クリス・ボッシュ、ヒート残留
レブロン・ジェイムスのキャブス復帰により、ヒートのビッグスリー時代はついに終わりを告げた。これからはクリス・ボッシュがマイアミを背負っていくことになる。
現地11日、ボッシュはヒートとの再契約に合意した。レブロンが移籍を発表した数時間後のことだ。ヒートがオファーしたのは、5年1億1800万ドルのMAX契約。レブロンがいなくなることでチームのサラリーキャップに大幅な空きが生まれたため、最大限の給与を提示してボッシュ慰留に努める結果となった。
ヒート残留の知らせと同時に、ボッシュの代理人は以下の声明を発表:
ボッシュはマイアミの過去4年間の素晴らしい快進撃に満足しており、パット・ライリーとミッキー・アリソンを信じている。ドウェイン・ウェイドとの関係も良好で、球団に全幅の信頼をおいている。
生まれ故郷であると同時に、ハーデン/ハワードのトッププレーヤを有するヒューストンから魅力的なオファーを受けていたボッシュだが、即座のチャンピョンシップ競争よりも、愛着のあるチームの再建に尽くす決意をしたようだ。
脇役から再び主役へ、ゲームアジャストが課題
ラプターズ時代は20得点、10リバウンド以上を平均するバリバリのエースだったボッシュ。ヒート移籍後は、インサイド主体のゲームからアウトサイドへとプレースタイルを大幅にアジャストし、進んでサポーティングキャストとしての役割を受け入れてきた。
▼ボッシュの年別ショットチャート
これまでずっと主役を演じてきた人間が、その役割を他人に譲り渡すというのは簡単なことじゃない。ボッシュはヒート移籍当時のことを次のように語っている:
ある特定の状況に立たされたとき、僕がどれだけ多くを譲らなくてはならないのかを改めて気付かされる。例えば試合終盤の大事な局面など、僕はいつでも「ポストにボールを出せ。俺が決めてやる」といった気概さ。でも実際は「いや、ここはウェイドにボールをまわすべきだな…」と判断しなければならなくなった。苦い薬を飲み込むような心境だったよ。
– クリス・ボッシュ
そうしてレブロンが絶対的エースとしての存在感を高めるにつれて、ボッシュのボールタッチは減り、得点も落ち込んでいった。
▼ボッシュのスタッツ推移(1試合平均)
チーム | シュート本数 | 得点 | リバウンド | |
09-10 | ラプターズ | 16.5 | 24 | 10.8 |
10-11 | ヒート | 13.7 | 18.7 | 8.3 |
11-12 | 〃 | 14.2 | 18 | 7.9 |
12-13 | 〃 | 12.3 | 16.6 | 6.8 |
13-14 | 〃 | 12.1 | 16.2 | 6.6 |
すべてはビッグスリーが円滑に機能するためであり、チャンピョンシップを勝ち取るため。ボッシュはエゴを捨てて脇役に徹し、NBA2連覇、ファイナル4年連続出場という快挙に大貢献した。
しかしこれからは違う。ボッシュはゲームを大きくアジャストして、ラプターズ時代のコンスタントなアグレッシブさを取り戻さなければならない。来季から再びチームを背負う大黒柱となるからだ。
※ ※ ※
レブロンのキャブス復帰が発表された時、ウェイドはシカゴ・ブルズ、ボッシュはヒューストン・ロケッツとそれぞれ出身地に移籍して、「2014年、ビッグ3生まれ故郷に帰る」みたいな展開を期待したが、そうはならなくて少し残念。
Thumbnail by Gabriel Li // StudioGabe/Flickr