コービー 「チームメイトから“Mr.ブライアント”と呼ばれるようになったら引退時期」
「ミスター・ブライアント、誠に申し訳ございませんでした…」。2015年NBAドラフトの数日後、こんな感じの謝罪文がコービー・ブライアントの元に届いたという。差出人は、レイカーズが1巡目で27位指名したラリー・ナンスJr.だ。ESPNのインタビューで、コービー本人がこの件について語った。
そもそもの謝罪の理由は、ナンスJr.が3年以上前に行ったTwitterへの投稿。そのツイートは、コービーを「レイピスト(性犯罪者)」呼ばわりする不謹慎な内容だった。
https://twitter.com/BaxterHolmes/status/614270344287760384
「コービーがデンバーで誰にも手を出さないことを強く願う #レイピスト」
– ラリー・ナンスJr.
ハッシュタグの「#レイピスト」は、コービーが2003年に起こした女性スキャンダルのことを指している。
このツイートは、ナンスJr.の過去投稿を漁っていたネットユーザーにより発見され、ドラフト当日にネット上に拡散。恐らく本人も、こんなメッセージを投稿したことすらすっかり忘れていたのだろう。ナンスJr.は直ちにツイートを削除したが、時すでに遅しで、その日のうちにレイカーズのフロントオフィスが事態を把握するほどに広まってしまった。
これは気まずいなんてレベルじゃない。軽い冗談のつもりだったにせよ、これからプロとして共に戦っていくチームメイト、しかもその団体の中心的人物に対して、誹謗中傷とも取れるセンシティブな内容の発言を公の場でしてしまったのだ。
「27番目の指名で自分の名前が呼ばれるのを聞いた。そしてその2分後に、ツイートの事を知ったんだ。それから24時間が経ち、吐きそうな気分だったよ。ただ自分自身が恥ずかしかった。自分の発言をすごく後悔した。とにかくすぐに謝りたかったんだ」
– ラリー・ナンスJr.
ナンスJr.はすぐに謝罪のメッセージをコービーに送った。震える指で必至に文章をタイプしたことだろう。「Mr.ブライアント、ホントウニ、モウシワケゴザイマセン…」。返信が来るまでは生きた心地がしなかったはずだ。
ナンスJr.の謝罪に対して、コービーはとても大人で貫録のある対応をみせた。当時19歳の子供がネットに投稿したつぶやきなど、気にするほうが馬鹿らしいと言わんばかりに:
「とても丁寧で、自分の行動を反省している様子だった。だからこう返事してやったんだ、『なあ、いいか。誰でも後で後悔するような発言や行動をしている。(今回の件は)もう終わった事だ。レイカーズにようこそ』」
– コービー・ブライアント
むしろコービーは、丁寧すぎたナンスJr.の謝罪メッセージが可笑しかったらしい。
「素晴らしいメッセージを送ってくれて、すごく可笑しかった。文章に目を通してから、こんな風に思ったよ、『チームメイトから“こんにちは、ミスター・ブライアント”なんて呼ばれるとは、そろそろ引退すべき時期ってことだな』ってね」
– コービー・ブライアント
コービーからのメッセージに対して、ナンスJr.は「ありがとうございます、サー」と返事したらしい。
「『コービーと呼んでくれ』と言ってくれるまでは、僕の中で『ミスター・ブライアント』であり『サー』なんだ」
– ラリー・ナンスJr.
さらに後日、ナンスJr.はレイカーズファンたちに向け反省文をTwitterに掲載した。
https://twitter.com/Larrydn22/status/615683658297380864
「レイカーズファンの皆さんへ。僕は最悪の第一印象を残してしまいました。今回の件に関して謝罪します。これからは、コート内外の両方で全力を尽くし、立派にパープル&ゴールドのユニフォームを着ることで、皆さんのリスペクトを勝ち取りたいと考えています。今後数週間、数ヵ月をかけて、皆さんに今回の事を忘れさせ、その代わりに来季を楽しみにしてもらえるようになれば幸いです!LAに居られること、そしてコーチやチームメイトたちの指導のもと、レイカーズの再建に向けて役割を担えることに喜びを感じています」
– ラリー・ナンスJr.
とりあえずは一件落着か。これでナンスJr.が突然国外リーグに移籍することもないはず。
みなさんも実名での不謹慎なツイートには気をつけよう。
▼ラリー・ナンスJr.、NCAAハイライト
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参考記事:「ESPN」