チャンドラー・パーソンズQ&A: デアンドレ・ジョーダンの決断と今後のマブスについて
今夏オフシーズンは、ダラス・マーベリックスのFAリクルーターの1人として、デアンドレ・ジョーダンの勧誘活動に奔走したチャンドラー・パーソンズ。ジョーダンがマブスとの契約合意を破棄し、クリッパーズ残留を選んだことで、その働きは無駄に終わってしまった。
マブスの悪夢から一夜明けた現地9日、パーソンズはESPNの取材で、ジョーダンの決断やこれからのマブスついての想いを赤裸々に語った。
以下、ESPNのパーソンズQ&A記事より:
Q: デアンドレ・ジョーダンがクリッパーズとの再契約を検討していると初めに知ったのはいつ?
P: 「ジョーダンとは毎日連絡を取り合っていたんだけどね…。月曜日にマーク(マブスのオーナー)から電話がかかってきて、『ジョーダンが土壇場でしりごみしている』と言われるまで、何も知らなかったよ。でもフリーエージェントのプロセスでは良くある話だ。重大な決断だから、誰でも二の足を踏むものさ。『僕は正しい選択をしたのだろうか?』、とね。こういった感情が頭をよぎる。昨年に僕がロケッツを離れて、マブスと契約する時も、同じような気持ちになった。だけど、相手の球団や街をその気にさせておいてから、話をなかったことにするなんて、絶対に考えない。ジョーダンがそんなことを考えていたのは知らなくて、最終的に彼から、もう一度クリッパーズと会ってみるつもりだ、と聞かされた」
Q:ジョーダンの決断に対して、どんな気持ちだった?
P: 「ショックだよ。とても失望ているし、ディスリスペクトされた気分だった。僕のキャリアでこんなことは初めてだし、滅多に起こることじゃないとはわかっている。でも男が個人に対して、そして球団に対して誓いを立てたんだ。特に、球団は多大な労力を注いだし、僕自身もその過程において彼に付きっきりだった。すごくオープンに、彼の手助けをしようと努めたよ。それを反故にするというのは、とても非倫理的で不敬な行為だ」
Q: もっと上手くやれていたかもしれない、と思う点は何かある?
P: 「ないね。やれることはすべてやった。ジョーダンを満足させ、ダラスと契約してもらうために、持てるものすべてを提示したよ。あらゆる面において、あれ以上やれることは何もない。あるいはFAの期間中、LAやヒューストンでずっと彼の側にいて、手を握っていればよかったのかもしれないね。だけど、そんなことをしなければならなかったかもなんて、考えられなかったよ」
Q: ジョーダンが心変わりした理由は何だと思う?
P: 「プレッシャー。恐らく、フランチャイズプレーヤーになり、チームを牽引するプレッシャーを与えられることに対して、ナーバスになってしまったんだろう。ジョーダンにとって、LAは居心地がいいんだ。クリス・ポールやブレイク・グリフィンの後ろでプレーできるからね。でも僕は、彼がその状況を望んでいないのだと思っていた。実際に彼がそう言っていたし。ジョーダンは、次のステップを踏み出したいと言っていた。チームの大黒柱になって、特別なものを築き上げたいってね」
「だからこそ、ジョーダンの獲得に一生懸命になったんだ。彼と僕は求めているものが同じ。僕がヒューストンを去った理由も同じ。だからジョーダンはLAを去るのもだと思い込んでいた。誰かの影でいることに嫌気がさし、もっと大きな役割、そして実力にふさわしい注目を求めているのだと思った。だからこそ、彼の決断は僕にとってショッキングなんだ。ずっと抜け出そうとしていた環境に、再び自分から戻ろうとしているわけだからね」
Q: ジョーダンとの交友関係はどうなると思う?
P: 「えーと、それは…。ジョーダンはいい奴だし、友達だ。素晴らしい関係を築けたし、ここ数週間でとても仲良くなれたよ。ただ今回の決断は、僕たちの友人関係よりも遥かに大きなものだったんだと思う。彼にとっては、まだ手に負えないものだったんだ」
「ジョーダンはLAで満足なのさ。大きな決断をして、独り立ちするよりも、安全な賭けだからね。恐らくナーバスだったんだろう。怖かったんだろう。彼と話してないから、わからないけど。でもジョーダンはいい奴だ。今回の事があったからといって、悪い人間だなんて思わない。ただ混乱していたんだよ。移籍という決断は彼には大きすぎたし、フランチャイズを背負う覚悟ができていなかったんだ」
Q: ジョーダンがマブスと合意してからクリッパーズと契約するまでの期間で、どれくらい頻繁に連絡を取り合っていた?
P: 「毎日。それが僕のやり方だ。一生懸命リクルートしたよ。でも大変な作業だとは思わなかった。僕が彼に告げたことはすべて真実だ。ジョーダンがMVP候補になること、オールスターの常連になること、NBAのベストセンターになること。彼がダラスに来たなら、すべて実現可能だった。だから毎日このことをジョーダンに言い続けた」
Q: ジョーダンは契約前日の8日にどのくらい長く着信拒否を続けていた?その時はどんな気持ちだった?
