トニー・パーカー 「ダンカンとジノビリはあと1年プレーすると思う」
サンアントニオ・スパーズにとって、今年のオフシーズンは将来を大きく左右する勝負の夏になる。マット・ボナー、カワイ・レナードをはじめ、今季ロスターから合計10選手が7月1日にFAとなるのだが、最も気になるのは、長年にわたりダイナスティの基盤を担ってきたティム・ダンカンとマヌ・ジノビリの去就だ。スパーズのシーズン終了からすでに1ヵ月半以上になるが、まだ明確なコメントは出ていない。
スパーズファンにとって少し落ち着かない日々が続く中、ビッグスリーとしてティム&マヌと13シーズンを共にしてきたトニー・パーカーは、2人の再契約についてポジティブな見方をしている。
「2人とも後1年プレーすると思うよ」
パーカーは自らが主宰するバスケットボールキャンプで、『San Antonio Express-News』からの質問にそう答えた。ただしこのコメントは、あくまでパーカーの希望的観測だという。
「ポジティブに考えるようにしている。2人とは話したし、僕の思っていることも伝えた。ここから先は彼らの決断だ。個人的な決断さ」
– トニー・パーカー
もしダンカンとジノビリが引退するつもりなら、とっくにその旨をチームに伝えているはず。ここまで沈黙を守っている理由は、復帰する意思がもう固まっているからだ、ということにしておこう。
特にダンカンに関しては、すでにワークアウトをスタートしたという噂も飛んでいる。もし本当なら、それがビーチボディーを作るためのトレーニングとは考え難い。
パーカー、ダンカン、ジノビリは、3人が出場したキャリアプレーオフの試合で、トリオとして歴代最多となる120勝を記録。レギュラーシーズンの勝ち数は通算539勝で、80年代セルティックスのラリー・バード、ロバート・パリッシュ、ケビン・マクヘイルが持つトリオ歴代記録の540勝まであと1つに迫っている。
パーカーも早期にトレーニング開始
2014-15シーズンのパーカーは、ルーキーシーズン以来で自己ワーストスタッツとなる14.4得点、4.9アシストに終わった。
クイックネスが最大の武器のポイントガードも、今年ですでに33歳。例年のオフと同じような過ごし方では、今後ハイレベルな活躍を続けていくのは難しいと理解しているようだ。今年はバケーションを早々に切り上げ、6月から新たなトレーニングメニューで肉体改造に取り組んでいるらしい。
※以下、『Spurs Nation』のインタビュー記事より
「休みは3週間しか取っていない。去年とはずいぶん違う。これまでにたくさんプレーしてきたから、昨季の優勝後は、『休んだ方がいい』と皆に言われたんだ。それで去年は休みすぎてしまった気がするよ。でも今年はまったく違うメンタリティで臨んでいる。肉体を改造しなくてはならないし、これまでに経験してきたような細かい炎症や怪我を失くすように努めなければならないと思うんだ。とても興奮しているよ。6月1日からワークアウトを始めている。『Le Bleus』(仏ナショナルチーム)でその結果が出るといいね。そしてスパーズのトレーニングキャンプが始まる頃には、体が出来上がっているはずだ」
▼ハーフコートショットを沈めてキッズたちを沸かせるパーカー
(音量注意)
https://twitter.com/spurs/status/611238135129702400
パーカーは、ダンカンの後に続こうとしている。
「(トレーニングメニューは)トラックを走ったり、トレーナーとウエイトリフティングをしたり。ボクシングも少しやっている。こういったフィットネス・プログラムはこれまでやったことがないから、すごく楽しいよ。ポップ(ポポビッチHC)ともたくさん話して、レベルの高い活躍を最後まで続けるには何をすればいいのか相談した。チームは僕が真剣に取り組んでいるのを知っているし、僕も調子を維持するためなら何でもやるつもりだ。ティムのようにね。ティムはキャリアの終わりに近づいても、素晴らしい活躍を続けている。心構えや調整方法を変えたんだよ。僕も同じようにやっていくつもりだ」
– トニー・パーカー
パーカーは、9月に行われる「バスケットボール欧州選手権2015」への出場が見込まれている。
ダンカンには他にも悩みが
ダンカンには来季契約の件以外にも悩みの種があるらしい。『Bloomberg』の報道によると、現在ダンカンは、元顧問ファイナンシャルプランナーの不正により損害を被ったとして、裁判を起こしているのだが、その被害額が18年のキャリア収入の約10%に相当する2500万ドル(約30億円)にのぼるというのだ。
「大体はちゃんと周りに注意できていたと思っていた。誰かに監視をさせ、またその人を監視する誰かを付ける必要がある。しばらくそうやっていたんだけど、最終的には僕が信頼する人同士を監視させ合うような形になってしまったよ。大切なのは、『自分自身に腹を立てない』こと。僕は誰かを信用したけど、それは間違っていた。まんまと騙されてしまった。でもそのことで、自分自身に腹を立ててなどいない。勉強になったよ。こんな状況に身を置くことは二度とないだろう」
– ティム・ダンカン
ダンカンは、こういった災難が今後の決断に影響することはないと語る。
「幸運にも、僕は長いキャリアを送ることができ、多くの収入を得た。損失は莫大だけど、それが僕の人生を変えてしまうことは絶対にない。これがきっかけで何かを決断させられることもないよ」
「僕は忠実な人間で、約束を守る人間だ。そして、他人も同じだろうと思い込んでしまった。でも世の中はそうとは限らない」
– ティム・ダンカン
Image by The Brit_2/Flickr
参考記事:「San Antonio Express-News」