ラッセル・ウェストブルックがロケッツからの移籍を希望か
11月12日に32歳の誕生日を迎えたヒューストン・ロケッツのラッセル・ウェストブルック。ロケッツはSNSでチームのオールスターに祝福のメッセージを送っていた。
バースデーボーイのラスが今年の誕生日に願ったことは、ヒューストンとの決別…。そんな噂が複数の現地メディアから出ている。
The Athleticによると、ウェストブルックはロケッツからのトレード移籍を望んでいるとのこと。もしこれが事実なら衝撃のニュースだ。
ロケッツは昨年オフに、クリスポールとドラフト1巡目指名権2つ、指名権スワップ2つをオクラホマシティ・サンダーに譲渡して、ウェストブルックを獲得。ジェイムス・ハーデンとウェストブルックの双方がOKCとのトレード実現を強く望んでいたらしい。
ロケッツが多くのアセットを生贄にして結成したMVPコンビが、たった1年で解散の危機。ウェストブルック放出については、一部のアナリストたちの間で以前からその可能性が囁かれていたが、ウェストブルックの方から移籍を望む形になるとは意外だった。
NBAキャリア12年目で初めてOKC以外のユニフォームを着た昨季のウェストブルックは、レギュラーシーズン57試合の出場で27.2得点、7.9リバウンド、7.0アシストを平均。
シーズン序盤は上手くチームと噛み合っていなかった印象だったが、年明けあたりから自分の役割を見出したのか快進撃を続け、1月から3月までの23試合で平均32得点を記録している。
ロケッツのMVPデュオがシーズン終盤でついに本領発揮かと思われたが、ウェストブルックはコロナによる長期のリーグ中断を経て迎えたバブルでのシーディングゲームで大腿四頭筋を負傷。
約2週間の戦線離脱の後、OKCとの第1ラウンドシリーズ第5戦で復帰するも、怪我が完治していなかったためか、プレイオフ8試合で平均17.9得点と本来のスーパースターレベルのパフォーマンスを取り戻すことができず、ロケッツはウェスト準決勝第5戦で敗退という残念な結果に終わっている。
The Athleticの報道によると、ウェストブルックがロケッツからの移籍を望んでいる理由は、チームのカルチャーに不安を感じているからとのこと。さらに、OKC時代のような“司令塔”の役割に戻ることを希望しているという。
どのチームがベスト?
ロケッツが今オフにウェストブルックをトレード放出したとして、どんな見返りを期待できるだろうか?
ウェストブルックは、ロケッツに移籍する直前の3シーズン連続でトリプルダブル平均という前代未聞の偉業を達成。リーグを代表するスター選手の一人であり、2020オールNBA3rdチームにも選出されている。
ただウェストブルックの年齢(32歳)と希望する役割、そして高額契約(3年/1億3200万ドル)などを考えると、トレード相手は必然と限られてくるだろう。
まずプレイオフチームの多くは、すでに絶対的なリード・ボールハンドラーのスター選手がいる。
例えばレイカーズ(レブロン)やウォリアーズ(カリー)、ナゲッツ(ヨキッチ&マレー)、マブス(ドンチッチ)、ブレイザーズ(リラード)、ネッツ(アービング)など。これらのチームが、ウェストブルックを欲しがっているとは思えない。
サンズやホークスといった若手中心で再建中のチームも同様。ウェストブルックを獲得すれば確実な戦力アップにはなる。ただ、デビン・ブッカーやトレイ・ヤングとの相性が良いとは言えない上、チームコアと年齢のかけ離れた32歳選手の超高額契約を背負い込むのはリスクがありすぎる。
またラプターズやヒートなどは、2021年FA(ヤニス・アデトクンボ)のためにキャップスペースを空けておきたいはずだ。
The Athleticによると、シャーロット・ホーネッツがウェストブルック獲得に関心を示しているとのこと。
今のホーネッツは絶対的なエースや将来のフランチャイズスター候補がいない状態。ウェストブルックがOKCにいた頃のような“司令塔”の役割になれる場所であり、また「Jordanブランド」の広告塔としてチームオーナーのマイケル・ジョーダンとのコネクションもある。
ただ問題は、ロケッツがホーネッツから何を得られるのかという点。ホーネッツとしては、2020年ドラフト3位指名権は言うまでもないが、デボンテ・グラハムやPJ・ワシントン、マイルズ・ブリッジズといった将来有望な若手も手放す気はないだろう。
もしトレードが成立するとすれば、ホーネッツのオファーはテリー・ロジアー+サラリー調整要員(ニコラス・バトゥームもしくはコーデー・ゼラー)になるはず。果たしてロケッツがこの見返りで満足できるかどうか…?
個人的には、他のトレード先として、デトロイト・ピストンズあたりも面白いと思う。
ピストンズがトレード相手なら、ブレイク・グリフィンとウェストブルックのスワップ。グリフィンは健康状態さえ維持できれば今でもオールNBAクラスの選手であり、オールラウンドなスキルに長けたビッグマンなので、ハーデンとの相性も抜群なはず。
他の選手からも不満?
ロケッツからはウェストブルックだけでなく、他の選手たちからも不満の声があがっているという噂だ。
The Athleticによると、エリック・ゴードンはここ数年でオンコートでの役割を減らされたことに納得できていない様子。また“マイクロ・ボール”のセンターとして怪我を押しながらチームに尽力したPJ・タッカーは、自身の契約状況に憤りを感じていたという。
他にも、オースティン・リバースやダニエル・ハウスらがチームにフラストレーションを感じていると報じられており、ハウスはシーズン中にマイク・ダントーニ元HCやハーデン、ウェストブルックに直接異議を申し立てたことがあるらしい。
今オフに入ってから、すでにマイク・ダントーニとダリル・モーリーの重鎮2人と決別したロケッツ。ここからさらにロスターの改革も迫られることになりそうだ。
ソース:「The Athletic」