トロント・ラプターズが初優勝!!
NBA設立から73年、ついにアメリカ国外から王者誕生だ。
トロント・ラプターズは現地6月13日、オラクルアリーナで行われたファイナル第6戦でゴールデンステイト・ウォリアーズに114-110で勝利。シリーズを4勝2敗でクローズし、球団史上初のリーグ制覇を達成した。
シリーズを締め括るにふさわしい大激闘となったこの日のファイナル第6戦。
まず第1Q序盤は、ラプターズが高確率でスリーポイントショットを沈めて先手。特にカイル・ラウリーが見事な立ち上がりを見せ、ミスマッチを的確に攻めながら次々とショットを決めてピリオド15得点をあげた。
開始2分半で9点ビハインドに陥ったウォリアーズは、クレイ・トンプソンの奮闘ですぐに巻き返し、第1Q終了時点で1点差に接近すると、第2Q序盤には逆転に成功。そこから試合は最後まで点差が2ゴール差以上に広がらない大接戦となる。
▼ラウリーが11連続得点でスタート
https://twitter.com/NBA/status/1139341187092045824
後半開始直後に点差を再び6点に広げたラプターズに対し、ウォリアーズは14-4のランで応戦して4点リードを奪取。流れを引き寄せかけていたウォリアーズだったが、第3Q終盤にダンクを叩き込もうとしてファウルされたトンプソンが着地の際に左ひざを負傷。シーズンの正念場でまたしても主力の一人が途中退場するという不運に見舞われてしまう。
フレッド・バンブリート
全世界が注目するNBAファイナル第6戦、2点差で迎えたラスト12分。一つのミスがシリーズの勝敗を大きく左右する。そんな計り知れないほどのプレッシャーがかかる状況下で最も輝いたのは、ドラフト外の選手だった。
トンプソン離脱後もしばらくリードを維持したウォリアーズに対し、ラプターズは第4Qに入ってからフレッド・バンブリートがステップアップして逆転。
第4Qのバンブリートは1度もベンチに下がることなく12分間フルでプレイし、3本のスリーと3本のフリースローに成功。ステフィン・カリーをガードする大役を任されながら、オフェンス面でもチームのピリオド28得点中12得点を1人であげる活躍ぶりだった。
▼第4Qの攻防
試合は第4Q残り2分でラプターズの6点リード。そこからウォリアーズは1点差まで巻き返し、残り時間9秒にはラプターズにターンオーバーを出させて逆転勝利のチャンスを手にしたが、タイムアウト明けのラストポゼッションでカリーのスリーがリムに弾かれ、そこで3連覇の夢が途絶えることとなった。
念願の初優勝を果たしたラプターズは、ラウリーが26得点/10アシスト、パスカル・シアカムが26得点/10リバウンドでそれぞれダブルダブルをマーク。カワイ・レナードは22得点を記録し、2019ファイナルMVPに選出された。
他には、クラッチタイムに活躍したバンブリートが22得点、サージ・イバカが15得点と、ベンチ陣も勝利に大貢献している。
▼試合後のロッカールーム
▼トロントもお祭り騒ぎ
キャリア2度目のファイナルMVPを受賞したカワイ・レナードが試合後に残したコメントがすごく印象的だった:
「トレードされた翌日に僕はカイル(ラウリー)にテキストメッセージを送った。『特別なことを一緒に成し遂げよう。親友がチームからいなくなり、そのことに腹を立てている気持ちは分かる。でも力を合わせて成し遂げよう』とね。そして今、僕たちはここまでやって来た」
– カワイ・レナード
ラプターズの初優勝はNBA史に残る奇跡的なタイトルランだったと思う:
- 昨季イースト準決勝でスウィープ負けし、オフシーズンにコーチ・オブ・ザ・イヤーのドウェイン・ケイシーHCを解雇
- 再建突入か現状維持かの選択を迫られる中、フランチャイズエースのデマー・デローザンをトレード放出してカワイ・レナードを獲得する一世一代の大勝負
- レギュラーシーズン中はレナードのコンディション調整を最優先
- シーズン終盤にベンチコアのバランチュナス、ライト、マイルズを放出して、マルク・ガソルを獲得(ラシード・ウォーレスを獲得した2004年王者のデトロイト・ピストンズを彷彿させるトレード)
- スターターが十分なケミストリーを構築できないままプレイオフ突入
- マジックとの第1ラウンドは難なく突破するも、76ersとのセミファイナルではレナードのワンマンチームと化してしまい大苦戦。7試合に及ぶ激闘の末、ミラクルブザービーターで勝ち進む
- バックスとのカンファレンスファイナルは2連敗でスタート。スーパーサブのフレッド・バンブリートが使い物にならない
- バンブリートJr.が誕生
- バンブリートが復調。0-2から4連勝でカンファレンスファイナルに勝利
- NBAファイナルでは完全に“ラプターズらしさ”を取り戻し、毎試合でレナード以外の選手もステップアップ
- 初優勝!!!
エースのレナードやラウリー、シアカムらスターターの活躍はもちろんだが、シーズン終盤でのベンチ降格後も集中力を維持し続けたサージ・イバカ、そしてフレッド・バンブリートの存在が大きかった。
今季プレイオフでのバンブリートは、第1ラウンドからカンファレンスファイナル第3戦までの15試合でスリー41本中8本(成功率19.5%)と絶不調。だがそこから息子の誕生を経て一気に復調し、カンファレンスファイナル第4戦からNBAファイナル第6戦の9試合で57本中30本のスリー(成功率52%)を沈めている。
▼イバカ、優勝の舞
Champions mood babyyyyy pic.twitter.com/y4wc2VlwSJ
— Serge Ibaka (@sergeibaka) 2019年6月14日
一方で、怪我人続出で3連覇を逃すこととなったウォリアーズは、クレイ・トンプソンが第3Qまでの32分間でゲームハイの30得点をマーク。アンドレ・イグダーラが22得点で奮闘した他、ドレイモンド・グリーンが11得点、19リバウンド、13アシストでトリプルダブルを記録した。
ステフィン・カリーは21得点、7アシストをマークしたものの、試合を通してショットのリズムを掴めず、正念場の第4Qでは4本すべてのスリーに失敗している。
ボックススコア:「NBA」