OKCがカーメロ・アンソニー放出でシュルーダーを獲得
オクラホマシティ・サンダーが、多額のラグジュアリー税削減とロスター補強に成功だ。
ESPNのAdrian Wojnarowski記者によると、サンダーとアトランタ・ホークスが現地19日にトレードで合意。サンダーはカーメロ・アンソニーと2022年ドラフト1巡目指名権を放出し、ホークスからデニス・シュルーダーとマイク・マスカーラを獲得する。
サンダーにとって今回のトレードの主な目的はサラリーダンプだ。
来季サンダーのロスターにアンソニーが残っていれば、来季サラリー+ラグジュアリータックスの総額でリーグ史上最高額となる約3億ドルを支払うはずだったが、アンソニー(年俸2790万ドル)とシュルーダー(年俸1550万ドル)のサラリーをスワップすることで、約6100万ドルの贅沢税削減に成功した。
もしアンソニーをウェイブして、2800万ドルの最終年サラリーを3分割にストレッチ(期間延長)していれば、来季に1億ドル以上のタックスを節約することもできたが、そうすると今後3年間のサラリーキャップにアンソニーの年930万ドルが計上されることとなる。ただでさえ今後2年のサンダーは、ウェストブルック、ポール・ジョージ、スティーブン・アダムス、アンドレ・ロバーソン、ジェレミー・グラントの5選手の年俸だけでサラリースペースが埋まっており、FAでの戦力強化が極めて難しい状況にいる。
結果として、将来のドラフト1巡目指名権を手放し、シュルーダーの高額サラリー(3年/4650万ドル)を背負うこととなったが、6000万ドル節約+バックアップPGを獲得できたので、アンソニーをウェイブするだけの選択肢と比べると満足な結果だと言えるかもしれない。
昨季のシュルーダーは67試合でキャリア最多の19.4得点、6.2アシストを平均。得点力やプレイメイク力があり、ターンオーバーは少なめ。最大の長所はボールハンドリングとスピードで、ドリブルペネトレーションから守備を切り崩せるPGだ。
外のシュートとディフェンスが弱く、ボールを必要とするタイプなため、ラッセル・ウェストブルックとの相性はあまり良くなさそうだが、控えのポイントガードとしては十分すぎるほど能力の高い選手。ESPNのRoyce Young記者によると、シュルーダーはトレードが成立する前にサンダーのビリー・ドノバンHCと会話し、新チームでの役割がベンチスタートになることにちゃんと理解を示しているという。
なお、今回のトレードにはフィラデルフィア・76ersも参加。サンダーと76ersがマイク・マスカーラティモテイ・ルワウ・キャバロをスワップし、ホークスは76ersからジャスティン・アンダーソンを獲得した。
▼昨季3月のジャズ戦ではキャリアハイ41得点
今夏のホークスは、2018ドラフトでポイントガードのトレイ・ヤングを指名し、さらにネッツとのトレードでジェレミー・リンを獲得。前からシュルーダー放出の準備を着々と進めていたものの、なかなかトレード相手を見つけられない日が続いていたが、サンダーからアンソニーのサラリーを引き受けることでようやく成立させた。
ホークスのシュルーダーに対する評価が低すぎるような気もするが(サンダーからもっと要求できたと思う)、チームに必要ないと考えていた選手を手放して、ドラフト1巡目指名権を獲得できたのは大きい。
サンダーから譲渡される2022年の指名権は1~14位の保護付き(2023年には2巡目指名権に変わる)。まだまだ先の話で、その時にサンダーがどのあたりにいるのか予想するのは困難だが、複数のメディアのよれば、2021年もしくは2022年にNBAドラフトの「One and Done」ルールが廃止されるとの見方が強まっているという(昔のように高校卒業からドラフトエントリーの資格が得られるようになる)。ルール改定の年は大豊作になることが予想されるので、ホークスが獲得した指名権がちょうどその年に当たれば、ロッタリー保護付きと言えどかなり価値の高いアセットになりそうだ。
ESPNによると、アンソニーはすぐにホークスからバイアウトされてFAになる見込み。現時点で、ヒューストン・ロケッツが次の契約先の最有力候補とされている。
今夏ロケッツは、FAでトレバー・アリーザとルーク・バー・ア・ムーテを失い、SFポジションが手薄になっている状態。ディフェンスが大きな弱点であるアンソニーが、今のロケッツに上手くフィットするかどうかは疑問だが、アンソニークラスの選手が格安サラリーで加入してくれるなら、どのチームでも大歓迎だろう。
ロケッツの他には、ロサンゼルス・レイカーズ、マイアミ・ヒートが候補にあがっている。
参考記事:「ESPN」