ラマーカス・オルドリッジ、スパーズを選んだ決め手は「アイミ・ウドカとのフライト」
ラマーカス・オルドリッジがポートランド・トレイルブレイザーズにドラフト入団した2006年、チームにはアイミ・ウドカというナイジェリア出身のベテラン選手がいた。ウドカがブレイザーズに在籍したのはたったの1シーズンだったが、2人はお互いを尊敬する親しい友人になり、離れてからもずっと頻繁に連絡を取り合ってきたという。
ウドカはサンアントニオ・スパーズやサクラメント・キングス、ユーロリーグなどを転々とした後、2012年にスパーズのアシスタント・コーチに就任。今夏FAでオルドリッジが最終的にスパーズを選んだのは、ウドカの影響が極めて大きかったらしい。
「一緒にプレーしていた時に、とても仲良くなったんだ。彼がスパーズに移籍してからも、試合で対戦した時は一緒に遊んだり、僕を練習施設に招待してくれたりした。いつでも僕に良くしてくれたよ。だから移籍先を決める際は、ウドカの存在が極めて重要だったと思う。質問があれば、彼に電話した。スパーズとの交渉があまりうまくいっていなかった時も、僕とウドカは何時間も話をして、すべてを丁寧に説明してくれた。僕はスパーズのR・C・ビュフォードGMにこう言ったんだ、『契約を決めたのはアイミだ。ポポビッチHCの影響もあるが、この件はアイミの働きが大きい』とね」
– ラマーカス・オルドリッジ
7月初めにロサンゼルスで行われたスパーズとのミーティングの後、オルドリッジはプライベートジェット機で地元テキサス州まで一緒に帰ろうと、ウドカを誘ったそうだ。そのままウドカがサンアントニオまで戻るつもりなのだと思い込んでいたらしい。この時点でオルドリッジは、契約先をスパーズもしくはサンズの2チームに絞っていたという。
ウドカはオフシーズンをロサンゼルスで過ごしていたため、サンアントニオに帰る予定など一切なかったが、オルドリッジの誘いを快く受け、ダラスまで同乗することにした。ミーティングで伝えきれなかった事柄をすべてクリアにするためだ。それに気づいたオルドリッジは、「何もそこまでしてくれる必要はないよ」と飛行機を降りるように伝えたそうだが、ウドカは頑なに言うことを聞かなかったという。このフライトでの会話が、オルドリッジがスパーズを選んだ決定打になったらしい。
「それで僕たちは飛行機に乗った。一緒にいた母親と子供たちは前の席に座り、僕とウドカは後方部でずっと話をしていた。主にスパーズのシステムや僕の役割についての話だったよ。質問はほとんどしなかった。ウドカは、僕がどんな形でチームにフィットできるか聞かせてくれていたんだ。メディアやファンたちは、僕がスパーズに移籍することで、シュートを打つ機会が少なくなるとか、これまでのようなスコアラーじゃなくなるとか、そんなことで騒いでいた。だけどウドカはこう言ってくれた、『スパーズはインサイドで点を取れる選手を必要としている。ダンカンはもう歳だ。チームにはインサイドでダブルチームを引きつけられる選手が必要なんだよ』、と。そこで僕はこう言い返してみた、『僕はスパーズらしくないかもしれない。なぜなら、ここ3~4シーズンで平均23得点を記録してきたから。だから、「全員が平均17得点を目指そう」という君たちのシステムとは合わないのではないか?』。するとウドカは、『それは違う。我々は君のプレースタイルを変えさせて、16~17得点を平均させようとしているわけじゃない。君らしくプレーしてほしいだけだ。それがお互いのためになる』と言ってくれた。彼は、僕に自分を変える必要はなく、これまで通りで大丈夫だということを再確認させてくれたんだ」
Image by Keith Allison/Flickr
参考記事:「USA Today」