ジェレミー・リンが中国リーグに移籍
ベテランガードのジェレミー・リンが活躍の場をNBAから中国に移す。
現地27日、中国プロバスケットボールリーグ(CBA)の北京ダックスがリンと契約を結んだことを発表。リン自身も、TikTokやTwitterなどSNSを通して中国への移籍をファンたちに伝えた。
https://twitter.com/RedLanternDM/status/1166300161401872384
「この9年間に僕をサポートしてくれた皆に感謝を伝えたい。アジア人を代表してNBAのレベルで活躍できた。そのことをずっと大切にしていきたい。北京ダックスの一員として次の一歩を踏み出すのが楽しみだ。新たな歴史を作ることにワクワクしている」
– ジェレミー・リン
昨季のリンはアトランタ・ホークスでの51試合で10.7得点を平均し、2月にチームとの契約バイアウトを経てトロント・ラプターズへと移籍。ラプターズ加入後は活躍の機会が大きく減り、特にプレイオフでは第1ラウンドからファイナルまでの4シリーズ合計でわずか8試合/27分の出場に留まったが、その一方でラプターズの一員として念願のリーグ制覇を達成している。
チャンピオンの肩書を手に入れたリンだが、今オフのFAではどのチームからもオファーが貰えず、かなり落ち込んでいた様子。7月末に台湾のテレビ番組に出演した際には、「英語には『一度どん底まで落ちてしまえば、あとは上にあがるだけ』という諺がある。でも今の僕は、どん底がどんどん深くなっているような気分だ」と涙ながらに話していた。
▼昨季のシーズンハイは26得点
リンサニティ
ハーバード大学を卒業後、2010年にドラフト外からNBA入りしたリンは、ニューヨーク・ニックスに所属していたプロ2年目の2011-12シーズンに大ブレイクする。
それまでほとんどプレイタイムを稼げていなかったリンだが、2012年2月4日に行われたニュージャージー・ネッツ戦でオールスターのデロン・ウィリアムズ相手に25得点/7アシストをマークすると、そこから10試合中9試合で20得点以上を獲得し、低迷気味だったニックスを勝率5割へと牽引(10試合で8勝2敗)。
NBAでは超レアなアジア人だったこともあってか、誰もが予想できなかったドラフト外若手選手の快進撃は各地から大注目を集め、その時のリンの人気ぶりは当時のチームエースだったカーメロ・アンソニーを上回るほど。世界的なセンセーションとなったその現象は、狂気を意味する英単語「insanity」をもじった“リンサニティ”(Linsanity)と呼ばれるようになった。
その後リンは、“リンサニティ”当時のパフォーマンスや熱狂度を維持できなかったものの、バックアップPGとしていろいろなチームで活躍。2010年のNBAデビューから9シーズンを通して8チームでプレイし、11.6得点/4.3アシストを平均している。
特にネッツ在籍時のリンはロングレンジショットを武器に加え、先発PGとしても十分に通用するレベルの選手に成長しつつあったが、2017-18シーズンの開幕戦で膝蓋腱断裂の重傷を負い、そのままシーズンを全休。この不運な怪我がなければ、リンのNBAキャリアはまた違ったものになっていたと思う。
ひとまず中国に活躍の場を移すこととなったリンだが、CBAのレギュラーシーズンは3月に終わるので、今季中にNBAに復帰する可能性も十分にある。
参考記事:「ESPN」