブ・フランシスとのバックコートコンビは得点力抜群だった。
最近では、デンバー・ナゲッツが41位指名で大当たりを引いている(2014年のニコラ・ヨキッチ)。
42位指名:スティーブン・ジャクソン
通算1万3979点
- レギュラーシーズン:1万2976点
- プレイオフ:1003点
2002-03シーズンにスパーズの先発ウィングとしてチームのリーグ制覇に貢献。その後はペイサーズやウォリアーズ(「We Believe」)で活躍した。
43位指名:マイケル・レッド
通算1万2256点
- レギュラーシーズン:1万1972点
- プレイオフ:284点
2000年のNBAデビューから4年目の2003-04シーズンに大ブレイクし、その年のオールスターとオールNBAチームに輝いた00年代バックスの生え抜きのスター選手。「左利きのレイ・アレン」と言えるような得点力の高いシューティングガードで、最大の武器はクイックリリースから放たれるスリーポイントショットと、ポストアップからのターンアラウンド・フェイダウェイ。2006年にはバックスの球団史上最多となる57得点を記録している。
さらに2008年にはアメリカ代表として北京五輪で金メダルを獲得。だがその後、左足の前十字靭帯と膝内側側副靱帯の断裂を2度も経験し、選手生命が短くなってしまった。
44位指名:マリック・ローズ
通算5509点
- レギュラーシーズン:5003点
- プレイオフ:506点
1999年と2003年にスパーズの優勝に貢献。10得点以上を平均したのはキャリア15年で1度きりだが、ベンチスタートのビッグマンとして長年リーグで活躍した。
45位指名:ボブ・ダンドリッジ
通算1万7497点
レギュラーシーズン:1万5530点
プレイオフ:1967点
ダンドリッジは1970年代のバックスとブレッツ(現ウィザーズ)でそれぞれ1回ずつ優勝を経験。キャリア13シーズンでオールスターに4回選出された。
近年の45位指名からは、ゴラン・ドラギッチがオールスターに選ばれている。
46位指名:ジェフ・ホーナセック
通算1万7751点
- レギュラーシーズン:1万5659点
- プレイオフ:2092点
1980年代後半から90年代のフェニックス・サンズとユタ・ジャズでシューティングガードとして活躍。キャリア3P成功率で40%以上を記録した優秀なシューターで、自己ベストの1991-92シーズンには20.1得点、スリー成功率43.9%を平均し、その年のオールスターに選ばれている。
ホーナセックは1997年と1998年にジャズの一員として2年連続ファイナル進出を達成したが、どちらの年もジョーダンのブルズに優勝を阻まれた。
47位指名:ポール・ミルサップ
通算1万3601点
- レギュラーシーズン:1万2445点
- プレイオフ:730点
スコアリングだけでなく、ディフェンスやリバウンド、さらにカットやスクリーンのセットなどオフボールの仕事まで何でもハイレベルにこなせるオールラウンド・ビッグマン。ホークス在籍中は4シーズン連続でオールスターに選出された。
48位指名:マーク・ガソル
通算1万1863点
- レギュラーシーズン:1万0850点
- プレイオフ:1013点
来季でデビュー11年目となるマーク・ガソルは、通算得点、ディフェンス・リバウンド、出場時間数、FG成功数でグリズリーズの球団記録を保持。兄のパウがオフェンス力の強いオールラウンドセンターだったのに対し、弟のマークはディフェンス力の高いオールラウンダーで、2013年にはDPOYを受賞した。また近年はスリーポイントショットも打てるようになり、さらにプレイの幅が広がっている。
なおマークは、2008年のレイカーズとグリズリーズのトレードで、兄パウと入れ替わりでメンフィスにやってきた選手(※レイカーズはクワミ・ブラウン、ジャバリス・クリッテントン、アーロン・マッキーの契約権、ドラフト1巡目指名権2つ、マーク・ガソルのドラフト権利を放出して、グリズリーズからパウ・ガソルとドラフト2巡目指名権を獲得)。当時は「あまりにもレイカーズに有利なトレードだ」としてメディアやリーグ関係者から多くの批判が上がったが、10年経った今では、ウィンウィンなトレードだったと言える。
49位指名:エドワード・ジョンソン
通算1万0605点
- レギュラーシーズン:1万0163点
- プレイオフ:442点
80年代のホークスで活躍したシューティングガード。キャリア10シーズンで2回のオールスター、2回のオール・ディフェンシブ・チーム選出を果たした。
50位指名:ラリー・ケノン
通算9036点
- レギュラーシーズン:8535点
- プレイオフ:501点
