デマー・デローザンのサイン&トレードが正式に成立、今季から背番号を「11」に変更
シカゴ・ブルズは現地8月11日、サンアントニオ・スパーズとのトレードが正式に成立したことを発表した。
ブルズは今回のトレードで、サディアス・ヤング、アル・ファルーク・アミヌ、将来のドラフト1巡目指名権、2巡目指名権2つを放出。その見返りに、スパーズからデマー・デローザンをサイン&トレード(3年/8500万ドル)で獲得する。
昨季のデローザンは、スパーズでの61試合で21.6得点、6.9アシスト(キャリアハイ)を平均。2018年にスパーズへと移籍してからは1度もオールスターに選ばれておらず、さらにここ2年間はプレイオフ進出を逃したが、ラプターズ時代と比べてプレイメイカーとして成長を遂げている。
▼2020-21デマー・デローザン
2021-22シカゴ・ブルズ
ブルズは今夏のフリーエージェンシーで大きく生まれ変わった。
デローザンの他にも、ギャレット・テンプル、トマーシュ・サトランスキー、2024年ドラフト2巡目指名権を放出して、ニューオリンズ・ペリカンズからサイン&トレードでロンゾ・ボール(4年8500万ドル)を獲得。さらにFAでアレックス・カルーソ、トニー・ブラッドリー、ジャボンテ・グリーンと契約している。
現時点で今季ブルズのデプスチャートは以下の通り:
- PG:ロンゾ・ボール、コービー・ホワイト
- SG:ザック・ラビーン、アレックス・カルーソ、トロイ・ブラウンJr.
- SF:デマー・デローザン、トロイ・ブラウンJr.
- PF:パトリック・ウィリアムズ
- C:ニコラ・ブーチェビッチ、トニー・ブラッドリー
ザック・ラビーン、デマー・デローザン、ニコラ・ブーチェビッチのオールスター級3選手を中心としたロスターだ。
恐らく今季ブルズの先発ラインアップは、ロンゾ・ボール/ザック・ラビーン/デマー・デローザン/パトリック・ウィリアムズ/ニコラ・ブーチェビッチ。フロントコートのデプスを補強する必要はあるが、主力のオフェンス力は凄まじいことになりそう。
バックコートデュオとなるザック・ラビーンとロンゾ・ボールは、2人とも速攻で走りまくるダイナミックな選手。ラビーンとボールがトランジションで相手守備を掻き回し、遅れてきたブーチェビッチがトップ・オブ・ザ・キーからトレイルスリーを沈めるみたいなシーンが目に浮かぶ。
デローザンが入ることで、ハーフコートオフェンスでのフロアスペースを懸念する声も出ているが、デローザンはオフボールでもカットやポストアップで常に動き回るクリエイティブな選手。スリーを打たないのは確かだが、3Pラインからワンステップでロングツーをガンガン打ってくるので、ベン・シモンズやヤニス・アデトクンボのように常に距離を空けて守れる選手ではない。
今季ブルズの不安要素はやはりディフェンス面。ラビーン、デローザン、ブーチェビッチのコアは、3人とも守備が得意ではない選手ばかりだ。ただディフェンスでの弱点を覆せるほどの火力を持っている。
今オフでの人事により、ブルズがパワーアップしたのは確実。昨季ホークスのような大躍進を遂げられるかもしれない。
ただ再建の手順としては、ホークスとブルズはほぼ真逆。ホークスがトレイ・ヤングやジョン・コリンズ、デアンドレ・ハンターら若手中心の軸をドラフトで固めてからベテラン選手でロスター補強したのに対し、ブルズは将来のアセットを切り売りすることで今のコアを築き上げた。
ブルズはブーチェビッチとデローザンを獲得するため、2021年の8位指名を含む自軍のドラフト1巡目指名権を3つ放出。しばらくトレードアセットとしてドラフト1巡目指名権を使うことができなくなった。
ある意味、アセットを総放出して出来上がった今のブルズロスター。プレイオフ進出だけなら十分な戦力かもしれないが、今後2~3年でイースト制覇もしくは優勝を狙えるチームになるとは思えない。
もちろんチャンピオンシップがすべてではないが、そもそも2017年にジミー・バトラーとマックス契約を結ばずにトレード放出した理由は、カンファレンス5位~8位の中堅チームを脱却するための再建ムーブだったのではなかったのか?
参考記事:「NBA」