クリーブランド・キャバリアーズが念願のNBA初優勝
現地19日にオラクルアリーナで行われた2016年NBAファイナル第7戦は、最後まで1ゴール差を争う死闘の末、クリーブランド・キャバリアーズが93-89で勝利。1勝3敗の崖っぷちから3連勝で昨季ファイナルのリベンジを果たし、1970年の球団設立から46シーズン目にして、ついにNBAの頂点に上り詰めた。シリーズ1勝3敗からの逆転優勝は、ファイナル史上初の大快挙となる。
この日の試合は、開始直後にドレイモンド・グリーンとハリソン・バーンズがスリーを沈めるなど、立ち上がりのアウトサイドショットが好調だったウォリアーズに対して、キャブスはインサイドから得点をあげて応戦。序盤からファイナル第7戦らしいロースコアな展開で両者一歩も譲らず、リードチェンジを繰り返す大接戦となるが、キャブスの1点リードで迎えた第2Q残り6分から、ウォリアーズがグリーンの連続スリーをきっかけに、17-9のランでピリオドを締めくくり、7点差を奪ってハーフタイムに持ちこむ。
グリーンは前半だけで5本中5本のスリーを決め22得点をマーク。両チームの前半の3P成功数は、ウォリアーズが21本中10本、キャブスが14本中1本と大きな差があったが、キャブスはオフェンスリバウンドからフリースローを稼ぐなど、セカンドチャンスポイントを地道に獲得し、何とか点差を一桁台にとどめることができた。
▼前半キャブス唯一のスリー成功はシャンパートの4点プレー
後半に入ると、J.R.スミスのジャンプショットで勢いをつけたキャブスが一気に反撃を仕掛け、第3Q開始3分で同点。ウォリアーズはステファン・カリーの連続得点で流れを引き戻そうとするも、キャブスはピリオド中盤からカイリー・アービングを先頭に16-4のランを展開し、第3Q残り3分10秒で7点リードを獲得した。
すると今度は、前半絶好調だったグリーンが再びオフェンスを牽引して、キャブスにペースを握られることを回避。ウォリアーズが第3Q残り4秒で逆転に成功し、試合は76-75の1点差でシーズン最後のピリオドに突入する。
▼アービング、スティールからカウント・ワンスロー
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引き続き1ゴールを争う一進一退の攻防となった第4Qは、ウォリアーズがピリオド中盤に7連続得点をあげで4点リードを奪取し、主導権を掴みかけるも、キャブスはレブロン・ジェイムスがピック&ロールでのスイッチから、フェスタス・エジーリを外に誘き出してミスマッチを攻撃し、6連続得点を獲得して再び逆転に成功。その直後にクレイ・トンプソンがレイアップをねじ込み、残り時間4分30秒で同点に戻すと、そこから試合は3分以上にわたりスコアがまったく動かない硬直状態となる。
フィールドゴール1本が勝敗を大きく左右する正念場でのプレッシャーの中、ステップアップして決勝プレーを決めたのは、キャブスのスター2人だった。
まず残り1分50秒では、レブロンがウォリアーズの2on1ファーストブレイクを超人的なチェイスダウン・ブロックで阻止。
続いて残り時間53秒には、アービングがアイソレーションから、事実上の決勝点となるスリーポイントを沈めた。
Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | ||
CLE | 23 | 19 | 33 | 18 | 93 |
GSW | 22 | 27 | 27 | 13 | 89 |
レブロンは27得点、11アシスト、11リバウンド、3ブロックのトリプルダブルを記録。ファイナル第7戦でトリプルダブルを達成したのは、1969年のジェリー・ウェスト、1988年のジェームズ・ウォージーに次いで、レブロンが歴代3人目だという。試合終了のブザーが鳴ると、感極まってフロアにうずくまりながら、喜びの涙を流した。
▼クイッケンローンズアリーナ、キャブス優勝の瞬間
FMVPはレブロン
今年のファイナルMVPは、文句なしの満票でレブロンが獲得。これでキャリア通算3度目の受賞となる。
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レブロンはファイナル7試合を通して、29.7得点、11.3リバウンド、8.9アシスト、FG成功率53.3%を平均。得点/アシスト/リバウンド/スティール/ブロックで両チーム最多を記録するという前代未聞の快挙を成し遂げ、「生まれ故郷にチャンピョンシップをもたらす」という移籍時の約束を見事果たした。
クリーブランドの米4大スポーツチームが優勝したのは1964年以来52年ぶりとなる。
▼レブロン、2016ファイナルハイライト
第7戦のキャブスはレブロンの他に、クラッチスリーを沈めたカイリー・アービングが26得点をマーク。J.R.スミスが12得点、トリスタン・トンプソンが9得点、2ブロックを記録している。特にトリスタンは、リムプロテクションだけでなく、ペリメーターでオンボールのカリーをガードしたり、オフボールでクレイを追いかけ回したりと、ディフェンシブ・ビッグマンとしてこれ以上ない仕事をこなした。
また、シリーズでこれまであまり目立たなかったケビン・ラブもこの日は大奮闘し、9得点/14リバウンドを獲得。レギュラーシーズンからディフェンス面の弱さを幾度となく指摘されていたが、第7戦では、3点リードで迎えたキャブスにとって最も大事なポゼッションで、カリー相手にスリーポイントラインを見事死守する好守備をみせた。
▼試合後のキャブス・ロッカールーム
敗れたウォリアーズは、ドレイモンド・グリーンが5本のスリーを含む15本中11本のFG成功で、ゲームハイの32得点、15リバウンド、9アシスト、2スティールと、キャリアベストなパフォーマンスを披露。その一方で、スプラッシュブラザーズはギアを上げられず、カリーとトンプソンの合計でスリー24本中6本の31得点、4アシスト、7ターンオーバーにとどまり、ハリソン・バーンズもFG成功率30%の10得点とスランプから抜け出せなかった。
第5、第6戦と同様に、ウォリアーズはこの日も正念場でオフェンスが停滞。同点で迎えた第4Q残り4分30秒以降は1点もスコアできず、73勝9敗をはじめ様々な新記録を樹立した歴史的なシーズンは、2連覇王手から3連敗という非常に残念な形で終わりを迎えた。
▼ドレイモンド・グリーン
ボックススコア:「NBA」