新フォーマットのNBAオールスターゲーム2020が最高すぎた
2020年のNBAオールスターゲームは、まるでプレイオフのような緊張感があり、過去最高レベルで面白かった。新フォーマットは大成功だ。
現地16日、NBAではシカゴのユナイテッドセンターでオールスターゲーム2020が行われ、チームレブロンとチームヤニスが対戦。チームレブロンが157-155で勝利を収めた。
新フォーマット
今年のオールスターゲームでは新しい試合フォーマットを採用:
- 第1Qから第3Qがそれぞれ独立したピリオドとなり、第2Qと第3Q開始時にスコアがリセット。それぞれのクォーターを制したチームにチャリティーボーナスが与えられる
- 第4Q開始時に最初の3クォーターの得点を合算。その時点でリードしているチームのスコアに24点(コービー・ブライアントの背番号にちなんで)を足した数字がゲームのターゲットスコア(勝利得点)となり、最初にその得点に到達したチームの勝利
文面だと少しややこしい感じもするが、実際に試合を見ればすごくシンプルだ。
今年のケースだと、第3Q終了時のスコアが133-124でチームヤニスのリード。よってターゲットスコアは133点に24を足した157点に設定され、そこからチームヤニスなら24点、チームレブロンなら33点を獲得した時点で勝利となる(時間無制限)。
▼アリーナのスコアボードはこんな感じ
ゲーム
最初の3ピリオドは例年とほぼ同じく、ディフェンスに力を入れない緩い形で展開。アリウープダンクや1on1からのクロスオーバーなど派手なプレイを狙うポゼッションが多かった。
▼クリス・ポールがダンク!!?
▼デビン・ブッカーも豪快なプットバック
初出場のトレイ・ヤングは、前半終了と同時にハーフコートからのブザービーターに成功。ルカ・ドンチッチにライジングスターズでのお返しをした。
▼第3Qの最後には、ヤングとゴベアのロブプレイでピリオドを同点に持ち込む。
Elam Ending
第3Qを終えターゲットスコアが設定されると、試合の空気は一変。最終ピリオドは両チームがすべてを出し切る激闘が繰り広げられる。
通常オールスターゲームでは、先発に選ばれた5選手がそのままクロージングラインアップになるが、今年の勝負所ではどちらのチームもビッグステージでの経験が豊富なプレイヤーたちを投入。
チームレブロンはドンチッチの代わりにクリス・ポールを終盤で起用し(レブロン、レナード、デイビス、ハーデン)、対するチームヤニスもトレイ・ヤングの代わりにカイル・ラウリーをクローザーにした(ヤニス、エンビード、シアカム、ウォーカー)。
9点のハンデを背負う形で第4Qに臨んだチームレブロンは、クリス・ポールやカワイ・レナードの活躍で徐々に巻き返すと、152点目でついに逆転。
その直後にジョエル・エンビードのターンアラウンド・ジャンパーで再び並ばれたが、そこからジェイムス・ハーデンのフリースローとレブロン・ジェイムスのダンクでマッチポイントの156点に迫ると、最後は開催地シカゴ出身のアンソニー・デイビスがフリースローから決勝点を決めた。
勝利したチームレブロンからは、カワイ・レナードがゲーム最多の30得点をマークし、今年から『コービー・ブライアントMVP賞』と名付けられることとなった2020オールスターMVPを受賞。最初の3ピリオドで8本のスリーを決めて点を稼ぐと、接戦となった第4Qにはディフェンスとプレイメイクなどから大貢献した。
レナードの他には、レブロン・ジェイムスとクリス・ポールがそれぞれ23得点をマーク。決勝フリースローを決めたアンソニー・デイビスは20得点を記録している。
一方で敗れたチームヤニスは、アデトクンボが25得点/11リバウンドのダブルダブルを獲得。最終ピリオドでは無得点に抑えられながらも、レブロンとのマッチアップで素晴らしいディフェンスを何度も見せた。
▼怪物ブロック
チームヤニスはアデトクンボの他、エンビードが22得点/10リバウンド、ケンバ・ウォーカーが23得点をマーク。初出場だったルディ・ゴベアは、ダンクを連発して21得点/11リバウンドを獲得した。
感想
控えめに言って最高だった。しかも第4QはCMが一切なし!!新フォーマットの案を最初に提出したNBA選手会会長のクリス・ポールに感謝。
オールスターと言っても即席チームなので、ハイレベルなセットプレイなどは見られず、決して洗礼されたオフェンスゲームではなかった。だが選手たちの緊張感や熱意がすごく伝わり、コートにいる全員がディフェンスに死力を尽くしていたのがわかる。
今年のオールスターゲームでは、第4Qだけでファウルコールが21回あり、両チーム合計でピリオド26本のフリースローアテンプトを記録。第4QのFG成功率はわずか36%だった。オールスターゲームとしては異例と言える泥臭い試合内容だが、正直こういうのが見たかった!
