【ハイライト】アレン・アイバーソンがタロン・ルーを跨ぐ、2001年ファイナル
これは、今から19年前の2001年6月6日に行われたNBAファイナル、ロサンゼルス・レイカーズ対フィラデルフィア・76ersのシリーズ第1戦で生まれた伝説のプレイ。2016年にバスケットボール殿堂入りしたアレン・アイバーソンのキャリアで、最も有名な場面の一つでもある。
延長戦に及んだ2001年ファイナル第1戦の終盤、シクサーズのエースだったアイバーソンは、当時ほぼ無名だったレイカーズ控えガードのタロン・ルーの好守備に大苦戦していた。
同試合では、最初の3ピリオドだけで38得点をマークと絶好調だったアイバーソンだが、ルーがマッチアップした第4Qはピリオド3得点と大失速。オーバータイムに入ってからもなかなかフィールドゴールを決められないでいた。
そんな中、アイバーソンはOT残り1分46秒にフリースローから久々に得点を獲得すると、続くポゼッションでトランジションから逆転のスリーに成功。さらに残り時間48秒には、ルーとの1on1から試合を2ゴール差とするステップバックジャンパーを決める。そしてフロアに倒れたルーを跨ぐ。
2001年NBAファイナルは、下馬評やアナリストの予想でレイカーズが圧倒的に有利とされていたシリーズだ。
レギュラーシーズンでは同じ56勝26敗を記録した2000-01のレイカーズとシクサーズだが、前年王者のレイカーズはプレイオフに入ってから一気にギアを上げて、無敗のままウェスタンカンファレンスを突破。一方の76ersは、カンファレンス準決勝と決勝で第7戦に突入と、激闘に次ぐ激闘の末にファイナルまで駒を進めた。
スウィープすら予想されていたシリーズだったが、第1戦はアイバーソンのゲームハイ48得点により、76ersが大番狂わせ演じる。その後2001ファイナルは、レイカーズの4連勝により第5戦でシリーズ決着となったが、76ersはポストシーズン無敗優勝という前代未聞の偉業を阻止することに成功した。
なお、2001年ファイナル第1戦と「アイバーソンのルー跨ぎ」は、アイバーソンのレガシーの一部になっただけでなく、ルーにとってもその後のキャリアを大きく左右する重要な瞬間となったようだ。
ルーはクリーブランド・キャバリアーズのヘッドコーチに就任した2016年のインタビューで、アイバーソンとマッチアップした当時を振り返りながら次のように語っている:
「もし76ersではなくバックスがファイナルに勝ち上がっていたなら、私がプレイする機会はなかっただろう。そうなれば、2001年が私のNBA現役最後の年になっていたかもしれない」
「あの『ステップ・オーバー』で私が有名になったのは間違いない。アイバーソンがいなければ、今の自分はなかっただろう」
「あのプレイは凄く話題になったね。当時は『アレン・アイバーソンに跨がれた人だ!』、などといろいろな場所で言われるようになった」
1998年ドラフト23位指名でNBAデビューしたルーは、キャリア最初の3シーズンはあまり活躍の機会を得られていなかった。そのままリーグからフェイドアウトする可能性もあったが、2001年ファイナルでMVPのアイバーソン相手に好守備を見せたことが高く評価され、その後はチームを転々としながらも優秀な控えガードとして活躍。合計11シーズンという息の長いキャリアを築いた。
ボックススコア:「Basketball Reference」