ジョージ・ガービンと共に70年代後半のスパーズを牽引したフォワード。1976年にNBA史上最多記録となる11スティール(1試合)を記録し、1978年と79年にオールスターに選ばれた。
51位指名:カイル・コーバー
通算1万2051点
- レギュラーシーズン:1万0967点
- プレイオフ:1084点
コーバーは歴代屈指のスリーポイントシューターの一人で、キャリア3P成功率は43.1%(歴代6位)。レギュラーシーズンの通算スリー成功数では歴代4位の2213本を記録している。
52位指名:スティーブ・クベルスキ
通算3399点
- レギュラーシーズン:3114点
- プレイオフ:285点
1970年代前半のセルティックスの一員として2度の優勝を達成。
53位指名:アンソニー・メイソン
通算1万0565点
- レギュラーシーズン:9656点
- プレイオフ:909点
メイソンはタフネスとオールラウンドさを武器に息の長いキャリアを送ったフォワード選手。1995年のシックスマン賞を受賞し、キャリアベストの1996-97シーズンには16.2得点、11.4リバウンド、5.7アシストを平均してオールNBAチームに選出された。
54位指名:サム・ミッチェル
通算8903点
- レギュラーシーズン:8636点
- プレイオフ:267点
ミッチェルはキャリア13シーズンで8.7得点を平均。引退後はバックスやラプターズのヘッドコーチを歴任し、2007年にコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
55位指名:パティ・ミルズ
通算4853点
- レギュラーシーズン:4283点
- プレイオフ:570点
スリーポイントショットと“すっぽん”のようなフルコートディフェンスが印象的なオーストラリア出身のガード。2014年にはスパーズのバックアップPGとしてチームの優勝に大貢献した。
今夏はトニー・パーカー、カワイ・レナード、ダニー・グリーンがチームを離れ、マヌ・ジノビリの去就次第では、ミルズがスパーズで最も在籍期間が長い選手になる。
56位指名:ルイス・スコラ
通算9291点
- レギュラーシーズン:8882点
- プレイオフ:409点
スコラは2004年アテネ五輪で金メダルを勝ち取ったアルゼンチン黄金世代のメンバー。NBAでのキャリアハイは、2010年3月のネッツ戦で記録した44得点だ(FG25本中20本成功!)。
57位指名:マヌ・ジノビリ
通算1万7097点
- レギュラーシーズン:1万4043点
- プレイオフ:3054点
キャリア16シーズンでスパーズ一筋を貫いてきたジノビリは、現在スリー成功数とスティール数で球団歴代1位。スター級の実力を持ちながらも、キャリアを通してシックスマンの役割に徹し、ティム・ダンカン、トニー・パーカーと共に4回のリーグ制覇を成し遂げた。またアルゼンチン代表として2004年のオリンピックで金メダルを獲得しており、将来のバスケットボール殿堂入りがほぼ確実視されている。
あと1年だけでも現役を続けてくれ!
▼ボールフェイクの達人
58位指名:ヘンリー・ビビー
通算6341点
- レギュラーシーズン:5775点
- プレイオフ:566点
ヘンリー・ビビーは2000年代サクラメント・キングスで活躍したマイク・ビビーの父親。ルーキーシーズンだった1973年にウィルト・フレイジャー率いるニューヨーク・ニックスの一員として優勝した。
59位指名:パット・カミングス
通算6689点
- レギュラーシーズン:6529点
- プレイオフ:160点
1979-80から1990-91までの12シーズンを5チームでプレイ。全盛期だった1984-85シーズンには平均15.8得点、8.2リバウンドの好成績を残した。
60位指名:アイザイア・トーマス
通算9487点
- レギュラーシーズン:8923点
- プレイオフ:564点
身長差のデメリットをスピードとテクニック、精神力でカバーし、ボストン・セルティックスに移籍した2015年に大ブレイク。特に2016-17シーズンのトーマスは、リーグ3位の28.9得点を平均し、シーズンMVPレースで5位の票数を獲得している。
2017プレイオフでは、自身の怪我や身内の不幸など数々の逆境に見舞われながらも、カンファレンスセミファイナル第2戦で球団プレイオフ史上最多2位の53得点を記録するなどスーパースターレベルのパフォーマンスを見せ、セルティックスを5年ぶりのカンファレンスファイナルへと導き、フロアに立つのが肉体的に不可能になるまで戦い続けた。
2017-18シーズンは怪我やトレードの影響で大きく躓いてしまったが、完全復活を遂げるであろう来季に期待。
Image by Michael Tipton
参考記事:「Hoops Hype」