ブラッドリー・ビールは生涯ウィザーズを希望 「コービーやノビツキーのように」
その良し悪しは別として、近年のNBAでは「生涯一球団」を貫くスーパースターが希少な存在となっている。
00年代NBAの顔役だった選手では、コービー・ブライアントやティム・ダンカン、ダーク・ノビツキーが1つの球団で19年~21年の長いキャリアを終えた。その一方で、10年代を代表するプレイヤーたちを見ると、レブロン・ジェイムスやケビン・デュラント、カワイ・レナード、ジェイムス・ハーデンらをはじめ、ほとんどが一度は移籍を経験済み。
ラッセル・ウェストブルックが昨夏にオクラホマシティ・サンダーを退団したことにより、現役スター選手の中で1球団での在籍期間が最も長いのは、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーで11シーズンとなった。
2012年ドラフト3位指名のブラッドリー・ビールは、今季でワシントン・ウィザーズ8年目。シーズン開幕前にチームと延長契約を結んだばかりで、少なくとも2022年の夏まではウィザーズとの契約が続く(2022-23はオプション)。
今年の6月で27歳になるビールは、ちょうど選手としての全盛期に突入したところだが、現状のウィザーズは、優勝争いとは程遠い場所にいる。なのでビールとしては、延長契約を結ばずに、強豪チームに移籍してチャンピオンシップリングを狙うという選択肢もあったが、ドラフトしてくれた球団でそれを達成するのが理想と考えているらしい。
ビールは『The Undefeated』の取材で、「自分で選べるならば、ウィザーズでキャリアを終えるつもり」と生涯一球団を希望する意思を語った。
「移籍という道もあった。でも、『いつかワシントンで永久欠番になりたい』という想いが、延長契約を決断する上で決めての一つとなった」
「コービーやDウェイド、ノビツキー、UD(ユドニス・ハスレム)のように、ずっと1つのチームで長くやっていきたいと思う。僕は変化が嫌いだ。もしトレードされることになれば、それは仕方ない。でも自分で選択できるのであれば、ワシントンでキャリアを終えるつもりだ」
「僕はバカ正直なほど忠誠心を持っている。デイム(リラード)と似ているかもしれない。彼の場合ならポートランドで、僕の場合ならワシントンD.C.で優勝することに大きな意味があると考えている。長年球団のために身を削り、その末に栄光を掴むことができたなら、移籍して優勝するよりも、ずっと大きな達成感を味わえると思う。移籍はある意味、楽な道だ。でも同時に、移籍したからといって優勝が保証されるわけじゃない」
今季のビールは57試合でリーグ2位の30.5得点、6.1アシストを平均。2試合連続で50点ゲームを達成するなど、ウィザーズ史を代表するようなシーズンを送っている。
▼キャリアハイ55得点
ウォールとの関係
またビールは、NBAデビュー前からの友人であり長年のバックコートコンビでもあるジョン・ウォールとの関係についても言及。「どっちがウィザーズのエース?」といったメディア主導のお決まりの議論に困惑させられた時期もあったそうだが、時が経つにつれて「今の自分があるのは彼のおかげ」と思えるようになったという。
「ここ2シーズンでは、ボールをコントロールしてチームを指揮すること、つまりポイントガードを務めることの大変さを経験できた。ある意味、彼(ウォール)の立場になって考えることができた。だから僕たちは今でもお互いを尊敬し合ってっている。僕たちは成長し、それぞれ大人になった。2人ともがエース的存在。それこそが僕たちのアイデンティティだと思う。お互いを必要としていることを理解し、周囲からのノイズを無視すれば、理想の関係を築けると理解できた。それで僕たちの繋がりがより強くなったと思う」
参考記事:「The Undefeated」