カワイ・レナード 「生涯スパーズのユニフォームを着たい」
10月31日までにサンアントニオ・スパーズと延長契約を結べなかったカワイ・レナードは、来年のオフシーズンに制限付きFAとなる。わずか22歳でファイナルMVPを受賞した将来有望な逸材なのになんで?と思われたかもしれないが、スパーズにはちゃんとした計画があるようだ。
スパーズはレナードの価値を十分理解しているし、レナードを手放す気もさらさらない。そのことはレナード自身も良くわかっている。
レナードは『USA TODAY』誌のインタビューで契約延長の件について次のように語った:
「(契約延長の件で)気を病んだことは1度もない。球団は彼らの計画や、まだ契約しない理由について僕に説明してくれたからね。それはそれで話が進むはずだ。僕のやるべきことは、ただバスケットボールをプレーすること。そして楽しみながら、もう一度リーグ制覇に挑戦することだ。もし契約の件を気にかけてしまうと、僕は同じプレーヤーでいられなくなる。焦りは禁物。プレーに表れてしまうからね」
さらにレナードは将来の理想についてもコメント:
「僕はどこにもいかないと思う。ここではみんな僕を愛してくれているし、僕もこの球団が大好きだ。もし僕に決定権があるなら、過去の偉大な選手たちがそうしてきたように、1つのチームでキャリアを終えたい。1つの球団にずっと在籍して、そこに忠実でありたいんだ。どうなるかはわからない。来年の夏には結果が出るよ。でも僕は生涯スパーズのユニフォームを着ると確信している」
スパーズファンにとって、これほど嬉しい言葉はない。
レナードは10日のロサンゼルス・クリッパーズ戦で、自己ベストタイとなる26得点を記録。スパーズの3点リードで迎えた第4Q残り50秒にはクリス・ポールからボールをスティールし、勝利の立役者となった。
▼レナード、クリッパーズ戦ハイライト
ディフェンス力で試合の流れを一変させられる選手はとても貴重だ。
▼2014年WCファイナル第6戦のクラッチディフェンス!!
スパーズがレナードと延長契約しなかった理由は、マックス契約を渋ったからではなく、恐らく最初にティム・ダンカンとマヌ・ジノビリの去就を確認しておきたいからだろう。
この2人が今季限りで引退となれば、スパーズのキャップスペースに大きな空きが生じるので、来年のオフシーズンに大型FA選手獲得が可能になる。もしそうなった場合、スパーズはレナードとの契約を先延ばしにしたことで、約800万ドル分のキャップスペースを余分に確保したことになるのだ。
仮にレナードとマックスの延長契約を結んでいたなら、来シーズンのキャップには約1550万ドル分のサラリーが計上されるはずだった。代わりにレナードが制限付きFAになることで、キャップスペースへの負担はわずか720万ドルとなる。この差額の830万ドルが来夏のFA争いで大きな役割を果たす。
スパーズのプランはこんな感じだろう: マックス契約のFA(マーク・ガソル?)や他のロールプレーヤー獲得にキャップスペースを使い、カワイ・レナード/ダニー・グリーンと「バード条項」を使って再契約。
もちろんチャンドラー・パーソンズを逃したロケッツのようになってしまうリスクはあるが、スパーズは何があってもレナードを手放したりはしないはず。
▼ダンカンからレナードへ
「レナードはコーチの夢」
レナードの価値を最も理解しているのは、他の誰でもないグレッグ・ポポビッチHCだろう。これまでにも「レナードは将来のフランチャイズスター」と大絶賛してきた。
ポポビッチHCは10日の試合後インタビューでこんなコメントを残している:
「今夜はこれまで以上にレナードを軸にしたプレーを実行した。これが今後のプランだ。レナードにボールを集め始めなければならない。彼こそがスパーズの未来なんだ。ティムとマヌがあと6~7年より長く現役を続けるとは思わない。だから他の誰かにやらせる必要がある」
またポポビッチHCは、レナードの謙虚な性格や練習に臨む姿勢を非常に高く評価している。「コーチの夢」とまで言わしめた。
「レナードが私に口答えしたことは1度もない。もしくは『ポップ、こうしたらどうかな…?』、『ポップ、こうしたいんだけど…』なんて意見してきたことも1度すらない。信じられないほどにコーチしやすく、教え甲斐のある選手だ。与えた役目を何でもこなしてくれる。真面目な話、レナードはコーチの夢だよ」
レナードはスパーズにとってまさに理想的なプレーヤーだ。
Photo: Mark Runyon |BasketballSchedule.net via Flickr
参考記事:「USA Today」、「40 Minutes of Hell」