ウォリアーズが「ノビツキー祭壇」を新アリーナにも設置へ
ゴールデンステイト・ウォリアーズの本拠地であるオラクルアリーナの敵チームロッカールームには、「ダーク祭壇」(The Dirk Shrine)として知られるスポットがある。その昔、ダラス・マーベリックスのダーク・ノビツキーが部屋の壁に物理的に刻み込んだレガシーだ。
マイアミ・ヒートとの2006年NBAファイナルでシリーズ2勝0敗から逆転負けを喫したノビツキーは、続く2006-07シーズンでマブスを67勝15敗のリーグ首位へと導き、キャリア初のMVPを受賞。その年のマブスは優勝候補筆頭として満を持して2007年プレイオフに臨んだが、第1ラウンドで8位シードのウォリアーズ(We Believe!!)に圧倒され、シリーズ2-4で初戦敗退という何とも残念な結果に終わった。NBA史上最も大きな番狂わせの一つとされるシリーズだ。
▼2007年ウェストファーストラウンド第6戦
シーズン敗退が決まったオラクルアリーナでのシリーズ第6戦の試合後、失望と自責の念でフラストレーションが頂点に達したノビツキーは、自軍のロッカールームに戻るや否や、部屋にあったゴミ箱に八つ当たり。ゴミ箱を力一杯投げつけ、壁に穴をあけてしまった。
2007年プレイオフからすでに10年以上となるが、ノビツキーが開けた穴は今でもそのまま。修復されないどころか、そこには当時のチームスローガン「We Believe」のTシャツが祭られ、さらに穴の下にはノビツキーの直筆サインまである。本人公認の祭壇だ。
ウォリアーズにとってはレガシーでも、ノビツキーにとっては苦い思い出でしかないはずなのに、それにわざわざサインするなんてすごく心が広い。ただ本人いわく、ウォリアーズからのサインのリクエストに快く応じる気持ちになれたのは、2011年の優勝があったからこそだという。
ノビツキーは2014年にオラクルアリーナを訪れた際、ロッカールームの「祭壇」についてこんなコメントを残している。
「いつも僕を笑顔にしてくれる。あれは僕の歴史の一部。プレイオフでの多くの失敗や失望は、2011年にリーグ制覇を達成するための糧となった。今の僕があるのはそういった経験のおかげだ」
「2011年に優勝するまでは、腹立たしい思い出だったよ。今でも残念に思うことがある。2007年は67勝をあげ、優勝を狙えるポジションにいた。好機を逃してしまったんだ。あの年の僕たち(マブス)はスパーズとの対戦でも素晴らしいプレイができていた。レギュラーシーズンでは何度か勝利をあげ、もしプレイオフでぶつかっても勝ち抜けられると思っていたよ。結局スパーズはその年のファイナルでキャブスをスウィープして優勝した。チャンスを台無しにしてしまった1年だ。でもそれは僕の歴史の一部であり、あの経験のおかげで選手として成長できた」
– ダーク・ノビツキー
▼ノビツキーのMVPシーズン(2007)
ウォリアーズは1971年からホームとしていたオークランドのオラクルアリーナを今季限りで離れ、2019-20シーズンからサンフランシスコ市内に建設されたチェイス・センターへと本拠地を移す。
マブス番記者のEddie Sefko記者によると、ウォリアーズはホーム移転の際に、球団の歴史を彩るレガシーの一つとして、「ダーク祭壇」の壁をそのまま切り抜き、新アリーナに設置する事に決めたそうだ。
Nowitzki Forever…
Image by Danny Bollinger
Via @ESefko/Twitter