平均10アシスト/3TO、クリス・ポールが“ポイントゴッド”に相応しい究極のシーズンスタッツ記録
今年で37歳、NBAキャリア17シーズン目を終えた大ベテランポイントガードのクリス・ポール。得点面ではクリッパーズ退団後の2017年あたりから年々減少しているものの、プレイメイクの面では1ミリも衰えを見せていない。
今季はキャリア通算アシストで歴代3位に浮上する偉業を成し遂げた他、“ポイントゴッド”の敬称に相応しい史上有数のスタッツを記録している。
2021-22シーズンのポールは65試合の出場で10.8アシストを平均し、キャリア通算5回目のアシスト王を獲得。その一方で、1試合の平均ターンオーバー数をわずか2.4本に抑える完璧な司令塔ぶりだった。
1シーズンに平均10アシスト以上を記録しながらターンオーバーを2.5本以下に抑えたのは、2014-15シーズンのクリス・ポール以来7年ぶり。NBA史で見ても、10以上/2.5以下のアシスト/TO比率を記録した選手はポールの他、マグシー・ボーグスとジョン・ルーカスの2人しかいない。
仮に平均10アシスト以上/3ターンオーバー以下にハードルを下げても、歴代で達成者は5選手のみ。2000年以降のNBAではポールただ1人だ。
NBAでは、「50-40-90」(シーズン平均FG/3P/FT成功率)を達成した選手に超エリートシューターの称号が与えられるが、それと似たような形で究極のプレイメーカーの証の一つとして「10アシスト/3ターンオーバー」のスタットラインを評価するのもありだと思う。
▼「10アシスト/3ターンオーバー」クラブ
- 2021-22クリス・ポール:10.8アシスト/2.4ターンオーバー(14.7得点)
- 2014-15クリス・ポール:10.2アシスト/2.3ターンオーバー(19.1得点)
- 2012-14クリス・ポール:10.7アシスト/2.3ターンオーバー(19.1得点)
- 2009-10クリス・ポール:10.7アシスト/2.5ターンオーバー(18.7得点)
- 2008-09クリス・ポール:11.0アシスト/3.0ターンオーバー(22.8得点)
- 2007-08クリス・ポール:11.6アシスト/2.5ターンオーバー(21.1得点)
- 1993-94マグシー・ボーグス:10.1アシスト/2.2ターンオーバー(10.8得点)
- 1989-90マグシー・ボーグス:10.7得点/1.8ターンオーバー(9.4得点)
- 1987-88テリー・ポーター:10.1アシスト/3.0ターンオーバー(14.9得点)
- 1986-87ドック・リバース:10.0アシスト/2.6ターンオーバー(12.8得点)
- 1983-84ジョン・ルーカス:10.7アシスト/2.3ターンオーバー(10.9得点)
ターンオーバーが公式スタッツとしてカウントされ始めた1977-78シーズン以降で、「10アシスト以上/3ターンオーバー以下」が記録されたのは上記の11回のみ。その内の6回がクリス・ポールによるものだ。
単純にアシストとターンオーバーを比較するだけで、ポイントガードとしての能力を評価するのは適切ではないが、ポールはキャリア平均18.1得点とスコアリング面も優秀。さらに通算9回のオール・ディフェンシブ・チームに選出されるなど、守備力も極めて高い。
優勝経験のないポールがNBA歴代屈指のポイントガードの1人に数えられる理由は、攻守で穴のないツーウェイPGとして長年走り続けてきたからこそ。特にリーグ3年目だった2007-08シーズンには、アシスト王とスティール王の二冠を達成しつつ(平均21.1得点/11.6アシスト)、スティール数でターンオーバー数を上回る快挙を成し遂げた。
▼ポイントゴッド
2021-22レギュラーシーズンでは“ポイントゴッド”ぶりを存分に発揮していたポールだが、ポストシーズン中盤からは怪我の影響もあってか大失速。
ウルブズとの第1ラウンドからマブスとのシリーズ第2戦にかけての8試合で22.6得点/9.9アシストを平均する活躍を見せるも、ウェスト準決勝第3戦以降の5試合では合計ターンオーバー/ファウル数でそれぞれFG成功数を上回ってしまい、カンファレンス・セミファイナルで敗退することとなった。
スタッツ:「NBA」