FAのハーデン、約20億円のペイカットを受け入れ76ersと2年の再契約か
6月末に4740万ドルのプレイヤーオプションを破棄し、無制限FAとなっていたオールスターのジェームズ・ハーデン。最初からフィラデルフィア・76ers残留が確実視されていたが、ロスター補強のために大幅なサラリー減額を受け入れる見込みとのことだ。
『The Athletic』の報道によると、ハーデンは76ersとマックスサラリー未満の2年再契約(2年目がプレイヤーオプションの1+1)を結ぶ予定。破棄したばかりの4740万ドルのプレイヤーオプションと比較して、1年目サラリーが約1500万ドルのペイカットになるという。
ハーデンが20億円以上という巨額の減額を受け入れた理由は、今夏FAで76ersのキャップスペースに柔軟性を持たせ、来季に優勝を狙えるロスターを作る手助けをするため。
76ersの昨季ポストシーズン敗退が決まった5月12日、ハーデンはイースト準決勝第6戦の試合後に来季の去就を問われた際、「ここに残るつもりだ。このチームが成長を続けるためなら何でもする」とコメントしていた。
ハーデンオプトアウトの恩恵
もしハーデンが来季4740万ドルの契約オプションを行使(オプトイン)していた場合、76ersは今夏FA解禁時点での来季保証契約金総額だけで2022-23シーズンのラグジュアリータックスライン(1億5027万ドル)を上回るところだった。
▼もしハーデンがオプトインしていたなら76ersのキャップシートは7月1日の時点で:
13選手だけで1億5250万ドル超え!ここからロスター補強のためにタックスペイヤー用のミッドレベル条項(648万ドル)を使用すれば、ラグジュアリータックス・エプロンを超過。様々な制限がかかるハードキャップが適用されて、来季いっぱい身動きの取れない状態になるため、将来のドラフトアセット放出といった不利な条件下でのサラリーダンプトレードを余儀なくされていただろう。
要するに今夏の76erは、ハーデンのオプション破棄により、ノンタックスペイヤー用の『ミッドレベル例外条項(1094万ドル)』枠と『バイアニュアル例外条項(400万ドル)』枠の開放に成功。フリーエージェント交渉における柔軟性が生まれた結果、PJ・タッカー(3年/3300万ドル)とダニュエル・ハウス(2年/850万ドル)をFAで獲得できた。
さらに現地メディアの報道通り、ハーデンが1500万ドルのペイカットを受け入れて再契約するなら、来季76ersはハードキャップ化を回避できる。
今オフの76ersは他に、ダニー・グリーンと2022年ドラフト23位指名を放出して、グリズリーズから若手ガードのデアンソニー・メルトンを獲得。2022-23シーズンの76ersのデプスチャートは:
- PG:タイリース・マキシー、シェイク・ミルトン
- SG:ジェームズ・ハーデン、デアンソニー・メルトン、フルカン・コルクマズ
- SF:PJ・タッカー、マティス・サイブル、ダニュエル・ハウス
- PF:トバイアス・ハリス、ジョージ・ニアン
- C:ジョエル・エンビード、ポール・リードJr.
スターティング/クロージング・ラインアップになるであろうマキシー、ハーデン、タッカー、ハリス、エンビードの布陣は攻守で穴のない超強力なラインアップ。昨季と同じくビッグマンのローテーションがやや手薄なままだが、スモールラインアップで5番に入れるタッカーの加入は大きい。
ハーデンのレガシー
2009年のNBAデビューから13シーズンで平均24.9得点、6.8アシストを記録しているジェームズ・ハーデン。2018年のMVPをはじめ、10回のオールスターや7回のオールNBAチーム選出、3回の得点王など殿堂入り間違いなしの輝かしいキャリアだが、唯一足りないのがNBAタイトルだ。
ロケッツ時代には、ドワイト・ハワードやクリス・ポール、ラッセル・ウェストブルックらスーパースターたちとタッグを組んで優勝を狙うも、王朝期のウォリアーズという大きすぎる壁に繰り返し阻まれて失敗。
2020-21シーズンには、ブルックリン・ネッツに移籍してケビン・デュラント/カイリー・アービングと共に史上最強レベルのオフェンス力を持ったビッグスリー体制を築き上げたが、主力の怪我などで本領を発揮できないままチームが崩壊することとなった。
ハーデンが巨額のペイカットを受け入れたのは、来季76ersで自身初の優勝を全力で狙うため。2023年オフには、再びオプションを破棄してFAになると見られている。
参考記事:「Yahoo Sports」