ウェストブルックとアダムスのアリウープが炸裂
シューターでフロアスペースを広げながらエクスキュートするラッセル・ウェストブルックとスティーブン・アダムスのスプレッド・ピック&ロールは、アンストッパブルに近い。
現地31日に行われたオクラホマシティー・サンダー対ミルウォーキー・バックス戦でも、第1Qから見事なアリウープを成功させ、チームに勢いを与えた。
他の3選手をスリーポイントラインの外に置いて、手薄になったペイントエリアをアタック。シンプルながら破壊力抜群だ。もしウィークサイドのディフェンダーがアダムスのロールに引き寄せられれば、ウェストブルックは瞬時にそれを判断して、オープンシューターにキックアウトパスを出す。上の場合でも、一瞬パスがコーナーに飛んでいくのかと思わされる。
ウェストブルックとアダムスのピック&ロールアクションは、ケビン・デュラントがいた頃から多用されてきたプレイだが、深刻なシューティング不足だった昨季は、相手チームがスリーポイントラインを放置してペイントエリアに壁を作っていたため、アリウープのようなイージーフィニッシュを決めるのが難しい状況にあった。そのため昨季のアダムスは、ノーチャージエリアの外からフローターを打つポゼッションが増え、FGアテンプトにおけるダンクシュートの割合が2015-16シーズンの27.7%から昨季は19.8%に減少していた。
▼昨季は壁
▼壁
OKCがポール・ジョージとカーメロ・アンソニーら優秀なシューターを獲得したことにより、その影響が最も大きく出ているのはアダムスのパフォーマンスかもしれない。その証拠に、2人のボリュームシューターがチームに加入したにもかかわらず、今季アダムスは得点、リバウンド、オフェンスリバウンド、アシスト、FGアテンプト、FG成功率などほぼすべての項目でキャリアハイを平均中。FGアテンプトにおけるダンクシュートの割合は31.8%に増加している(今季7試合ですでに20本のダンク)。31日の試合でも、バックスのビッグマンをインサイドで圧倒し、26分の出場で14得点、11リバウンドのダブルダブルをあげた。
この日の試合は、サンダーが前半にバックスエースのヤニス・アデトクンボをファウルトラブルに追い込んで主導権を握り、最終的に110-91で圧勝。特に守備が素晴らしく、アデトクンボ以外のバックス選手の得点を一桁台に抑えている。
またオフェンスも非常にバランスが良く、アダムスの他には、ウェストブルックが12得点、10リバウンド、9アシスト、ポール・ジョージがチームハイの20得点、カーメロ・アンソニーとジェラミー・グラントがそれぞれ17得点をマーク。アンソニーは、オフェンスの負担が減って動きが軽快になったのか、ニックスにいた頃よりも積極的にドリブルでバスケットを攻めている印象だ。セカンドユニットに入った際にも、アイソレーションからミドルレンジを連発するのではなく、ドライブ&キックなどからオフェンスを組み立てようとしている。
サンダーはこの調子でケミストリーを構築していけば、プレーオフでウォリアーズと互角に渡り合えるチームになれるかもしれないが、そのための大きな課題の一つはSGポジション、ラス/PG/メロ/アダムスのコアにフィットできる5番目の選手を見つけることだろう。アンドレ・ロバーソンは超1流のディフェンダーだが、オフェンスではゼロどころかマイナスになる場合もあり、オープンスリーだけでなく、フリースローをエアボールすることさえある。アレックス・アブリネスが入ればオフェンスが円滑になるが、トップチームとの対戦では守備面での不安が大きい。
サンダーに優秀な3&Dのロールプレイヤーがいれば、本当に恐ろしいチームになりそうだ。
ボックススコア:「NBA」