まるで公式戦のように、終盤にはテイクチャージやドローファウルを狙ったり、ペイントエリアでトリプルチームを仕掛けたり。ファウルがコールされれば、選手たちは本気で審判に抗議していた。
▼カイル・ラウリーはオールスターゲームでも容赦なくテイクチャージ
ラウリーは正念場でも、渾身のテイクチャージでボールを奪い返すファインプレイを披露。もし笛が鳴らなければ、ハーデンのスリーが決勝点となっていた。
▼ヤニスもディフェンスで大奮闘
チームレブロンのクロージングラインアップ(CP3、ハーデン、レナード、レブロン、デイビス)は、バランスが抜群に良かった。
5人中デイビスを除く4人がリーグ屈指のショット・クリエーターであり、デイビスは外からも打てる超万能なビッグマン。さらにポール、ハーデン、レナードはエリートシューターだ。基本的にはレブロンが司令塔を務めていたが、そこだけに頼らず、いろいろな角度からオフェンスを展開できていたと思う。
ディフェンス面では、ハーデンが何度もポストで狙われたいたが、そもそもハーデンはローポスト守備に強い選手であり、ヘルプディフェンスもちゃんと出来ていたので、何も問題なかった。
一方でチームヤニスのクロージングラインアップ(ラウリー、ケンバ、シアカム、ヤニス、エンビード)は、守備力が極めて高いものの、フロントコートが重すぎて十分なフロアスペーシングを確保できていなかった印象。
昨季イーストファイナルでラプターズがバックスに仕掛けた守備と似たような形で、チームレブロンにペイントエリアを埋められ、メインの武器になるはずだったアデトクンボのペネトレーションがことごとく潰されてしまう。
終盤には、ハーデンをローポストから攻めるという戦略に切り替えるが、それでも良い結果を得られず。同時に、最初の3ピリオドでは好調だったケンバ・ウォーカーも第4Qに失速したため、オフェンスの流れが悪くなり、主にフリースローからしか得点できなくなってしまった。
個人的に、ケンバ・ウォーカーの代わりにジミー・バトラー、パスカル・シアカムの代わりにクリス・ミドルトンが入れば、もう少しバランスが良くなったかなと思う。
それにしても、今年のオールスターゲームの第4Qはプレイタイムにして一体何分あったのか?NBAのボックススコアではぴったり12分となっているが、そんな偶然ってある?体感的にライブボールで15分以上プレイしていた気がするが、ストップウォッチかなにかで測ってみればよかった。
NBA選手たちの反応
なお、新フォーマットはNBA関係者の間でも大好評だった様子:
▼カリーもヤニスのブロックショットに大興奮
ポール・ピアース
チャニング・フライ
スペンサー・ディンウィディー
「イーラム・エンディング(新フォーマット)は正解だった!」
ケンドリック・パーキンス
「NBAファイナルを観ているようだ」
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ぜひ来年のオールスターゲームも今年と同じフォーマットでお願いしたい。
それからDr. Dreがプロデュースしたコービーのトリビュートビデオも最高すぎた。
ボックススコア:「NBA」