ドレイモンド・グリーンとケビン・デュラントの揉め事について
オールスター2人の揉め事をきっかけに、「ダイナスティに亀裂か?」と注目が集まっている。
現地13日、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが1試合の出場停止処分を与えられ、同日に行われたアトランタ・ホークス戦を欠場することとなった。NBAからの処分ではなく、ウォリアーズサイドでの決断だ。
チームが問題視したのは、12日に行われたクリッパーズ戦の試合中と試合後にグリーンがみせた行動。第4Q最後のポゼッションでの判断ミスが原因で、グリーンはチームメイトのケビン・デュラントと衝突することになる。
▼第4Qのラストプレイ
残り5秒で逆転のチャンスを手にしたウォリアーズだったが、グリーンはボールを要求するデュラントを尻目にドリブルで敵陣に攻め入り、その結果ボールをファンブルしてしまい、試合は延長戦に突入。デュラントがこのラストプレイについてグリーンに詰め寄ると、そこから2人は口論となり、延長戦を控えたウォリアーズベンチが険悪なムードとなった。
Yahoo Sportsの報道によれば、この時グリーンはデュラントを「ビッチ」と罵り、「誰に向かって口をきいているつもりだ?」とまくし立てたという。
▼板挟みになるクレイ
グリーンとデュラントの口論は、試合後のロッカールームにまで持ち込まれ、さらにヒートアップした模様。デュラントや他のチームメイトがターンオーバーについて再びグリーンを問い詰めると、グリーンはそこでも暴言を吐き、さらにデュラントの来夏フリーエージェンシーについての話を持ち出したと伝えられている(デュラントは来季オプション破棄でFAになれる)。
またThe Athleticによると、グリーンはデュラントに対して「お前が来る前からウォリアーズは強かった」といったニュアンスの不満をぶつけたらしい。普段は何も言わないクレイ・トンプソンも、この時ばかりは声を上げて、チームが一丸となる大切さを説いたそうだ。
The AthleticのAnthony Slater記者によれば、デュラントや他の選手がグリーンに腹を立てた理由は、試合中のミス自体ではなく、グリーンがそのミスを認めずに正当化しようとしたことだったという。
なおウォリアーズは、グリーンが出場停止となった13日のホークス戦に110-103で勝利した。
今回のウォリアーズの騒動は、どう解釈すべきだろう?スポーツでチームメイトが衝突するのはよくあること。また常に競争心剥き出しで感情的なグリーンが、他の選手に暴言を吐くのも決して珍しいことではなく、ステフィン・カリーによると、グリーンは練習中でもチームメイトに容赦なくトラッシュトークを仕掛けているらしい。デュラントとも、一緒にプレイした2シーズンですでに何度かぶつかってきた。
▼2017年1月
▼2017年2月
2人は喧嘩しながらもお互いを高め合える関係なのだろう。今回の騒動も現地スポーツメディアが大袈裟に騒いでいるだけで、本人たちにとっては些細なことなのかもしれない。そう思っていたが、これまでと大きく異なる点は、ウォリアーズがグリーンの出場停止処分に踏み切ったところだ。
ウォリアーズがグリーンに対して、給与なしの出場停止(グリーンにとっては約12万ドルの負担)という重い処分を科すのは初めて。2016年にグリーンがハーフタイム中のロッカールームでスティーブ・カーHCの指示を無視して暴言を吐いた時ですら、何のお咎めもなし。
その時は、グリーンのミスを指摘したカーHCが「座れ」と命じたところ、グリーンは「この野郎(Motherf—er)、できるならやってみろよ」と監督に対してあり得ない反発の仕方をしたらしいが、それでもペナルティはなく、チームも「それがグリーンらしさ」と流していた(Stephen A. Smithさんの情報なので眉唾ものではあるが、カーHC本人も否定していない)。
今回の出場停止処分について、ウォリアーズは「チームの規律を乱す行為をしたため」としているが、現地メディアの間では「FAになるデュラントに気を使ったのでは?」という見方が多く、さらには「どちらかを選ばなければならない状況になれば、グリーンよりデュラントを選ぶというチームの意志表示」などといった少し飛躍した憶測も少なからず出ている。
またThe Athleticによると、1人のウォリアーズ選手がこの件に関して匿名で取材に応じ、 「あんなことを言われて、デュラントが来夏に再契約するわけがない」と話したらしい。
グリーンとデュラントの騒動がこれからどのように発展していくのかは分からないが、チームリーダーであるステフィン・カリーは、事態の収拾に向けてさっそく動いている様子。現在カリーは負傷離脱中で、問題があった日の試合はチームを離れていたが、クレイ・トンプソンによると、カリーはその翌日にグリーンの自宅を訪れ、グリーンサイドの言い分を聞きに行ったという。そこでグリーンは自分の非を認め、チームに謝罪するつもりだと話したそうだ。
こういったエピソードを聞くと、やはりカリーはオン/オフコートの両方でウォリアーズの中心的存在なのだと実感させられる。
参考記事:「ESPN」