NBAレジェンドのマジックとピッペンがベン・シモンズに辛口のアドバイス
イースト1位シードでのプレイオフ進出を決めて優勝への期待が高まるも、確実に有利と見られていたカンファレンス準決勝で総崩れして敗退した2020-21シーズンのフィラデルフィア・76ers。
シリーズ終了直後は、オフェンスで振るわなかったオールスターのベン・シモンズが戦犯扱いされ、ネット上ではシモンズへの批判や誹謗中傷が飛び交った。
シモンズはずば抜けたパスセンスと身体能力、サイズを持ち合わせ、守備では1~5番まで守れるリーグ屈指のオールラウンド・ディフェンダー。まだ24歳と若く、ここから一皮も二皮も剥けるポテンシャルを秘めた選手だ。
ただその一方で、フリースローやジャンプショットを含めて、とにかくシュートが苦手。ハーフコートオフェンスでは、相手守備に放置されて存在感がゼロになってしまう場面も度々あり、特に今季プレイオフのイースト準決勝ではその弱点が露呈する形となった。
そんなシモンズに対し、NBAレジェンドのマジック・ジョンソンとスコッティ・ピッペンが、厳しい言葉を用いながらアドバイス的なものを送っている。
ピッペン
まずピッペンはGQ誌のインタビュー記事の中で、シモンズとヤニス・アデトクンボを比較。シモンズのフリースローに対する苦手意識を批判した。
「彼は素晴らしい選手だが、シューティングが弱い。それさえ克服すれば、シモンズに弱点はなくなる。ヤニス(アデトクンボ)もシュートが苦手だ。ただヤニスは恥をかくことを恐れていない。それがベン・シモンズとヤニスの大きな違いだ」
「ヤニスは仮にフリースローを連続でエアボールしたとしても、次のプレイでは全力でダンクを狙いにくる。一方でベン・シモンズは、フリースローに失敗するとパスに逃げてしまう。フリースローラインで恥をかきたくないあまり、ハーフコートにボールを運ぶことすら恐れているように感じた。だから彼は(イースト準決勝第7戦の終盤で)ダンクにいかなかったんだ」
ピッペンが「ダンクにいかなかった」と指摘するのは、今年のイーストセミファイナル第7戦終盤でのプレイ。ゴール下でイージーなレイアップを決められたはずの場面でパスを出してしまい、試合後には76ers敗因の一つとして酷評された。
今季ポストシーズンでのシモンズは、フリースロー成功率がわずか34.2%(73本中25本)。フリースローが大の苦手だったシャキール・オニールすら下回る歴代ワーストレベルで、ホークスとのシリーズでは何度もハック戦略の餌食となっていた。
上のプレイでダンクにいかなかったのも、ピッペンが指摘する通り、フリースローへの苦手意識からくるメンタルエラーだったのかもしれない。イースト準決勝でのシモンズは、第4戦から第7戦にかけての4試合で第4Qに1本もシュートを打っていない。
マジック
今オフには、レイカーズレジェンドのマジック・ジョンソンもシモンズについて言及している。
76ersのシーズン敗退が決まった翌日、マジックはESPNのスポーツトーク番組『Get Up!』に出演し、「シモンズにはフレッシュスタートが必要。76ersとベンの両者にとってプラスになるだろう」とトレードのアイデアを後押し。さらに、「オフェンスでの積極性と自信を取り戻すには、もっと場数を踏むしかない」と助言した。
「(シモンズは)もっと実戦経験を積むべき。例えばサマーリーグに参加するのも一つの手段だろう。とにかく試合に出て、どんどん外からシュートを打つべき。ピックアップゲームでも良い。そうすれば自信を取り戻せるはずだ」
なお現地メディアによると、今オフの76ersにはすでにシモンズへのトレードオファーが殺到しているとのこと。ただ76ersは、見返りとしてオールスター級の選手を獲得できない限りシモンズを放出する気はないらしく、最近ではペイサーズからの「マルコム・ブログドン+ドラフト1巡目指名権」を中心としたオファーを断ったとされている。
参考記事:「GQ」