NBA選手たちが「レブロンを侮辱」したトランプ大統領に怒り
NBA関係者たちがトランプ大統領に対して次々と怒りの声を上げている。
発端となったのは、CNNが現地3日に放送したレブロン・ジェイムスのインタビュー。そこでレブロンは、自身が先月に生まれ故郷のアクロンに創設した公立学校「The I Promise School」について話した他、アメリカが抱える人種問題にも触れ、「(トランプ大統領が)国を分断させようとしている」と強いコメントを残した。
「大統領はスポーツを利用してアメリカを分断しようとした。まったく理解できないよ。なぜなら、僕が初めて白人の人たちと交流したのはスポーツがきっかけだから。スポーツを通じて僕は彼らについて学び、同じく彼らも僕について学んだ。そして僕たちはとても良い友達になったんだ。その時に僕は『これはスポーツのおかげなんだ』と感じた。昔からスポーツは、人を分断するものではなく、人を結び付けるものだった」
– レブロン・ジェイムス
すると同日、番組を見たらしいトランプ大統領は、インタビュアーを務めたCNNのDon Lemonとレブロンを侮辱する内容のツイートを発信。
「レブロン・ジェイムスがテレビ界で最も頭の悪い男、Don Lemonからインタビューを受けていた。彼のせいでレブロンが知的に見えたよ。それは容易なことではない。私はマイク(ジョーダン)が好きだ!」
– ドナルド・トランプ
まるで匿名をいいことに有名人たちに暴言を吐いてしまう“キッズ”のようなツイート。最初に批判を仕掛けたのはレブロンかもしれないが、それでも一国のトップが公の場で国民に向ける発言としては幼稚すぎる気がする。
このトランプ大統領の不謹慎なツイートに対し、NBAでは関係者たちが一致団結。現役選手や歴代レジェンドたちが、時には語気を強めながら、SNSやメディアを通してレブロン支持やトランプ批判のメッセージを出した。
「確認させてくれ。ミシガン州のフリント市は今でも水道水汚染の問題を抱えている。それにもかかわらず、あなた(トランプ)は生まれ故郷の教育や子供たちのために慈善を行っている男のインタビューを懸念しているのか?もう黙ってろよ!Twitterを止め、ペンを握って国のためになることをやってくれ」
– カール・アンソニー・タウンズ
https://twitter.com/spidadmitchell/status/1025719952739844098
「他人を攻撃することで安心を得ようとするのは、精神が不安定で自分に自信がない人間の証。子供たちがその馬鹿げたツイートを見て、自分たちも同じことをやっても大丈夫だと勘違いしてしまう。それが悲しいよ。ドナルド、あなたは子供たちに悪い手本を示している」
– ドノバン・ミッチェル
「お前にはうんざりだ!」
– ブラッドリー・ビール
「あのトランプのツイートについて。信じられないほど腹が立っている。異議を唱えたという理由で、それぞれの分野で成功を収めた黒人2人が馬鹿と呼ばれる。私の子供たちにはそんな世界で大人になってほしくない。レブロンは学校設立の活動で表彰されるべきで、侮辱されるべきではない」
– マット・バーンズ
「彼は罷免されるべき」
– ジャレッド・ダドリー
2018年アフリカ・ゲームのために南アフリカを訪問中だったNBAコミッショナーのアダム・シルバーは、今回の件についてすぐにレブロン支持の声明を発表:
「レブロン・ジェイムスは歴代屈指のNBAプレイヤーであり、最も成功を収めたアスリートの一人でもある。彼はこれまでに何百人もの生徒たちを大学へと送り、さらに恵まれない生徒たちのために学費や食費、交通費などを免除する公立学校をアクロンに創立したばかりだ。私は彼の知性やジネスへの眼識に感銘を覚え、同時に彼の行うコミュニティ活動に大きな敬意と感謝の気持ちを抱いている」
– アダム・シルバー
レブロンの新天地となるロサンゼルス・レイカーズは、オーナーのジーニー・バスのコメントとして「レブロンをレイカーズ・ファミリーに迎えることができ、この上なく誇りに思う」と公式サイトに掲載。またトランプ大統領が「好きだ!」とラブコールを送ったマイケル・ジョーダンも、「私はLJを支持する。彼はコミュニティのために素晴らしい活動をしている」という声明を出した。
さらには殿堂入りのレジェンドたちもレブロンを全力でサポート。
「レブロン・ジェイムスが夢を追い続け、学校設立を実現したことを誇りに思う。彼は子供たちとその家族がより良い生活を得られる手助けしている。すべて自費だ。その慈善活動を非難するのは恥ずべきことで、慈悲心に欠けている」
– ビル・ラッセル
「ドナルド・トランプはコミュニティについて理解できていない。レブロンの寛大さと彼の故郷を心配する気持ちを認められないのであればなおさらだ。レブロン、君の活動は最高だ!メラニア・トランプ、君は正しい」
– カリーム・アブドゥル・ジャバー
なおドナルド・トランプの妻であるファーストレディのメラニア大統領夫人は、レブロン支持の姿勢を明らかにしている。
メラニア夫人の広報担当者は同日、「レブロン・ジェイムスは次世代のために有意義な活動を行っているようだ。メラニア夫人は、子供たちが直面する問題について誰もがオープンに話し合うべきだ、と常に促している」と声明を発表。さらに、皮肉と言うかなんと言うか、広報担当者は夫人が「世界中の子供たちにオンラインでの素行の重要性について教える」活動に従事してきたことをアピールし、レブロンが創設した学校を訪問する考えがあることも明かした。
参考記事:「ESPN」