2022NBAドラフトの結果と感想:デューク大のパオロ・バンケロが全体1位指名
NBAでは現地6月23日、第75回NBAドラフトがニューヨークのバークレイズ・センターで開催。デューク大1年のパオロ・バンケロ(フォワード)がオーランド・マジックから1巡目全体1位指名を受けた。
続いて、オクラホマシティ・サンダーが全体2位でゴンザガ大のチェット・ホルムグレン(センター)、ヒューストン・ロケッツが3位でオーバーン大のジャバリ・スミスJr.(パワーフォワード)を指名。2022年ドラフトのロッタリー指名(トップ14位)は以下の通り:
- パオロ・バンケロ(マジック)
- チェット・ホルムグレン(サンダー)
- ジャバリ・スミスJr.(ロケッツ)
- キーガン・マレー(キングス)
- ジェイデン・アイビー(ピストンズ)
- ベネディクト・マサリン(ペイサーズ)
- シェイドン・シャープ(ブレイザーズ)
- ダイソン・ダニエルズ(ペリカンズ)
- ジェレミー・ソーハン(スパーズ)
- ジョニー・デイビス(ウィザーズ)
- ウスマン・ジェン(ニックス→サンダー)
- ジェイレン・ウィリアムズ(サンダー)
- ジェイレン・デュレン(ホーネッツ→ピストンズ)
- オチャイ・アバシ(キャブス)
サプライズ
パオロ・バンケロが全体1位指名というサプライズで始まった2022年NBAドラフト。
約5週間前のドラフトロッタリーで今年の指名順位が決まって以降、ESPNやBleacher Reportをはじめとした大手スポーツメディア、さらに多くのアナリストやモック・ドラフトのサイトなどが、ジャバリ・スミスJr.が1位指名になると予想。だがドラフト当日になって、バンケロが有望との噂が各地で飛び交い、実際にその通りの結果となった。
マジックが全体1位でスミスJr.を指名するだろうと予想されていた最大の理由はフィットの面だ。スミスJr.はシューティングに強い身長208cmのストレッチビッグで、オーバーン大でのフレッシュマンシーズンでは3P成功率43.6%をマーク。昨季NBAでスリー成功率がリーグワースト3位(33.1%)だったマジックにとって、即戦力になると見られていた。
一方でマジックが実際に1位指名したバンケロは、多彩なスキルを持った万能タイプのパワーフォワード。オフェンス面ではポジションレス・バスケのビッグとして理想的なタイプであり、パスセンスも高い。特にオンボールでのショットクリエイト力は2022ドラフトのフォワード/ビッグ勢で突出している。
バンケロは1年目からマジックのリードスコアラーになれるポテンシャルとスキルセットを持つ逸材。昨季のオール・ルーキーチームに輝いたフォワードのフランツ・ワグナーとどんなケミストリーを演出できるのか楽しみだ。
ピストンズ
今年のドラフト前日に、主力のジェレミー・グラントをアセットとキャップスペースのために放出する大きな動きを見せたデトロイト・ピストンズ。ドラフト当日では、自軍の5位指名でガードのジェイデン・アイビー、さらにトレードで入手したばかりの13位指名でセンターのジェイレン・デュレンを獲得した。
トップ3位指名を除けば、ピストンズは今年ドラフトにおける最大の勝者だと言えるかもしれない。
5位指名のアイビーは得点力の高いコンボガード。さらにトレードを経て13位指名で獲得したジェイレン・デュレンは、フィニッシュとリム守備に強いツーウェイのセンターだ。2人とも、昨年ドラフト1位指名のケイド・カニングハムと相性抜群だろう。
特にアイビーは、今年のドラフトで最も身体能力が高いとされる選手の1人。一歩目でディフェンスを抜き去る爆発的な瞬発力と、ショットブロッカーを空中でかわしながらアクロバティックなショットをねじ込む超人的なジャンプ力&ボディーコントロールを持ち合わせており、ピック&ロールの指揮も上手い。
▼ジェイデン・アイビー
アイビーは、ドノバン・ミッチェルや怪我前のビクター・オラディポ、さらには若手時代のドウェイン・ウェイドを彷彿させる超アスレチックなシューティングガード。ペースコントロールやプレイメイクに長けたカニングハムのバックコートコンビとしては理想的なタイプと言える。
ここ2シーズンで順調に再建が進んでいるピストンズ。2~3年後には、イースタンカンファレンスを席巻するようなエリートチームへと成長しているかもしれない。
スパーズ
サンアントニオ・スパーズは2022ドラフト全体9位指名でベイラー大のジェレミー・ソーハンを獲得した。スパーズがドラフトトップ10位以内の指名権を得たのは、1997年(全体1位指名のティム・ダンカン)以来初だった。
ソーハンは、7フットのウィングスパンを持つパワーフォワード。プルアップスリーやポストアップといったオンボールでの得点力は弱いものの、ビッグマンとしてフィニッシュ力やパスセンスが高く、さらにディフェンス面での評価は2022ドラフト組で屈指。サイズと機動力を活かして、1番~5番までスイッチできる万能タイプのディフェンダーだ。
外のシュートが安定して打てるようになれば、ドレイモンド・グリーンを超える“究極のロールプレイヤー”になれるポテンシャルを秘めた選手。パワーフォワード/スモールラインアップ5番がやや手薄だった今のスパーズで、1年目から即戦力になれるだろう。
なお2022ドラフトでのスパーズはソーハンの他、1巡目20位指名でウィングのマラカイ・ブランナム、25位指名でガードのブレイク・ウェスリーを獲得した。
2019-20シーズンから3年連続でプレイオフを逃すこととなった元常勝チームのスパーズ。未だに方向性が定まっていない印象で、今オフではデビュー6年目でついにオールスターに選出されたばかりのデジャンテ・マレーのトレード放出を健闘しているという噂も出ている。
『Bleacher Report』のJake Fischer記者によると、スパーズはマレー放出の見返りとして、将来のドラフト指名権3つを要求しているとのことだ。
参考記事:「NBA」