どうしてラジョン・ロンド?
新たなキングを迎え入れたレイカーズの元に、なにやら個性的なベテランたちが集いつつある。
ESPNによると、ポイントガードのラジョン・ロンドが現地2日、レブロン・ジェイムスをFAで獲得したロサンゼルス・レイカーズとの契約に合意。契約内容は1年/900万ドルだという。
レイカーズは、ロンドとの契約が報じられる1時間ほど前にジュリアス・ランドルへのクオリファイング・オファーを取り下げ、キャップスペースに空きを作ったばかりだった。それによりランドルは無制限のFAとなり、それから間もなくペリカンズとの契約合意が伝えられた。
昨季のロンドは、65試合で8.3得点、8.2アシストを平均。ポストシーズンでは例年のようにギアを上げて平均10.3得点、12.2アシスト、3P成功率42%を記録し、ペリカンズの第1ラウンド突破に大貢献した。ウォリアーズとのウェスト準決勝第3戦では、21アシストでペリカンズのプレイオフ球団新記録を樹立している。
▼プレイオフ・ロンド
正直なところ、レイカーズがどんなチームを目指しているのかよくわからなくなってきた。
レイカーズはFA初日にレブロン争奪戦でジャックポットを引き当て、翌日にはケンテイビアス・コールドウェル・ポープと再契約、さらにジャベール・マギーをベテランミニマムで獲得。ここまでは良かった。
たが、そこからランス・スティーブンソンと契約を結び、そして今回のロンド獲得。ランスもロンドも年俸分の働きは十分にできる選手で、昨季もそれぞれのチームで奮闘したのは確かだ。2人ともレブロンと何度も激しいバトルを繰り広げ、世界一のプレイヤーからリスペクトを勝ち取った選手ではあるが、どちらも外のシュートやオフボールプレイが頼りなく、何よりもボールを必要とするタイプなので、レブロンとの相性が良いとは言い難い。
レブロンの能力を最大限に発揮できるラインアップは、レブロンをPGに置いて優秀なシューターで囲む布陣であり、それは抜群の破壊力を誇った1~3年前のキャブスで証明済みだ。だが今のレイカーズは、そこから反対方向に進んでしまっているようにも見える。
もともとレイカーズにはロングレンジが得意な選手が少なく、このままでは来季ロスターでリーグ平均以上でスリーを決められる選手がジョシュ・ハート、KCP、カイル・クーズマの3人のみとなってしまう(ブルック・ロペスとチャニング・フライは去就が不明)。
ランス・スティーブンソンに関しては、契約金も安く(1年/450万ドル)、レブロンとプレイタイムがあまり被らなさそうなのでいいとしても、なんでロンド?ロンゾ・ボールがいるのに?ESPNのRamona Shelburne記者によると、レイカーズはロンドと契約を結ぶ際に、「先発PGの役割はふさわしい方に与える」と告げたという。ロンゾ・ボールのトレード放出を見越した上でのロンド獲得かとも思ったが、そういうわけではないらしい。
パスセンスやプレイメイク力ではまだラジョン・ロンドが上回っているが、その他の要素(特にディフェンス)ではすでにロンゾ・ボールが勝っている印象。レブロンとの相性の面で見ても、ボールを素早く手放せるロンゾ・ボールの方が上手くフィットしそうだ。ただ、先発のスポットを巡って切磋琢磨させて、ロンゾ・ボールの尻を叩くのは、将来的にチームにとってプラスになるとは思う。
なおレイカーズは昨夏にもロンドを獲得しようとしていたので、もしかするとマジック・ジョンソンがロンドをすごく気に入っているのかもしれない。あるいは、レブロンがこれまでよりもオフボールでのプレイを増やしたいと考えていて、優秀なプレイメイカーの加入を望んだ可能性もある。
いずれにせよ、ジュリアス・ランドルの制限付きFA権利を手放してまで、ロンドを獲得すべきだったのかというのが最大の疑問だ。
参考記事:「ESPN」