チャンドラー・パーソンズとロケッツの対立がややヒートアップ中
チャンドラー・パーソンズとヒューストン・ロケッツの別れ話が、ちょっとした確執に発展しつつある。来季は、同じテキサス州からプレイオフの椅子を奪い合うマブスとロケッツのライバル関係が一気にヒートアップしそうな予感だ。
そもそものきっかけは、マブスへのFA移籍決定後にパーソンズが残したコメント:
「正直、僕は今回のFAのプロセスで不快な気持ちになった。ロケッツは第3のスター選手を探していると公言した。僕が目の前にいるにも関わらずだ。恐らく彼らは僕をその程度にしか評価していなかったのだろう。僕は選手としての限界にまだまだ達していない。第3のスターの役割をこなせる準備はできていると思う」
– チャンドラー・パーソンズ
「決して悪意があるわけじゃない。ただ僕は、ロケッツが僕をチームの重要なピースとして評価せず、第3のスター選手としてみてくれなかったことに不快を抱いたと言いたいだけだ。僕のコメントによって誰かが気分を害したり、確執を生んだりすることがないことを願う。だって僕はヒューストンで素晴らしい時間を過ごしたのだから。僕はそこでたくさんの思い出を作った。球団やコーチ、スタッフ、そしてチームメイトたちに大きな愛と尊敬の念を持っている。しかし、ロケッツが公の場で第3のスター選手を探していると発言したことに対しては、どうしても不快な感情を抱いてしまう」
– チャンドラー・パーソンズ
7月9日、マブスは制限付きFAだったパーソンズに3年/4600万ドルの契約をオファー。ロケッツはマブスのオファーにマッチしてパーソンズを引き留める権利を持っていたが、それを行使しなかったため、パーソンズの移籍が決まった。
▼パーソンズとマブスオーナーのマーク・キューバン
パーソンズはハワード/ハーデンに次ぐロケッツの3番手になるつもりだったが、チームはその役割をほかの誰かに求める判断を下したわけだ。意見の違いによる決別なんて特に珍しいことでもない。しかし話はここから少しややこしい方向に進んでしまう。
数日後、ロケッツのドワイト・ハワードがパーソンズ移籍について「チームに何の影響もない」とコメント:
「ロケッツには僕とハーデンがいる。リーグのベストセンターとベストシューティングガードがいる。(チームの浮き沈みは)僕たち2人にかかっている」
– ドワイト・ハワード
昨季まで共に戦ったチームメイトに対して「何の影響もない」とするのは少し冷たすぎるようにも聞こえるが、ハワードは決して悪い意味で言ったわけではないはず。恐らくロケッツファンを安心させるための発言だったのだろう。そもそもチームの大黒柱が、「パーソンズが抜けて大幅な戦力ダウンです」なんて言うわけにはいかない。
パーソンズはハワードの発言に対して、「ばかげてる」としながらも、ひとまず寛容な態度を見せた。
「ハワードに悪意がなかったことはわかっている。僕の親友の一人だ。彼は僕の去就に関係なく、ロケッツの将来に自信を持たなくてはならない。だから彼の立場は理解できる。馬鹿げた発言だったとは思うが、結局のところハワードはチームを守らなくちゃならないんだ。彼の発言の中に、悪い意味合いや僕を叩こうとする意図は全くなかったと思ってる」
– チャンドラー・パーソンズ
ここで終わっていればなんてことはなかったのだが…。
ハーデンが火に油
メディアを介したロケッツとチャンドラーのやり取りは、ジェイムス・ハーデンの一言によりさらにヒートアップする。
24日、ハーデンは訪問先のフィリピンで、パーソンズの移籍とロケッツの今後について言及:
「ロケッツの大黒柱はハワードと僕だ。他のみんなはロールプレーヤー、もしくはチームを完成させるためのピース。僕らはいくつかピースを失ったが、新たなピースを加えた。来季も問題なくやれると思う」
– ジェイムス・ハーデン
ハーデンの発言は基本的に間違っていない。ハワードとハーデンがチームの中心だというのは紛れもない事実だし、ロケッツはパーソンズを失う代わりにトレバー・アリーザという新たなピースを手に入れた。何も間違ってはいないのだが、公にこんな言い方をされたチームメイトはどんな気分になるだろう…。
▼パーソンズとハーデンの試合前儀式、こんなにいい感じだったのに…
ハーデンの発言を受け、自らを第3のスターと考えていたパーソンズはさすがにプライドを傷つけられた様子。
「もしハーデンが本気ならば、本当に馬鹿げた発言だ。こういった部分こそ、僕がマブスに移りたかった理由の一つでもある。僕は次のステップへの準備が、もっと大きな役割とリーダーシップを担う心構えができている。ハーデンだけはこの気持ちを理解しているべきだった。彼もサンダー時代は同じ境遇だったはずだ」
– チャンドラー・パーソンズ
さらにパーソンズはツイッターでも…:
「口を開く前に考えよう」
このツイートがハーデンに向けたものなのか、それとも自分に言い聞かせているだけのかはわからないが、タイミング的に前者かなと思わさてしまう。
パーソンズの言う通り、ハーデンはあんな言い方をするべきではなかったかもしれない。自分自身もスターになりたくて、ロールプレーヤー以上の役割(と年棒)が欲しくてサンダーを飛び立ち、それが成功につながったのだから。
昨季のパーソンズは74試合にスタメン出場し(チームトップ)、16.6得点、5.5リバウンド、4アシストを平均。スタッツだけを見れば「第3のスター」と呼んでもおかしくなさそうだが、球団やチームメイトはそう考えていなかった。
パーソンズはデビュー3年の25歳。才能と情熱もあり、ロールプレーヤーの役割で満足するにはまだ若すぎる。今後は悔しさをバネにした新天地でのさらなる躍進に期待したい。
来季はロケッツとマブスの熱いシーズンバトルが楽しみだ。
参考記事:「USA TODAY」