ポール・ジョージ、新天地への期待を語る
トレードという形でデビューから7シーズンを過ごしたインディアナ・ペイサーズを離れ、2016-17MVPのラッセル・ウェストブルック率いるオクラホマシティー・サンダーへと移籍することとなったオールスターのポール・ジョージ。トレード成立後は、地元ロサンゼルスでハードなワークアウトに励んでいた他、友人や関係者からOKCの話を聞くなどして、新天地でのシーズンに向けての期待感をふくらませていたようだ。オクラホマシティーへの移籍が決まった際に、最初に相談を持ち掛けた相手の一人が、誰よりも球団を良く知る元フランチャイズスターのケビン・デュラントだったらしい。
以下、オンライン版『SI』誌が掲載したポール・ジョージのインタビュー記事より:
「KDはこう言ってくれた、『オクラホマシティーは君を感動させるはずだ。そこにいる人々や試合前のプレパレーション、施設、シェフや料理に至るまで、他のチームにはないものを提供してくれる』とね。KDはOKCをすごく高く評価していたよ。あらゆる面で一流の球団だと思っているようだった」
KDの他にも、ジョージの親友の一人であり、2015年にサンダーからピストンズへとトレード放出されたレジー・ジャクソンも、オクラホマシティーを絶賛していたそうだ。
▼PG13の到着を盛大に歓迎するOKCファン
ジョージはトレードが決まった夜に、新たな相棒となるウェストブルックとも軽く電話で会話したという。
「ワクワクしているよ。ヘルプが欲しい、インディアナでの願いはただそれだけだった。これからはオクラホマで多くのヘルプを得られるようになる。僕は彼(ウェストブルック)のプレイスタイルに上手くフィットできると思うし、彼にとってもそれは同じだろう。僕はノックダウン・シューターだから、彼のためにフロアスペースを広げられるはずだ。また彼がイージーな得点をあげるための助けにもなれる。僕がドライブからキックアウトパスを出すことで、ウェストブルックはクローズアウトしてきたディフェンダーをアタックできる」
またサンダーのビリー・ドノバンHCは、トレードが決まってからロサンゼルスに飛び、ジョージの自宅でのバーベキューパーティーに出席して、さっそく来季の戦略などを話し合ったらしい。
オフェンスの火力ではまだまだウォリアーズに及ばないかもしれないが、守備面では一歩も引けを取らないチームになるだろう。カリーにウェストブルック、トンプソンにロバーソン、KDにPG13、ドレイモンドにパターソンがマッチアップし、スティーブン・アダムスがリムを死守。来季のウォリアーズとサンダーの試合は面白い戦いが見れそうだ。
※ ※ ※
全盛期のスーパースターがチャンピオンシップリングのためにチームを乗り換えることは、決して珍しくない。ただそのことを不満に思うファンもたくさんいて、レブロン・ジェイムス(キャブスからヒート)やケビン・デュラントが移籍した時も多くの非難が集まった。ポール・ジョージの場合は少し状況が違うが、ペイサーズを離れようと決意したそもそもの理由はレブロンやKDと同じで、このまま続けても壁を超えられないと思ったからだろう。
ジョージは同じインタビューで、スーパースターの移籍とそれに対するファンからの不満の声についても言及している。
「正しいやり方なんてない。ファンのみんなが苛立つ気持ちはわかる。だけど理解してほしい。僕たちがプロとしてバスケットボールをプレイできる時間は限られていて、そして何よりもチャンピオンシップのためにプレイしたいんだ。本来ならば、インディアナでそれを実現したかった。僕はインディアナを心から愛している。僕にとってはいつまでも特別な場所であり続けるし、最後まで居られなかったのは残念だよ。だけどインディアナでチャンピオンシップに挑戦できる日がくるのか確信を持てなくなった。それがきっかけさ」
▼PG13、2016-17ハイライト
※ ※ ※
ポール・ジョージが最終的にロサンゼルスへの移籍を望んでいるというのは、これまでに何度も報じられてきた。なのでサンダーとジョージの関係が1年で終わってしまう可能性はそれなりに高い。
ただジョージ本人によれば、「生まれ故郷でプレイするのは夢」としながらも、それ以上に優先するのは「勝てる環境」とのこと。来季サンダーの戦いぶりによっては、残留も十分にあり得そうだ。
「僕はレイカーズ/クリッパーズファンとして育った。コービーに憧れた。あの場所には常に強い思い入れとつながりがある。生まれ故郷のためにプレイしたいと考えるのは当たり前のことだろう?ロサンゼルスのはずれで育った少年にとって、自分の街のヒーローになれるなんて究極の夢だよ。ただ僕がLAに移籍したいという話は、大袈裟に伝えられている。僕にとっては勝利が最も大切だ。優れたシステムで、強いチームでプレイしたい。優勝のチャンスが欲しい。僕はスタッツを気にするタイプじゃない。勝利するため、そして勝者のレガシーを築き上げるためにプレイしている。今はまだそれを達成できていないし、追い求めているところ。もしオクラホマで素晴らしいシーズンを過ごせたなら、カンファレンスファイナルに進出するか、もしくはウォリアーズ相手に番狂わせを演じることができるようならば、その環境から離れようなんて思わないはずだ」
ポール・ジョージクラスの選手を獲得できるチャンスは滅多に巡ってこない。カンファレンスファイナルに進出するか、再びスターフォワードを失うことになるのか…。サンダーにとって来季は勝負の年となる。
参考記事:「SI」