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2016 12 31

カワイ・レナードがフロアにいるとスパーズの失点が増えるのはなぜ?

カワイ・レナード, ディフェンス, 失点 6

立ち上がりの悪さなどいくつか問題を抱えながらも、今季32試合を終えた時点で26勝6敗と極めて優秀な成績を収めているポスト・ダンカン初年のサンアントニオ・スパーズ。上々なシーズン滑り出しだと言えるが、アドバンスド・スタッツを見ると、チームにやや不可解なことが起きている。昨季DPOYのカワイ・レナードがフロアにいると、なぜかスパーズは点を取られやすくなってしまうのだ。

今季のスパーズは、ディフェンシブレーティング(DefRtg: 100ポゼッションあたりの失点)でリーグ4位の101.5を記録中(12月30日現在)。これが、レナードがオンコートの時間帯だけを見ると、リーグワースト10位の105.2に膨れ上がる。反対に、レナードがベンチに下がれば、リーグダントツ最高レベルの94.2まで大幅に改善する。

つまり、レナードがラインアップにいると100ポゼッションあたり105点以上を奪われる守備の弱いチームとなり、レナードがいないラインアップでは100ポゼッションでの失点をわずか94点に抑えるエリートディフェンシブチームになるのだ(レナードのDefRtgはスパーズメインローテーションの中でワースト)。

ちなみに昨季スパーズのDefRtgはリーグトップの96.6。レナードがフロアにいた時間帯は、さらに優秀な数字(94.9)を記録していた。

レナードの出場時にチームの失点率が増えるというのは、これまでは絶対にありえなかったことだ。シーズン序盤でサンプルサイズが少ないことを考慮しても、何かが上手くいっていない証拠だろう。トニー・パーカーやパウ・ガソルなど守備が苦手な選手から、ダニー・グリーンやパティ・ミルズなど守備に強い選手まで、レナードとフロアをシェアした時間帯は例外なくディフェンシブレーティングが悪くなっている。

▼レナードOn/Off時のチームメイトのDefRtg

プレーヤー レナードON レナードOFF 違い
グリーン 104.5 84.2 -20.3
ガソル 106.6 100.9 -5.7
オルドリッジ 107.2 94.1 -13.1
パーカー 107.7 88.2 -19.5
ミルズ 103.6 90.8 -12.8
ジノビリ 111.6 92.4 -19.2

※上記は12月10日時点でのデータ

これらの数字だけを見ると、まるでレナードが足を引っ張っているかのようだ。実際のプレーを見る限り、レナードの守備力が大きく落ちたようにはまったく思えないので、どうしてこんな数字になってしまうのか正直わけが分からない。2年連続DPOYがフロアにいるのに、なぜチームのディフェンス力が下がってしまうのか?

この不可解な現象について、CBS Sportsのマット・ムーア記者がとても興味深い分析をしていたので、以下に紹介したい。


カワイソレーション


現地12月8日に行われたブルズ対スパーズ戦でのこと。ブルズは試合最初の10分50秒間でフィールドゴール成功率50%を記録し、先手を取った。その間、主にレナードがマークしたジミー・バトラーは、FG3本中0本成功の無得点と0アシスト。他のブルズの選手は、合計で17本中10本のFGを決めた。

エースがスロースタートも、チームメイトたちが代わりに点を取って序盤のリードを奪取。これだけだと、特筆するようなことでもなさそうだが、ブルズがどのように10本のFGを決めたかに注目すると、非常に面白いパターンが見える。ブルズがスコアした10回のポゼッションで、バトラーは1度もボールに触れていないのだ。それどころか、動きも最小限で、ほとんどプレーに関与しなかった。

以下は、ブルズ最初の得点ポゼッション。ボールではなく、バトラーに注目してほしい:

バトラーはコーナーに陣取って動かない。続く得点ポゼッションでも同じ:

さらに第2Qでも同じ。コーナーから動かず、チームメイトがショットを打つタイミングで上がっていく。

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ブルズは、このようにしてレナードをコーナーや3Pラインの外に縛りつけて、逆サイドで4対4や3対3を展開。この日は、試合を通して同じようなパターンが繰り返された。

もちろんバトラーがずっと端っこに突っ立っていたわけではない。何度かボールを持ってオフェンスを回そうとしていたが、この日はなかなかリズムを掴めず、FG14本中4本成功の13得点/3ターンオーバーに終わっている。それでもブルズは、不調だったバトラーがフロアにいた時間帯にオフェンシブレーティング(100ポゼッションあたりの得点)で107.4という非常に高い数字を記録した。

