スティーブ・ナッシュがブルックリン・ネッツのヘッドコーチに就任
ブルックリン・ネッツは現地3日、元MVPのスティーブ・ナッシュがチームの新ヘッドコーチに就任したことを発表。ナッシュはNBA移転後のネッツにとってフランチャイズ史上23人目のHCとなる。
ネッツは、シーズン中断となる直前の3月7日にケニー・アトキンソンをヘッドコーチ職から解任。それから約半年間、次期HC候補としてナッシュの名前が挙がったことは1度もなかったと思う。本当にビックリ!
ネッツのシェーン・マークスGMは今回の人事について、「スティーブはリーダーでありコミュニケーター、そしてメンターだと、我々は考えている。選手たちからのリスペクトを集めるだろう」とコメント。
ナッシュも声明を出し、「コーチングは時期が来れば挑戦したいと考えていたこと。ブルックリンにいる優れた選手たちやスタッフたちと一緒に仕事できるチャンスを手にでき、とても光栄です」と、第2のプロバスケ人生に向けた意気込みを語った。
ナッシュ
コービー・ブライアントやアレン・アイバーソンらと同期となる1996年ドラフト15位指名でNBA入りしたナッシュは、キャリア18シーズンをフェニックス・サンズ、ダラス・マーベリックスのロサンゼルス・レイカーズの3チームでプレイ。レギュラーシーズン1217試合の出場で14.3得点、8.5アシスト、スリー成功率42.8%を平均した。
リーグ制覇こそ成らなかったものの、2度のMVP受賞や8回のオールスター選出など、数々の功績を残している。ナッシュが司令塔を務めた「7 Seconds or Less」の00年代サンズは一時代を築き上げ、近年のNBAの進化に多大な影響を与えた。
▼ナッシュの功績
- 2年連続MVP(2005、2006)
- アシスト王5回
- 50-40-90を4回達成(歴代最多)
- キャリアFT成功率でステフィン・カリーに次ぐ歴代2位(90.43%)
- 通算アシスト数でジョン・ストックトンとジェイソン・キッドに次ぐNBA歴代3位(1万335本)
ナッシュは2015年3月に、腰の怪我などを理由に引退を表明。多くのNBAスターたちから祝福のメッセージが送られた。
ネッツのHCに適任?
引退後のナッシュは、ゴールデンステイト・ウォリアーズやカナダ代表チームの選手育成/コンサルタントを歴任。プロレベルでのコーチング職は、今回が初体験となる。
来季のネッツは、ケビン・デュラントとカイリー・アービングのスーパースターコンビが完全復活する見込み。もちろん目標はリーグ制覇で、当然ながらファンからの期待値も大きいはずだ。
46歳と比較的年齢の若い新人ヘッドコーチが、そんなスーパーチームを上手くまとめ上げることができるのか?
ネッツがナッシュに期待するのは、インゲームでの采配力ではなく、オフコートを含めた求心力だろう。
そもそもネッツを泥沼状態から救い上げた最大の功労者の一人であるケニー・アトキンソンが解雇された理由は、プレイヤーたち(特にスター選手)との確執だとされている。
もしかすると一部の選手の間では、「教えを乞うならプレイヤーとして実績のある監督」という考え方があるのかもしれない。その点では、ナッシュは適任だ。
ウォリアーズ時代にナッシュの指導を受けた経験のあるケビン・デュラントは、2年前のインタビューでこう語っている。
「ナッシュは何でも話せる人であり、僕が心からリスペクトしている人。彼のバスケットボールに関する知識は、僕の知る中で恐らく最高峰だ」
なお『ニューヨーク・タイムズ』のMarc Stein記者によると、ナッシュはネッツでのHC職を受ける際に、元チームメイトで大親友のダーク・ノビツキーにアシスタントコーチとして声をかけたそうだが、ノビツキーはその申し出を断ったそうだ。
参考記事:「NBA」