バトゥームの決勝ブロックでフランスがスロベニアに辛勝、21年ぶりの五輪メダル確定
8月5日にさいたまスーパーアリーナで行われたフランス対スロベニアの東京オリンピック男子バスケットボール準決勝は、正念場で見事な守備を見せたフランスが90-89でスロベニアに勝利。決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた。
FIBAワールドカップでは過去2大会連続で銅メダルを勝ち取っているフランス代表だが、オリンピックでのメダル獲得は2000年シドニー五輪での銀メダル以来21年ぶり。通算3度目となる。
最終クォーターで終始1~2ゴール差を争う今大会一の激闘となったフランス対スロベニアの準決勝。第4Q残り56秒にティモテー・ルワウ=キャバロのスリーで5点リードを奪ったフランスに対し、スロベニアは次の20秒間で4連続得点を獲得。1点差まで迫ると、さらに残り時間21秒にはフランスの追加点を阻止し、逆転勝利のチャンスを手にする。
最後の最後で窮地に立たされたフランス。チームを救ったのは、ニコラス・バトゥームの神守備だった。
オリンピックバスケットボール史に残る素晴らしい守備だった。
バトゥームはまずルディ・ゴベアとのミスマッチを攻めようとしたルカ・ドンチッチにソフトダブルを仕掛けてボールを手放させると、パスがクレメン・プレペリッチに渡るや否や迅速にリカバー。プレペリッチのドライブにぴったりと食いつき、完璧なブロックショットで逆転レイアップを阻止した。
NBAを含むバトゥームのキャリアで最高のハイライトプレイ。試合後、バトゥームはブロックの瞬間をとらえた一枚をTwitterに共有し、「息子の部屋に飾る次のポスターはこれ!」というメッセージを添えた。
死闘を勝ち抜いたフランスは、ナンド・デ・コロが25得点、エバン・フォーニエが23得点と、先発バックコートがオフェンスを牽引。昨季NBAのDPOYを受賞したルディ・ゴベアは9得点、16リバウンド、4ブロックをマークし、ゴール下で存在感を発揮した。
また決勝ブロックを決めたバトゥームは、33分の出場でFG5本中1本の3得点に終わるも、守備面で勝利に大貢献。ルカ・ドンチッチのマークを担当し、1on1でドンチッチのレイアップやフローターをブロックするなどファインプレイを何度も見せた。
ドンチッチは不調
一方で敗れたスロベニアは、エースのドンチッチが16得点、18アシスト、10リバウンドを獲得。オリンピックの試合でトリプルダブルが達成されたのは、2012年ロンドン五輪アメリカ対オーストラリア戦でのレブロン・ジェームズ(11得点/14リバウンド/12アシスト)以来初で、史上3度目となる。
またドンチッチがこの日の試合でマークした18アシストは、オリンピックバスケットボールで歴代2位の大記録だ(1位は1976年メキシコ代表マニュエル・サエンスの20アシスト、3位は2000年カナダ代表スティーブ・ナッシュの15アシスト)。
卓越したプレイメイク力で偉業を達成した準決勝でのドンチッチだが、その一方でスコアリングではFG18本中わずか5本成功と大苦戦。第1Q序盤に2本連続スリーを沈めるなど上々な立ち上がりを見せていたが、その直後に転倒して肘から流血したのも関係あるのか、そこからシュートタッチが大きく乱れてしまう。
中盤からのドンチッチはステップバック・スリーをことごとく外し、第2Q以降のフィールドゴール成功数が3ピリオド合計でわずか2本のみ。ゴベアを軸にしたフランスの守備が良かった部分はもちろんあるが、本来得意とするポストアップやピック&ロールからのリムアタックにまったく持ち込めず、特に終盤はショットへの自信を無くして積極性に欠けていたような印象さえあった。
▼試合後、「お前と戦うのはしんどい」とドンチッチに声をかけるバトゥーム
スロベニアはドンチッチの他、先発センターを務めたマイク・トービーがチームハイの23得点で奮闘。準々決勝で大活躍したゾラン・ドラギッチは最後までリズムを掴めず1得点に終わっている。
フランスは8月7日に金メダルをかけてアメリカと対戦。アメリカにとっては、今大会予選ラウンドでのリベンジを果たすチャンスだ。
スロベニアは同じ7日に銅メダルをかけてオーストラリアと戦う。
ボックススコア:「FIBA」