レブロンのバスケットボールIQの高さが良く分かる30秒間
レブロン・ジェイムスは、あらゆるスキルを兼ね備えた完璧なオールラウンダーだ。歴代屈指の身体能力や得点力もさることながら、レブロンのサイズであれほどのコートビジョンとパスセンスを持つ選手は、NBA史上でもほとんどいない。現地9日に行われた2017ファイナル第4戦では、その司令塔ぶりを遺憾なく発揮してキャブスを圧勝に導いた。
第4戦でのレブロンの数々のファインプレイの中でも、特にバスケットボールIQの高さが表れていたのが第3Q中盤での30秒間。このプレイについて、76ersの元バスケットボール戦略部門バイスプレジデントであるBen Falk氏が詳しく説明していたので、以下に紹介したい:
最初のポゼッションでは、カイリー・アービングがボールハンドラーでピック&ロールを仕掛け、ザザ・パチュリアをスイッチさせたくないウォリアーズは、アービングをトラップすることで対応。すぐにアービングはロールしたトリスタン・トンプソンにパスを出すが、そこへステフィン・カリーがサイドからヘルプに入り、攻撃を阻止した。
ポゼッションはターンオーバーに終わったものの、映像を見ると、レブロンがウィングからトンプソンに指示出ししていたのがわかる。そしてこの時すでに、このディフェンスに対する攻略法を考え付いているのだ。
▼ダブルチームから
▼カリーがヘルプ
続くポゼッションではレブロンがボールハンドラーを務め、さっきと同じようにパチュリアのマークマン(TT)にスクリーンをセットするよう指示。ウォリアーズは引き続きボールハンドラーにダブルチームを仕掛けて対応しようとするが、レブロンは次にカリーがサイドからヘルプに来ることを見越し、ロールしたトンプソンに合わせてペイントへのパスフェイクを入れる。こうすることで、さらにカリーをヘルプにコミットするように仕向け、その隙にノーマークになったコーナーのJ.R.スミスに絶妙なアシストを出した。
レブロンはロールマンに対するヘルプがコーナーから来ることがわかっていたので、カリーの動きを読むことに集中。じっくりとダブルチームを引きつけながら、タイミングを見計らってフェイクを入れ、もしカリーが食いつけばコーナーにパスを出し、もしカリーが動かなければトリスタン・トンプソンへのパスでレイアップになる。
コートにいながら瞬時に守備のスキームを理解して攻略法を見つけ、さらにその直後にそれを実行できるレブロンのバスケットボールIQの高さは驚異的だ。
Image by Keith Allison