NBAファイナル2021:ミルウォーキー・バックスが50年ぶりの優勝
ミルウォーキー・バックスが現地7月20日、本拠地ファイサーブ・フォーラムで行われたフェニックス・サンズとのNBAファイナル第6戦に105-98で勝利。4勝2敗でシリーズを制し、2021NBA王者に輝いた。
バックスが優勝するのは1971年以来50年ぶり、球団史上3回目となる。
アデトクンボ
バックスとサンズのシリーズ第6戦では、ヤニス・アデトクンボがNBAファイナル史に残る驚異的なパフォーマンスでチームを栄光へと導いた。
この日のアデトクンボは、43分の出場で50得点、14リバウンド、5ブロックのモンスターダブルダブルを記録。ドリブルやスクリーン&ロールから果敢にリムをを攻めつつ、守備でもトランジションで超人ブロックを決めるなど存在感を発揮し、コートの両サイドで完全にインサイドを支配した。
▼ミッドレンジやフローターも絶好調
特筆すべきは、アデトクンボのフリースロー。今季プレイオフでは、ファイナル第5戦までの20試合でFT成功率55.6%(187本中104本)と大苦戦していたが、この日の第6戦では19本中17本を成功させている。
ESPNによると、NBAプレイオフの試合で50得点/10リバウンド/5ブロックが記録されたのは、ブロックが公式スタッツとしてカウントされ始めた1973-74シーズン以降で初。
ファイナルの試合で50点ゲームを達成したのは、アデトクンボが史上7人目となる(他の6人はボブ・ペティット、エルジン・ベイラー、ジェリー・ウェスト、リック・バリー、マイケル・ジョーダン、レブロン・ジェームズ)。
▼7年前のヤニスのツイート
「チャンピオンシップレベルのチームを築き上げるまで、僕がこのチームとミルウォーキーの街を去ることは絶対にない」
ミドルトンがクローズ
両チームとも序盤からターンオーバーやバッドショットを連発するカオスな展開で始まったこの日の第6戦。バックスは第1Q終了時で29-16の13点リードを奪取と好スタートを切ったが、第2Qに入ってから大失速。第2クォーターを13-31の大差でアウトスコアされ、5点ビハインドを背負って前半を終える。
少し嫌な流れになりかけていたバックスだったが、ハーフタイム中にしっかりと気持ちを切り替えたようで、後半に入るとすぐにオフェンスが復活。第3Qでは、アデトクンボがピリオド20得点でテイクオーバーしつつ、前半にやや精彩を欠いていたブルック・ロペスやドリュー・ホリデーもチームを勢いづけるビッグプレイを決め、再びリードを奪った。
▼ロペスのダンク!
最終ピリオドではベンチビッグのボビー・ポーティスもステップアップし、バックスは第4Q中盤から最後までリードを維持。残り時間1分にはサンズに4点差まで迫られたが、その直後にクリス・ミドルトンが4連続得点をあげて再び突き放し、勝利を確実にした。
バックスはアデトクンボの他、ミドルトンが17得点、5アシスト、4スティール、ポーティスが16得点をマーク。
ドリュー・ホリデーはFG19本中4本成功の12得点と、スコアリングこそ苦戦したものの、プレイメイクで活躍して11アシストをあげつつ、守備でもデビン・ブッカーとのマッチアップで素晴らしい仕事をした。
ハイライト
▼終盤の死闘
▼試合後
▼ボビー・ポーティスが披露した新手の煽り芸。クリス・ポールが審判に詰め寄ろうとしたところ間に割って入って阻止した
▼この顔
このワンシーンはすぐにミーム化。
一方で、シリーズ開幕2連勝から4連敗を喫し、初優勝を逃すこととなったサンズ。第6戦では序盤の二桁ビハインドから巻き返して接戦に持ち込み、最後の最後まで食い下がったが、あと一歩及ばなかった。
この日のサンズは、クリス・ポールがチームハイの26得点/5アシストで奮闘。デビン・ブッカーはホリデーやPJ・タッカーのタイトなディフェンスに苦しめられ、46分の出場でFG22本中8本の19得点、6ターンオーバーに終わっている。
またデアンドレ・エイトンは、アデトクンボのリムアタックでファウルトラブルに陥り、本来の手堅いプレイを発揮できなかった。
コーナースリーの封鎖
今年のファイナルは、アデトクンボの支配的なパフォーマンスに加え、バックスの守備面でのアジャストがシリーズの流れを大きく変える一因になったと思う。
まず第1戦では、オールスイッチの守備を展開したバックスに対し、サンズはポールとブッカーがアイソレーションでミスマッチを徹底的に攻めて主導権を掌握。
▼第1戦ではロペスが餌食に
続く第2戦では、バックスが本来の守備スキームであるドロップ・カバレッジに戻し、さらにペネトレーションに対してコーナーから積極的にヘルプ。サンズは、オーバーヘルプ気味だったバックスディフェンスを外から切り崩し、プレイオフ球団史上最多記録となる20本のスリーを成功させた。
▼第2戦はドライブ&キックからオープンショットを量産
0勝2敗のピンチに陥ったバックスは、第3戦から再び守備をアジャスト。
ドロップ・カバレッジとロペス以外へのスクリーンをオールスイッチするというスキームを維持しつつ、オーバーヘルプを減らしてコーナーへのキックアウトパスを潰すことに専念。さらに最初の2試合で大活躍したクリス・ポールにドリュー・ホリデーをフルタイムでぶつけながら、デビン・ブッカーにできるだけ1on1でシュートを打たせるよう仕向ける形の守備を展開した。
結果として、このアジャストメントが大当たり。第4戦と第5戦でブッカーに2試合連続40得点超えを許すこととなったが、その一方でサンズの強みだったドライブ&キックからのコーナースリーを潰すことに成功している。
以下、ファイナル第1戦~第2戦の2試合と、第3戦以降の4試合におけるサンズの3Pアテンプトを比較。第3戦以降でコーナースリーが激減しているのが良く分かる。
▼第1~第2戦の2試合
▼第3~第6戦の4試合
シリーズ最初の2試合だけで22本のコーナースリー(13本成功)を打てていたのに対し、第3戦以降は4試合の合計でわずか10本の試投数(3本成功)。第1~第2戦ではスリー成功率41.9%を記録したサンズだが、第3~6戦では35.7%に落ちている。
ボックススコア:「NBA」