ルカ・ドンチッチ、審判への不適切なジェスチャーで3万5000ドルの罰金処分に
NBAは現地3月24日、試合中に「不適切かつプロらしからぬ行為」をしたとして、ダラス・マーベリックスのオールスター、ルカ・ドンチッチに処分を科したことを発表。処分の内容は、3万5000ドル(約450万円)の罰金だという。
問題となったのは、23日に行われたマブス対ウォリアーズ戦でのワンシーン。1ゴール差の接戦で迎えた第4Q最後のポゼッションでレイアップに失敗したドンチッチは、ファウルコールをもらえなかったことに納得できなかったのか、プレイ後に審判に向けて「金でも貰ってるのか?」と言わんばかりのジェスチャーをしてしまった。
▼これ
NBAに抗議
また同日の試合では、アリーナ全体を困惑させるイレギュラーなシーンもあった。
第3Q終盤のタイムアウト明けポゼッションでのこと。ウォリアーズのベースラインからのインバウンズで試合が再開されたのだが、マブスの選手たちは自身のボールで始まると勘違いしていたためか誰も守備のポジションにつかず、その結果ウォリアーズが完全ノーマークのレイアップで2点を取る形となる。
審判団の試合後の声明によると、審判たちは最初からウォリアーズボールの判定を下していたとのこと。ただその直後にベースラインの審判がマブスベンチの方向を指さしながらタイムアウトをコールし、さらにアメリカン・エアラインズ・センターのアナウンサーが“マブスボール”と宣言したことで、マブスの選手やコーチングスタッフたちが自身のポゼッションと勘違いしてしまったらしい。
同日の試合は127-125でウォリアーズが勝利。この珍事での2点が、結果的に試合を大きく分けることになったわけだ。
勘違いしたマブスが悪いと言えばそれまでだが、審判にも多少の責任はある。選手が守備位置についていない時点で異変を察し、インバウンダーにボールを手渡すべきではなかっただろう。
なお現地メディアによれば、マブスオーナーのマーク・キューバンはこの件に関してNBAに正式に抗議を申し出るつもりだったとのこと。リーグへの正式な物言いは、当該の試合終了から48時間以内に行う必要があり(手数料1万ドル!)、さらに5日以内に証拠を提出しなければならない。
コミッショナーによる審議の結果、もし今回のマブスの申し出が認められれば、ウォリアーズの勝利は取り消し。後日、問題が発生した第3Q残り1分59秒から再試合が組まれる。
キューバンの抗議が認められる可能性は極めてゼロに近い。ただレギュラーシーズン敗退の瀬戸際に立たされているマブスとしては、やれることは何でもやっておきたいところだろう。NBAで試合やり直しの抗議が認められたのは、2007年12月のヒート対ホークス戦が最後。1982-83シーズン以降の40年間でその1度だけしかない。
新生マブス不振
マブスはウォリアーズ戦での敗北に次ぎ、シャーロット・ホーネッツとの2試合にも連敗。その後、現地3月27日にインディアナ・ペイサーズを下して連敗を4で終わらせるも、29日のフィラデルフィア・76ers戦で再び黒星を喫し、現在37勝40敗のウェスト11位に転落している。
今季のマブスは、2月のトレードデッドラインにドリアン・フィニー・スミスとスペンサー・ディンウィディ、さらに複数のドラフト指名権を放出し、ブルックリン・ネッツからカイリー・アービングを獲得。ついにドンチッチに並ぶ第2のスーパースターをロスターに加え、優勝争いに名乗りを上げようとしたが、今のところ空振りに終わっている。
2月6日の時点で29勝26敗のプレイオフ圏内にいたマブスだが、アービング獲得後の22試合で8勝14敗と低迷。アービング自身は移籍後に26.1得点/5.9アシスト/FG成功率50%を平均とオールスター級の数字を記録しているものの、スターター2人を手放したことでチームのデプスが崩壊しかかっている。
トレードデッドライン後のマブスは、オフェンスではリーグ10位(100ポゼッションあたりの得点で117.7)と上々だが、ディフェンスではリーグ25位(100ポゼッションあたりの失点で117.8)と苦戦。トレードでアービングの得点力を手に入れる代わりにウィングのサイズを犠牲にしたためか、守備力とリバウンド力が大きく下落してしまった。
今季レギュラーシーズンは残り5試合。ウェスト10位のサンダー(38勝39敗)と1ゲーム差、7位のウルブズ(39勝38敗)と2ゲーム差で、まだまだプレイイン進出のチャンスは残されているが、他チームの勝敗に運命をゆだねなければならないという厳しい状況に立たされている。
▼ウェスト6位~12位(現地3月30日)
マブスにとって最悪のシナリオは、2023ポストシーズン進出を逃し、さらに夏のフリーエージェンシーでアービングを何の見返りもなく失うこと(アービングは今夏FA)。もしその悪夢が実現すれば、1位シードを下す大番狂わせを演じた昨季のプレイオフランからチームとして大きく後退することとなる。
参考記事:「Yahoo Sports」