バックスファンがアデトクンボをMVPチャントで歓迎
ラプターズとの第6戦に及ぶ死闘の末、カンファレンスファイナルでプレイオフ敗退となった2018-19のミルウォーキー・バックス。1位シードでシリーズ2勝0敗という絶対的に有利な状況から4連敗で敗退と何とも残念な形でシーズンに幕を閉じることとなったわけだが、現地のバックスファンたちは最後まで奮闘した選手たちを温かく迎えた。
現地26日の未明、第6戦を終えたバックスが本拠地ミルウォーキーの空港に降り立つと、そこには深夜にもかかわらず多くのファンが殺到。ファンたちは意気消沈していたであろうエースのヤニス・アデトクンボに感謝と励ましの気持ちを込めて「MVP」コールを送った。
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2018-19シーズンのアデトクンボはキャリアベストとなる27.7得点、12.5リバウンド、5.9アシスト、FG成功率58.7%を平均してバックスを45年ぶりのリーグ首位(60勝22敗)に牽引。今季MVPのファイナリストに選ばれている。
プレイオフに入ってからもカンファレンス・セミファイナルまではほぼ無双状態を維持していたアデトクンボだったが、イースト決勝シリーズ(特に第3戦以降)では、カワイ・レナードの好守備に加えてゴール下に壁を築き上げるラプターズ守備戦略に大苦戦。レギュラーシーズンと比べて平均得点やFG成功率が大幅に下落し、その一方でターンオーバーが増加。オフェンスのリズムを狂わされたことでメンタルにも影響したのか、シリーズを通してフリースローのミスも目立ち(6試合でFT60本中35本)、それが敗因の一つとなった。
特にエースとしてレナードとの差が出たのは、勝負所での得点力とディシジョンメイキングだろう。強力なジャンプショットを持つレナードはチームオフェンスが停滞した苦しい時間帯にアイソレーションから点を取りに行けるが、今のアデトクンボにはそれがない。
本来ならばパスセンスはアデトクンボの方が優れている。ただ同シリーズでは、ペイントエリアでダブル~トリプルチームに囲まれた際、レナードは後ろに切り返すなりすぐにパスを出すなりして冷静に対処していたが、アデトクンボは強引にパワーで押し切ろうとしてショットミスやターンオーバーに終わってしまう場面が度々あった。
▼オフェンスが不調な時も守備面でのインパクトは絶大なヤニス
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なお今季バックスのように7ゲームシリーズで2勝0敗から逆転負けしたケースは非常に少なく、プレイオフ史上で今回が21回目(283シリーズ中)。自分のパフォーマンス次第では勝てるシリーズだっただけに、アデトクンボにとってスウィープよりも悔しい負け方だったかもしれない。
ただ挫折はどんなレジェンドでも通る道だ。あのレブロン・ジェイムスでさえも若い頃はジャンプショットやポストムーブなど弱点がいくつかあり、その弱点を突かれて初優勝までに何度もプレイオフから敗退。だが負ける度に弱点を克服していき、いくつもの伝説を作り上げた。
2度の優勝経験があり、シーズン終盤にスパーズからバックスへと移籍したパウ・ガソルは、優勝への道のりについてこんな風に語っている:
「レガシーを築き上げるために必要なのはハードワークと忍耐力、そして敗北から学ぶこと。このチームは今季に多くを達成し、長年の成功のための種をまいた。今のグループ、そして素晴らしいファンたちと共に、この旅路の一員になれたことを誇りに思う。これはほんの始まりに過ぎない」
– パウ・ガソル
※今年のイースト決勝ではガソル兄弟の直接対決が実現しなかったのが唯一の心残り
来季は各チームがラプターズの守備戦略を参考にし、アデトクンボを封じ込めようとするかもしれない。そうなった時にヤニスがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか本当に楽しみだ。
アデトクンボはシーズン最後の記者会見で、「勝つためには何をしなければならないのか分かった。僕は成長し続けることに誇りを持っている。ラプターズとのシリーズでそれを学んだ」とコメント。今回の苦い経験をバネにして、来季は選手としてさらに強くなって戻って来るだろう。
今オフのバックスは、クリス・ミドルトンやブルック・ロペス、マルコム・ブログドン、ニコラ・ミロティッチらがフリーエージェントとなるため課題が山積み(ジョージ・ヒルも部分保証契約で、7月2日までにウェイブしなければ来季サラリーが1800万ドル)。2020年の夏にはアデトクンボの延長契約が控えているので、今夏のチーム作りでは絶対に失敗は許されない。
Via Milwaukee Bucks