ウェスタンカンファレンスの上位シード争いとNBAタイブレーク完全ガイド
現地11日、ロサンゼルス・クリッパーズがメンフィス・グリズリーズに勝利したことで、ウェストのプレイオフ2位シードを巡る争いがさらに激化する運びとなった。現在2位のグリズリーズと3位のクリッパーズ、5位のスパーズが54勝26敗で並び、6位のロケッツが53勝26敗でわずか0.5ゲームビハインド。このままいけば、2~4チームの最終成績がタイになる可能性も十分にある。
もしそうなった場合、どのチームがどの順位に落ち着くことになるのか?今回は、NBAプレイオフのシード順決定で2チームの成績が同じだった場合に適応される「タイブレーク・ルール」についてみていきたいと思う。
▼現地11日時点でのウェスト2位~6位
チーム | 成績 | |
2 | グリズリーズ | 54勝26敗 |
3 | クリッパーズ | 54勝26敗 |
4 | ブレイザーズ | 51勝29敗 |
5 | スパーズ | 54勝26敗 |
6 | ロケッツ | 53勝26敗 |
1.ディビジョン王者
まずタイブレークの決定で最優先されるのは、ディビジョン(地区)優勝チーム。
ウェスタンカンファレンスは「パシフィック」「ノース・ウェスト」「サウス・ウェスト」の3地区に分かれている。クリッパーズが属するパシフィック・ディビジョンはすでにウォリアーズの優勝が決まっており、ノース・ウェストはブレイザーズが勝ち取った(4位シード確定)。グリズリーズ、スパーズ、ロケッツのサウス・ウェストはまだ未定だ。
よって、もし4チームの最終成績が同じになった場合、サウス・ウェストの勝者が2位シードとなり、クリッパーズは3位以下が確定する。クリッパーズが2位になるためには、シーズン残り2~3試合で他の3チームすべてが最低でも1敗することが絶対条件となる。
2.直接対戦成績
次に優先されるのは、2チーム間の直接対戦成績だ。4チームのシーズンシリーズ結果は以下の通り:
MEM | LAC | SAS | HOU | |
MEM | – | 2-2 | 2-2 | 2-2 |
LAC | 2-2 | – | 2-2 | 2-2 |
SAS | 2-2 | 2-2 | – | 1-3 |
HOU | 2-2 | 2-2 | 3-1 | – |
グリズリーズ、クリッパーズ、スパーズの3チーム間の直接対戦成績は2勝2敗の引き分け。一方でロケッツはグリズリーズ/クリッパーズと2勝2敗だが、スパーズに1勝3敗で負け越した。
よって、スパーズとロケッツが同じ成績に終わった場合は、スパーズにタイブレークが与えられる。
3.ディビジョン内対戦成績
グリズリーズとスパーズのように、同一ディビジョンに属する2チームのタイブレークが直接対戦で決まらなかった場合は、ディビジョン内チームとの対戦勝率が考慮される。今季サウス・ウェスト地区内の対戦成績は次の通りだ:
- グリズリーズ – 9勝7敗(残り0試合)
- スパーズ – 8勝7敗(残り1試合)
- ロケッツ – 7勝8敗(残り1試合)
現時点でグリズリーズが同成績のスパーズよりも上位となっている理由はこれだ。
今季残りのディビジョン内対戦は、グリズリーズが0で、スパーズとロケッツが1試合ずつ。すでにロケッツはグリズリーズ、スパーズに対してタイブレークを失っている。
4.カンファレンス内対戦成績
これでもタイブレークが決まらない場合は、同一カンファレンスチームとの対戦勝率が適応される。4チームのカンファレンス内成績は:
- クリッパーズ – 35勝15敗
- グリズリーズ – 35勝16敗
- スパーズ – 31勝19敗
- ロケッツ – 31勝19敗
これにより、すでにグリズリーズはスパーズに対するタイブレークを獲得している。
※11日現在で確定しているタイブレーク:
- グリズリーズ > スパーズ: 直接対戦は2勝2敗の引き分けだが、カンファレンス内対戦成績でスパーズを上回っているため
- グリズリーズ > ロケッツ: 直接対戦は2勝2敗の引き分けだが、ディビジョン内対戦成績でロケッツを上回っているため
- クリッパーズ > スパーズ(地区王者にならなかった場合): 直接対戦は2勝2敗の引き分けだが、カンファレンス内対戦成績でスパーズを上回っているため
- クリッパーズ > ロケッツ(地区王者にならなかった場合): 直接対戦は2勝2敗の引き分けだが、カンファレンス内対戦成績でロケッツを上回っているため
- スパーズ > ロケッツ: 直接対戦を3勝1敗で勝ち越しているため
- サウス・ウェスト地区王者 > クリッパーズ
※ ※ ※
以上を考慮すると、もし4チームが同成績に終わった場合、2位グリズリーズ、3位クリッパーズ、5位スパーズ、6位ロケッツというシーディングになる。グリズリーズが有利な状況だが、残り試合のマッチアップを見ると必ずしもそうとは言えない。
各チームの残りスケジュールは:
- グリズリーズ: ウォリアーズ(13日アウェイ)、ペイサーズ(15日)
- クリッパーズ: ナゲッツ(13日)、サンズ(14日アウェイ)
- スパーズ: サンズ(12日)、ペリカンズ(15日アウェイ)
- ロケッツ: ペリカンズ(12日)、ホーネッツ(13日アウェイ)、ジャズ(15日)
グリズリーズはアウェイでのウォリアーズ戦が控えている。主力メンバーを休ませてくる可能性もあるが、今季ホーム成績37勝2敗のウォリアーズを本拠地で破るのは至難の業だろう。またロケッツもアウェイでのバック・トゥ・バックを含む4日間/3試合をこなす必要があり、スケジュール的にやや厳しい。
仮にグリズリーズが1敗して、他の3チームが全勝した場合、プレイオフのシード順は2位スパーズ、3位クリッパーズ、5位ロケッツ、6位グリズリーズとなる。ベストシナリオである。
なおウェスト8位シード争いは、現時点でペリカンズとサンダーが43勝36敗で同じ成績。タイブレークは、シーズンシリーズを制したペリカンズが握っている。
Image by MattBritt00/Flickr
ソース:「NBA」