P: 「そうだな、僕に対してはすごくランダムだけど返信してくれた。だけどマーク・キューバンに対しては、一切返事しなかったようだね。僕から言わせてもらえば、それはとてもアンプロフェッショナルな行為だ。キューバンは、デアンドレのために最善を尽くした。FA交渉の間、何でも言うことを聞き、偉大な選手になるためのチャンスを提示した。そんなオーナーが、家の近くまで来て、ただ顔を合わせて話をしたいと言っているだけなのに、それに対してドアを閉ざし、完全に無視するという行動は、僕の理解を超えている。僕が知っているデアンドレは、そんなことをする人間じゃなかった」
「プロならば電話に出るべきだ。もしマークと直接会うつもりがないのなら、電話を取って、自分の今の気持ちを大切にしたいと伝るべき。無視するのはだめだ。蚊帳の外に追い出して、不愉快な思いをさせるな。それはあまりにもプロにふさわしくない。その部分だけはまだ許せないね」
Q: 個人として失望した?それともプロとしての失望の方が大きかった?
P: 「今回の件は、僕とジョーダンの個人的な問題じゃない。彼を素晴らしい選手だと思ったから、マブスに来てもらえるようにリクルートしていただけだ。ダラスにいる選手たちと共に、ダラスのシステムでプレーすれば、ジョーダンはNBAのベストセンターになれたと思うよ。偉大な選手になったと思う」
「個人的には、遺恨はない。でもそんなことは問題じゃないよ。大切なのは来季だ。素晴らしいチームになれるチャンスがあり、僕たちはデアンドレ・ジョーダンに賭けた。だけど最後の最後で彼が決心を変えたため、僕たちには選択肢がなくなってしまった。ジョーダンがこんな形でクリッパーズ残留を選んだことで、僕が傷ついたなんて話は、まったく無関係だ。これはもっと重要な問題だよ」
「ジョーダンはマブスを危機にさらしたんだ。この夏にチームがやってきたことは、すべてジョーダンを中心にしたものだった。それなのに、土壇場になってから、あんな行動に出た。僕が頭にきたのはその点だ」
Q: デアンドレは間違った決断をしたと思うか?
P: 「どうだろうね。先のことはわからないよ。ジョーダンは素晴らしい選手だと思う。これからもLAでそうあり続けるだろうし、クリッパーズは素晴らしいチームになる。前からその状況にいたわけだから、彼の決断を間違いだと言うのは難しい。ジョーダンは昨季もクリッパーズでプレーして、LAで素晴らしいキャリアを過ごしてきた。だから残留を決めたことについて、間違いだったとは言わないよ。ただ、彼が欲しがっていたもの、FAの期間を通して僕たちに語っていたことを、彼がLAで手に入れられるとは思わない」
Q: マブスがこの状況から立ち直るにはどのくらいの時間が必要だと思う?
P: 「容易ではないね。これから来季に向けてどんな方針でいくのか、僕にはさっぱりわからない。だけど、優秀なFA選手は毎年たくさん出てくる。そして僕たちには、FA獲得に積極的に奔走する最高のオーナーがいる。まさに今年そうしたようにね。いちかばちか勝負に出てくれるマークのようなオーナーは素晴らしい。デアンドレ・ジョーダンやレイジョン・ロンドを追い求め、優勝を狙える偉大なチームになるために、率先してリスクを取るようなオーナーだ。ただ今回は上手くいかなかったというだけの話。駄目だった理由はみんな知っていると思うけど」
Q: あなたは、チームの基盤が完成したと言っていましたね。残りのキャリアを一緒にプレーする有力なセンターを得たことで…
P: 「そこで話をさえぎらせてもらおうか。あれは彼の言葉、デアンドレ・ジョーダンの言葉だ: 『一緒にリタイアしよう。次に落ち着く場所で、俺は引退することになるだろう』ってね。当然、僕もその気にさせられた。彼の言葉だ、僕が言ったんじゃない」
Q: そうでしたか。でも、ダーク引退から次世代マブスに向けた基盤が出来上がったと感じていたのは事実ですよね?現時点でも、まだチームの未来は明るいと考えている?そしてあなた自身もチームの長期的な未来図の一部だと思う?
P: 「もちろん。僕たちには最高のオーナーがいる。この状況を克服して、前に進んでいくよ。もし来季が苦しいシーズンになっても、それはそれで構わない。すぐに立ち直るから。ロスターにはハングリー精神を持ったプレーヤーがたくさんいる。チームは、ウェズリー・マシューズのような選手を必要としていた。マシューズはとてもタフで、約束を守る男だ。ダラスが求める理想的なキャラクタータイプだよ。だから今回はこのような形に終わったが、それが後に幸福となって返ってくるかもしれない」
「来年のオフは、トップクラスFA獲得のためのキャップスペースがたくさんある。だからチームの未来は明るい。僕は全力で怪我の回復に努めるつもりだし、マシューズも同じ気持ちだろう。最後まで全力で戦っていくつもりだ」
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参考記事:「ESPN」