ドローファウルの判定が厳格化されるNBA、今季からNGとなるプレイの例を紹介
今オフシーズンに“ドローファウル”に関するルール変更を発表したNBA。今季からは、オフェンスプレイヤーが自分から不自然にディフェンダーにぶつかりにいってファウルをもらおうとする行為(ノン・バスケットボール・ムーブ)はノーコール、過度な場合はオフェンシブファウルがコールされるようになる。
NBA審判協会は現地9月30日、今後適用されるノン・バスケットボール・ムーブの判断基準について公式Twitterアカウントで参考映像を公開。以下の動画では、それぞれの状況でどんなプレイが「オフェンシブファウル」「ノーコール」もしくは「ディフェンシブファウル」として判定されるのかが紹介されている。
1.まず最初のシチュエーションは、シューターがポンプフェイクでディフェンダーを浮かせてファウルをもらいにいった場合:
いずれも実戦でディフェンス側のファウルと判定されたプレイ。だがルール変更後は、1つ目(ルカ・ドンチッチ)が「オフェンシブファウル」、2つ目(クリス・ミドルトン)が「ノーコール」、3つ目(CJ・マッカラム)が「ディフェンシブファウル」と見なされる。
ドンチッチのプレイは、前にジャンプして自分からぶつかりにいくという本来のシュートモーションとはかけ離れた“ノン・バスケットボール・ムーブ”なのでアウトだ。
ミドルトンの場合は、自ら前に飛んでドローファウルしようとしたのは同じだが、ドンチッチほど過度ではなく、またディフェンダーとのコンタクトも最低限だったためノーコール。このケースは判定が非常に難しいところだろう。
3つ目のマッカラムは、ポンプフェイクでしっかりとディフェンダーを自分の領域に誘い込んでからドローファウル。3点プレイを狙う上でお手本のようなムーブだ。
2.続いて、ドリブル中の選手が進路変更してディフェンダーと接触した場合:
Here is an example of a non-basketball move where the offensive player veers off his path into the defender in an abrupt manner. pic.twitter.com/E5rSgCETAr
— NBA Official (@NBAOfficial) September 30, 2021
1つ目のプレイ(ステフィン・カリー)は、ドリブラーが急に方向転換して自ら後ろのディフェンダーに当たりにいっているため、今季からはオフェンシブファウルの対象。こんなムーブがありだと、ディフェンダーの行動範囲が大きく制限されてしまう。
2つ目のプレイ(カイリー・アービング)も、自分からコンタクトを誘っている点では同じだが、ディフェンダーとの接触が最低限なためノーコール判定。一方で3つ目のプレイ(トレイ・ヤング)では、ドリブラーが急停止したところにディフェンダーからぶつかったという形なので、従来と同じくディフェンシブファウルでフリースローが与えられる。
3.次は、シュートリリース後の選手がディフェンダーと接触した場合:
In this non-basketball move, the offensive player overtly extends a portion of his body into a defender. pic.twitter.com/4vbW1wyRtr
— NBA Official (@NBAOfficial) September 30, 2021
このケースは分かりやすい。1つ目のプレイ(デビン・ブッカー)は、シューターが不自然に足を伸ばしてディフェンダーを巻き込んでいるのでオフェンス側のファウル。一方で2つ目のプレイ(ジョーダン・プール)は、シュート後の選手が足を突き出しているものの、ディフェンダーの動きを大きく阻害するレベルではないためノーコールとなる。
3つ目のプレイ(ロニー・ウォーカー)では、ディフェンダーがシューターの着地点に侵入しているので、これまでと同じく問答無用でディフェンシブファウルだ。
4.最後は、オンボールの選手がドリブルと反対の手でディフェンダーをフックした場合:
This is an instance of a non-basketball move where the offensive player uses his off-arm to initiate contact with a defender. pic.twitter.com/fLiPhg9y5K
— NBA Official (@NBAOfficial) September 30, 2021
近年のリーグでは、ハンドチェックに対して強引にシュートモーションに入ってタッチファウルを誘う「リップスルー・ムーブ」などが“コンティニュエーション”(シューティングファウル)と見なされなくなった。ただそれでも、オフェンス側から腕を絡めるフックは、ディフェンダーのファウルとしてカウントされる場合が多かった。
だが今季からは、ついにフックに対しても判定が厳格化。上の例でも、1つ目のプレイ(トレイ・ヤング)は、ドリブラーが自分からディフェンダーの腕を巻き込もうとしているため、今後はオフェンシブファウルとなる。
一方で、2つ目のプレイ(ジェイムス・ハーデン)はノーコール。コンタクトを仕掛けているのはオフェンス側のハーデンだが、コンタクトが双方のプレイに影響するレベルではないため笛は鳴らない。
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ボールハンドルやフットワークを駆使して相手のファウルを誘うプレイは、立派な技術の一つ。ただあまりにあからさまだと、見ている側がしらけてしまう。なので今回のルール変更を歓迎する声は多い。