ペイサーズ3連敗でイースト首位から転落、不調の原因は一体?
今シーズンもいよいよ大詰めを迎える中、インディアナ・ペイサーズの不振が止まらない。
ペイサーズは31日にスパーズと対戦し、103対77で大敗。3試合連続の黒星となり、今季開幕から守り抜いてきたイースト1位の座をマイアミ・ヒートに一時奪われることとなった(ゲーム差は0だが、勝率はヒートが上)。
3月に大スランプ
ペイサーズは3月に入ってから大幅に調子を崩している。2月までは44勝13敗と順調そのものだったが、3月以降は8勝10敗と急失速。特にここ6試合はオフェンスが振るわず、80点以上スコアできた試合がたったの1度しかない。
▼過去6試合
対戦相手 | スコア | FG% | 勝敗 | |
3/22 | @MEM | 71-82 | 36.5% | L |
3/24 | @CHI | 77-89 | 37% | L |
3/26 | MIA | 84-83 | 37% | W |
3/28 | @WAS | 78-91 | 35.4% | L |
3/30 | @CLE | 76-90 | 37.2% | L |
3/31 | SAS | 77-103 | 37.7% | L |
16勝1敗でシーズンをスタートさせ、圧倒的な強さをみせていたペイサーズだが、ここにきてまさかの大スランプ。一体原因はどこにあるのか?
1.エースの不調
昨シーズンの躍進/プレイオフでの活躍を経て、ペイサーズのエースとして大きく注目され始めたポール・ジョージだが、今季は月を重ねるごとにシュート成功率が沈んでいる。シーズン序盤は48%近くだったが、3月は40%を大きく下回った。
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以下はスポット別のシュート成功率を比較したショットチャート(上が10~12月、下が1~3月)。
・10~12月
・1~3月
比較すると、特にミドルレンジからのシュート成功率が落ち込んでいるのがわかる。ちょっとしたシュートスランプはどの選手にもあることだが、1シーズン中でこれほどの下げ幅は珍しい。
ジョージは1試合平均36.1分で今季フル出場を果たしている。スランプの原因として、長いシーズンの疲れがたまってきたというのはあるだろう。
また、彼がエースとして背負わされているプレッシャーもこれまでとは比べ物にならないほど大きい。実力以上の期待が掛けられているのでは、と思ってしまうこともある。
加えて最近のジョージはプライベートでのスキャンダルに晒され、メディアの恰好の餌食となった。
2月には、「ストリッパーを妊娠させた挙句、中絶させるため100万ドル(約1億円)を提示した」というニュースが大々的に報道された。さらに3月には、若い女性を装った男に釣られて、「アヒル口自分撮り」や「フルヌード写真」といった黒歴史なショットを送り、それらをネット上にばらまかれるというハプニングの犠牲となった。
ジョージ本人は、ストリッパー妊娠に関して「100万ドルなんて提示していない」、写真流出に関して「あれは知り合いの女性がやった。釣られたわけじゃない」と一部報道を否定している。真実がどこにあるにせよ、相当なストレスを感じているはずだ。
2.チームケミストリーの崩壊
チームの不調が原因でプレーヤーの仲が悪くなったのか、それとも仲が悪くなったから不調に陥ったのか…。どちらが先かはわからないが、最近になってペイサーズが分裂しかかっているという報道が出ている。
28日、センターのロイ・ヒバートは試合後のインタビューで、「チームに自分勝手な奴らがいる」と苦言を漏らした。誰のことを言っているのかは明かしていない。
「自分勝手な奴らがいる。もう口にするのもうんざりだ。1ヶ月ほど言い続けている。僕らはハードにプレーしているが、もっとボールを回さなくてはならない」
– ロイ・ヒバート
「以前このことをチームに提言した時は、1試合だけ良くなった。だが悪い状態にすぐ戻る。答えを出すのは僕じゃない。僕らのようなビッグマンは(ボールが回ってこないことで)直接影響を受けるんだ。何もしていないように見えてしまう」
– ロイ・ヒバート
元々ペイサーズは「アシスト/ターンオーバー率」(総アシスト数をターンオーバー数で割った数字)が高いチームではないが、3月は特にひどく、リーグワースト2の1.24にまで落ち込んでいる。
ヒバートはガード陣、恐らくジョージ・ヒルとランス・スティーブンソンに向けて苦情を言っているのだと思われる。31日のスパーズ戦では、ヒルとスティーブンソンがタイムアウト中に激しい口論となり、チームメイトに引き剥がされるというハプニングがあった。どうやら2人のいざこざはこの時が初めてではないらしい。
3.グレンジャーのトレード
これは少しこじつけっぽいかもしれないが、ペイサーズ失速のタイミングとダニー・グレンジャー放出の時期がややシンクロしている気がする。
トレード前のダニー・グレンジャーは、1試合出場時間22.5分で8.3得点、3.6リバウンドを平均。実際にそれほど試合を大きく左右するようなプレーヤーではなかった。とはいえ、長年“ペイサーズの顔”を務めてきたベテラン選手がいなくなったことで、チームのケミストリーに何らかの影響があったことは確かだと思う。
グレンジャー放出前のペイサーズの成績は42勝13敗だったのに対し、放出後は10勝10敗。
ペイサーズ | 得点 | リバウンド | アシスト | FG% |
グレンジャー放出前 | 98.5 | 45.6 | 20.5 | 45.3% |
グレンジャー放出後 | 95.7 | 44.3 | 19.1 | 44.5% |
対照的にグレンジャーを獲得したクリッパーズは、その後11勝2敗と波に乗っている。
もちろん、これらのすべてがグレンジャーの影響ではないが、ちょっとした要因でチームの勢いが大きく変化することもある。
4.アンドリュー・バイナム
▼ハーフタイム中に散髪するバイナム
バイナムエフェクト?(根拠はなし)
※ ※ ※
この他にもC.J.ワトソンの怪我など原因はいろいろあるはず。
NBA制覇を狙えるポテンシャルを十分に持ち合わせたペイサーズだが、プレイオフに向けての課題は山積みだ。とにかくベストな状態で再びヒートとぶつかり合う姿が見たい。
Thumbnail by Basketball Schedule via Flickr