クリッパーズがトレードでパウエルとコビントン獲得、ブレイザーズは本格的に再建突入か
デッドラインを1週間後に控え、今季もついに本格的な”トレード期”に突入。現地2月4日には、今後のウェスタンカンファレンスの勢力図を塗り替える可能性のあるビッグトレードがさっそく実現した。
現地4日、ロサンゼルス・クリッパーズとポートランド・トレイルブレイザーズは両チーム間でトレードが成立したことを発表。クリッパーズがブレイザーズからノーマン・パウエルとロバート・コビントンの2選手を獲得だ。
トレードの詳細は:
- クリッパーズ獲得:ノーマン・パウエル、ロバート・コビントン
- ブレイザーズ獲得:エリック・ブレッドソー、ジャスティス・ウィンズロー、キーオン・ジョンソン、2025年ドラフト2巡目指名権
このトレード成立のニュースを受け、「は?なんで??」という第一印象を抱いたファンも多いはず。1~3年の短期的な戦力面だけを考えると、完全にクリッパーズの一人勝ちだ。
クリッパーズ視点
クリッパーズは、ベテラン2選手と最小限のアセット放出で、大幅なロスターのアップグレードに成功した。
▼パウエルは2日前の試合で30得点マーク
まずパウエルは、今季40試合でキャリアベストの18.7得点、2.1アシストを平均中。1番から3番までガードできる3&Dのウィング選手であり、オンボールでの得点力に加え、キャリア3P成功率38.2%とロングレンジにも強い。今季チームの即戦力になるだけでなく、ロールプレイヤーとしてカワイ・レナードとポール・ジョージのスターデュオに上手くフィットできるだろう。
またコビントンも、今季は精彩を欠いているものの、本来は守備力に長けた万能タイプの選手。特にヘルプディフェンスに強く、スモールラインアップでセンターに入ることもできる。
なおコビントンは今季いっぱいで契約終了で、クリッパーズが放出したブレッドソーは来季契約が部分保証、ウィンズローは来季で契約満期。もし両チームとも、この3選手を来季以降のロスターに残すつもりがないのであれば、クリッパーズは2021年ドラフト1巡目21位指名権(キーオン・ジョンソン)と将来の2巡目指名権でパウエルを獲得したとも言える。どう考えても”ホームラン”だ。
南カリフォルニア(サンディエゴ)出身のパウエルも、LAへの移籍を喜んでいる様子。
クリッパーズにとって、今回のトレードは今季よりも来季以降を見据えたもの。レナードとPG13のスターデュオを、パウエルやレジー・ジャクソン、マーカス・モリス、イビチャ・ズバッチ、テレンス・マンらのロールプレイヤーで支えるロスターは、怪我さえなければ確実に優勝候補になれる。
ただ戦力アップの見返りとして、クリッパーズは巨額のラグジュアリータックスを支払うことになる。ESPNのボビー・マークス記者によると、今回のトレードを経て、今季クリッパーズのラグジュアリータックス総額は9390万ドルから1億1290万ドルに跳ね上がるそうだ。
ブレイザーズ視点
一方でブレイザーズが得たのは、サラリーダンプとキャップスペースの柔軟性。チームのジョー・クローニン暫定GMはトレードについて、「サラリーキャップを整理することで、来週のトレードデッドラインやその先、今夏のドラフトやフリーエージェンシーへの可能性を広げることができた」と説明している。
ESPNによると、ブレイザーズはパウエルとコビントンの契約を放出したことにより、今季のタックスラインを下回ることに成功。ただ、他のチームからもっと良いオファーがあったのでは?とどうしても思ってしまう。
ブレッドソーとウィンズローは、ブレイザーズの将来的なロスタープランには含まれていないはず。2021年ドラフト1巡目指名のキーオン・ジョンソンは伸びしろのある19歳のアスレチックなガードだが、今のところNBAチームのローテーションに入れるような活躍はしておらず、将来的にどんな選手になるのかは完全に未知数だ。
今回のトレードにより、ブレイザーズはようやく本格的な再建に踏み出した印象。現地メディアの間では、トレードデッドラインもしくは今夏オフにCJ・マッカラムも放出されるだろうとの見方が強い。そうなると、デイミアン・リラードの移籍もいよいよ現実味を帯びてくる。
参考記事:「NBA」