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デジャンテ・マレー トレード
2022 7 1

スパーズPGのデジャンテ・マレーがアトランタ・ホークスにトレード移籍

デジャンテ・マレー 1

ついにサンアントニオ・スパーズが、1からの再建に向けて大きく舵を切った。

2022FA交渉解禁を目前に控えた現地6月29日、スパーズとアトランタ・ホークスが大型トレードに合意。ホークスはダニーロ・ガリナリと3つのドラフト1巡目指名権、スワップ権利1つを放出し、スパーズからオールスターのデジャンテ・マレーを獲得する。

トレード合意が報じられた数時間後、マレーは自身のTwitterを更新。2016年のNBAデビューから6年を過ごしたサンアントニオのファンたちに向けて、「永遠に愛すべき場所。ありがとう」と別れのメッセージを綴った。

https://twitter.com/DejounteMurray/status/1542322752971055104

「サンアントニオの街は最初から僕を信じ、受け入れてくれた。ここでの物語を1冊の本にしたいけど、それは簡単じゃない。僕たちはファミリーであり、この関係はこれからもずっとバスケットボールよりも大切なものになる」

2021-22シーズンのマレーは、21.1得点、9.2アシスト、8.3リバウンド、2.0スティールを平均し、キャリア初のオールスターに選出。なぜついにブレイクしたばかりの25歳の若手スターをトレードする決断に至ったのか、正直なところ最初はスパーズの考えが理解できなかった。

ただマレーの契約は残り2年。ESPNによると、マレーは今夏中にスパーズと延長契約を結ぶつもりがない旨を事前に伝えていたらしい。

スパーズがマレーにオファーできた延長契約の最高額は、現契約最終年サラリーの120%。マレーの場合、2023-24シーズンの契約が1770万ドルなので、延長契約1年目の年俸は最大で約2100万ドルになるはずだった。

全盛期真っただ中のオールスターが、マックスサラリーよりも1000万ドル以上低い年俸で満足するはずがない。もし契約満期までマレーを残留させていたなら、2024年のFAでマックスサラリーでの再契約を余儀なくされるか、もしくは見返りなしにマレーを失うことになっていたかもしれない。

若手成長株でリーダーシップも持ち合わせた生え抜きの選手を手放す結果になったのは残念過ぎるが、スパーズとしては最高のタイミングと見返りでマレーをトレード放出できたとも言える。

▼デジャンテ・マレー2021-22ハイライト

オールスター・デュオ

今回のトレードにより、ホークスはスタータークラスの選手を失うことなく、ロスター強化に成功した。

マレーはパスセンスと守備に長けたツーウェイのポイントガード。長いリーチからディフレクションやスティールを得意とし、2018年にはオール・ディフェンシブ・2ndチームに選出されている。ピック&ロールのオンボール守備が大きな弱点だったホークスにとっては、頼もしすぎる新戦力となる。

一方でオフェンス面では、ガードコンビとなるトレイ・ヤングとの相性が未知数。ヤングとマレーは、どちらもオンボールで最大限に良さを発揮できるタイプの選手。そんな2人がどのようにボールをシェアするのか楽しみだ。

ヤングはリーグ屈指のプレイメーカーであり、マレー加入後もリードボールハンドラーとしてのポジションはゆるぎないはず。

マレーのボールタッチがホークス移籍後に減るのは確実。スリーの苦手なマレーが、チーム2番手のボールハンドラーとしてどれだけ貢献できるのか注目したいところ。ヤングがオフボールシューターとして開花するきっかけにもなるかもしれない。

ホークスがマレー獲得のために犠牲にしたアセット(1巡目指名3つとスワップ1つ)は決して安くない。ただその見返りとして、ヤングoff時のラインアップの質が大幅に改善。ヤングがベンチに下がった時間帯にオフェンスが総崩れしてしまうパターンも少なくなるはずだ。

タンキング

スパーズは、今回のトレードでフランチャイズの方向性を明確にした。ここから完全な再建期に入る。

昨季のスパーズは、34勝48敗のウェスト10位。そんな中で、エースのデジャンテ・マレーを放出。また2月には、マレーと並んでチームのコアだったデリック・ホワイトをトレードしたばかり。マレーのトレードで獲得したガリナリとは、すぐにバイアウトで決別する見込みだという。

これで来季からのスパーズは、若手育成に注力しつつ、いやおうなしにタンキングモードに突入する。今のチームからベストプレイヤーであるマレーがいなくなれば、来季にさらに順位を落とすのは確実。ここからスパーズがプレイオフ常連の強豪チームに返り咲くためには、ティム・ダンカンやカワイ・レナードのようなMVP級のフランチャイズスター獲得が必須となる。

なお2023年ドラフト1位指名候補は、レブロン・ジェームズ以来の大物(何度目かわからないが)として注目されているフランス出身のビクター・ウェンバンヤマ。220cmの長身とガードスキルを持ち合わせた本物の“ユニコーン”だ。

▼デュラントとゴベアをフュージョンしたような逸材

来季スパーズがリーグボトム3に転落すれば、2023年ドラフトで全体1位指名を獲得できる確率は14%。ウェンバンヤマはタンキングで1シーズンを捨ててでも狙いに行く価値が十分にあるトッププロスペクトだ。

ウェンバンヤマ獲得に失敗したとしても、スパーズの再建に向けたアセットは豊富。今回のマレー放出だけでも、以下の指名権を手に入れた:

  • 2023年ドラフト1巡目指名権(ホーネッツ経由のトップ16位保護付き)
  • 2025年ドラフト1巡目指名権
  • 2026年ドラフト1巡目指名スワップ権
  • 2027年ドラフト1巡目指名権

2026年のスワップ権を含む2025年以降の3つの1巡目指名権は、いずれも保護なし。ちょうどその頃のホークスは、トレイ・ヤングが20代後半の全盛期に入るため、3つともロッタリー指名にすらならないかもしれないが、その一方でいずれかがトップ4指名に化ける可能性も十分にある。

1巡目指名権3つ+スワップ権というアセットは、通常ならオールNBA級のスーパースターとのトレードオファーに提示されるレベルの豪華な見返り。今回のマレーのケースでは、年齢(25歳)とリーズナブルな契約(年俸1600~1700万ドルで残り2年保証)、そしてオールスターに選出されたばかりという事実がトレード価値を高めることとなった。

マレー退団は本当に残念だが、スパーズとしてはこのままプレイ・イン・トーナメントで頭打ちのドラフト10位指名前後を彷徨う中途半端なポジションを維持し続けるわけにはいかない。球団として、正しい決断だったと思う。

参考記事:「NBA」

カイリー・アービングが来季オプションを行使、ひとまずネッツ残留へ ニコラ・ヨキッチ、NBA史上最高額の2億7000万ドルでナゲッツと延長契約合意へ

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