レナードがドウェイン・ウェイドにスイッチしたポゼッションでも、パターンは同じだった。今度はウェイドがウィークサイドの3Pライン外側で待機し、逆サイドでバトラーがアイソレーション。レナードはバトラーに気を取られ過ぎて、ウェイドにカットからのレイアップを許すというケアレスミスを犯してしまう。

クラッチタイムにも、ウェイドは画面から外れるほど深いコーナーで待機:

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ブルズは、レナードをアクションから遠ざけることで、守備へのインパクトをある程度無効化した。この戦略は、ウェイド/バトラーという強力なショットクリエーターが2人いるブルズだからこそ効果的なようにも思えるが、他チームとの対戦でもまったく同じパターンが何度も見られる。

以下はマジック戦での一部:

レナードは思い切ってヘルプに行けない:

スイッチすると、今度はエバン・フォーニエが動かなくなる:

ウィザーズ戦でも:

同じ:

ウルブズ戦でも、蚊帳の外にされ、何もやらせてもらえないポゼッションが何度もあった。

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レナードの影響力を最小限にするため、相手チームはあえて得点源の一人を外に立たせておとりに使い、4on4に持ち込める状況を作る。今季のスパーズはこの戦略に度々苦しめており、それでレナードがフロアにいる時間帯の守備の数字が悪くなっているのではないか、というのがマット・ムーア記者の指摘だ。

オフェンス側としては、4対4の方が幾分か攻めやすくなるだろう。ヘルプの数が減って、フロアスペースが広くなり、よりシンプルなオフェンスからの得点が容易になる。特に、相手のラインアップにピック&ロール守備が弱いパーカーやガソルのような選手がいるならなおさらだ。

ウィングプレーヤーをコーナーや3Pラインの外で頻繁にスポットアップさせるのは何も新しいことではなく、どのチームでもやっている。ただレナードがフロアにいる場合、マッチアップした選手が動かなくなる頻度が多いと、ムーア記者は見ている。

レナードのいるラインアップでスパーズの失点が増えるのはなぜなのか?多くのポゼッションで4on4に持ち込まれている、という分析も要因の一つだろう。

その一方で、レナードの守備自体も、昨季までと比べて、わずかながらフォーカスが落ちてしまっている部分があるかもしれない。リーグトップクラスのウィングディフェンダーであることには変わりはないが、今季はやや簡単にドライブやカットを許してしまうシーンもみられる。そして、レナードが抜かれてしまった時に、リムを死守してくれていたティム・ダンカンはもういない。

今季のレナードは、ディフェンシブFG%(守備時にマッチアップした相手選手の平均FG成功率)で46.3%を記録。ウィングディフェンダーにしてはやや高め(悪い)で、対戦相手はレナードにガードされた際に、ショットの成功率が通常よりも1.6%上がる。39.2%に抑えていた昨季に比べて、だいぶ落ちてしまった。

また、もう一つの謎は、レナードがOff時の数字だ。通常レナードがベンチに下がる時間帯は、相手チームのラインアップも得点力の低いベンチユニットなので、失点を防ぎやすくなるというのは当然あるだろう。それにスパーズのベンチには、ミルズやデッドモン、シモンズといった守備に強い選手がいる。

それでも、レナードがフロアにいる(今季通算1038分)のといない(498分)ので、100ポゼッションあたりの失点が11点も違ってくるというのは驚きだ。それだけレナードを隔離された際の4on4に苦しんでいるということなのだろうか?

ただ、いくらレナードが守備スタッツで好ましくない数字を出しているとはいえ、今季のスパーズは引き続きディフェンスでリーグ上位に位置しているので、それほど問題にするようなことでもないのかもしれない。そもそもDefRtgのようなアドバンスドスタッツは、個人の守備貢献度を正確に表すものではなく、特にシーズン前半のサンプルサイズが少ない状況ではノイズだらけで、説明のつかない奇妙な数字を出すものだ。実際に、12月10日時点でのレナードのDefRtgは、On106.3/Off91.5で14.8点の差があったが、その3週間後の現在ではOn105.2/Off94.2の-11.0点と徐々に良くなっている。

またパーカーやガソルとの出場時間を減らし、代わりにミルズやデッドモンら守備でウィークリンクの少ないベンチユニットとのプレータイムを増やせば違ってくるはず。あるいは今季から新加入したプレーヤーたちがスパーズのシステムに慣れて、守備での連携がもっとスムーズになれば、自然に改善していく可能性もある。

いずれにせよ、今季3分の1を終えた段階で、レナードは昨季までのようなDPOY最有力候補のインパクトを残せていないように感じる。オフェンス面での負担がこれまでよりも大きく増しているので、仕方がないことなのかもしれないが…。

参考記事:「CBS Sports」

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