カイリー・アービング、セルティックスに移籍
リーグに衝撃を与えたカイリー・アービングのトレードリクエストから約1ヵ月、大きな勝負に出たのは、クリーブランド・キャバリアーズのカンファレンスライバルだった。
ボストン・セルティックスは現地22日、キャブスとの間でトレードが成立したことを発表。アイザイア・トーマス、ジェイ・クロウダー、アンテ・ジジッチの3選手とブルックリン・ネッツの2018年ドラフト1巡目指名権を放出する代わりに、キャブスからカイリー・アービングを獲得する。
正直なところ、まったく予想外の結末だ。アービングがトレードを要求しているというニュースが最初に報じられた時、本人が希望する移籍先にセルティックスは含まれていなかった。アービングの契約はあと2年しか残っていないが(2019-20シーズンはプレイヤーオプション)、あのダニー・エインジ球団社長がこれだけ多くを手放してもトレードに踏み切ったということは、再契約できるという確信みたいなものが何かあるのかもしれない。
昨季のアービングは、レギュラーシーズン72試合でキャリアベストとなる25.9得点、6.0アシスト、スリー成功率40.1%を平均。守備があまり得意でなく、健康面でもやや不安のある選手だが、1on1スコアラーとしての実力はリーグ屈指で、キャブスの初優勝を決めた2016年ファイナル第7戦でのクラッチスリーなど、大舞台でステップアップできる勝負強さは証明済みだ。ゾーンに入った時はどんなディフェンダーが相手でもショットを決めまくるスキルがあり、今夏にセルティックスからトレード放出されたエイブリー・ブラッドリーも、「ガードするのが最も難しい選手」とアービングを大絶賛している。
▼アービングのクラッチショット集
今回のトレードにより、セルティックスは昨季の先発ラインアップからチーム残ったのがアル・ホーフォードのみとなる。エースのトーマスをはじめ、ベストディフェンダーのブラッドリー、オールラウンダーのクロウダーら主力を一斉に失うこととなったが、今夏はアービングの他にも、オールスターのゴードン・ヘイワード、さらにトレードでマーカス・モリスを獲得した。
ロスターの戦力的に昨季よりも強くなったのかどうか、今の時点で判断するのは難しいが、長期的なチーム作りの面で見ればさらに一歩前進したと言えるかもしれない。新生セルティックスがブラッド・スティーブンスHCの指揮下でどんなチームになるのか非常に楽しみだ。
ただ、昨季にスターへと大躍進してチームを引っ張り、ファンたちからも愛されたトーマスが、こんなにもあっさりとトレードされてしまったのは、少なからずショックだ。トーマスは来季で契約終了となるため、セルティックスとしては2018-19シーズンに30歳となる身長175cmのポイントガードとマックス契約を結ぶのにやや抵抗があったのかもしれないが、やはりNBAはビジネスなのだと痛感させられる。
「アイザイアはセルティックであることの意味を体現してくれた。彼はその情熱と人柄でファンたちの心を掴んだ」
– ダニー・エインジ球団社長
▼ケビン・ラブとトーマスは学生時代にもチームメイトだった。トーマスはラブの家によく泊まりに行っていたらしい
https://twitter.com/Coach_Weber/status/831679870170234882
一方のキャブスにとって、今回のトレードは大勝利だったと言えるだろう。
アービングを失ったのはもちろん痛いが、アービングとほぼ同じレベルのトップスコアラーと、複数のポジションにスイッチできる優秀な3&Dウィングを獲得。加えて、上位5位指名になる可能性も高いネッツの2018年ドラフト指名権まで手に入れた。チームを出たがっていた選手と引き換えにこれだけ獲得できれば上出来だ。来夏にトーマスとの再契約をどうするかという問題はあるが、戦力的には昨季よりもパワーアップしたと言えるかもしれない。
さらにキャブスは、アービングの高額サラリーを手放したことにより、来季のラグジュアリータックスを2900万ドルほど節約できるようになる(7840万ドルから4930万ドルに減少)。
同じカンファレンスのライバルチーム同士が主力選手を交換するというのは極めてレアだ。なおアービングの古巣初凱旋は、シーズン開幕日の10月17日となる。
Image by Keith Allison
参考記事:「ESPN」