デイミアン・リラードが海外掲示板Redditに降臨「なんでも聞いてくれ」
「Dameだけど質問ある?」、NBAスーパースターのデイミアン・リラードが現地12月3日、海外ネット掲示板RedditのNBA板に降臨。スポーツドリンクブランド『Gatorade』の協力のもと、「何でも聞いて」(Ask Me Anything)のスレッドを立ててファンたちからの様々な質問に動画付きで丁寧に答えていた。
今シーズンのリラードは20試合の出場で21.5得点、7.8アシスト、フィールドゴール成功率39.7%、3P成功率30.2%を平均。現在は下腹部の腱障害で戦線離脱しており、今季序盤のスロースタートは怪我が大きく影響していた模様だ。
以下、大好評だったリラードのAMAスレッドでのやり取りをまとめてみた。
Q:ピック&ロールで最も苦戦させられるのはどのチームですか?
「オフェンスの話?それともディフェンスの話?両方?まずディフェンス側として考えるなら、ゴールデンステイト(ウォリアーズ)。彼らのオフェンスは絶対に読めないからね。ステフ(カリー)はボールを持たない時でも常に動いている。例えばピック&ロール中のステフをトラップしても、彼は一旦ボールを戻してすぐにカットに入る。すると彼のチームメイトたちは、ステフのためにあらゆるオフボールのスクリーンをセットする。ウォリアーズのオフェンスは、とにかくピック&ロールの外で動きまくるんだ。だから守備側からの目線だと、ステフがフロアにいるゴールデンステイトが一番厄介だね」
「反対に僕がオフェンス側でピック&ロールをする時は、マイアミ・ヒートに最も苦戦させられる。ヒートはとても万能なチーム。守備面で身体能力とサイズを兼ね備えた選手がたくさんいる。スイッチを多用しながら、ペイントエリアを封鎖できるチーム。ヘルプDやボールへの執着心も素晴らしい。だからヒートは最も攻略するのが難しいチームの一つだ」
Q:“NBAの洗礼”を最初に受けた時のエピソードを聞かせてください
「ルーキーイヤーのプレシーズンゲーム(2012年)。あれはサンズとの試合で、ゴラン・ドラギッチが対戦相手の先発PGだった。もちろんNBAファンとしてドラギッチのプレーは何度もテレビで見ていた。でも、クリス・ポールやデリック・ローズ、デロン・ウィリアムズといった選手たちと同じ風には評価していなかった。僕のNBA入りが決まった際に頭にあったのは、『ポールやローズらトップの選手たちと戦うのはどんな感じなんだろう?
』ということだった」
「ドラギッチのことはリスペクトしていたけど、彼との初対戦であれほど苦戦させられると思っていなかったよ。彼は僕とのマッチアップでピック&ロールを駆使しながらスリーを沈め、リムを攻めた。とにかくボコボコにやられた。最初のタイムアウトでベンチに下がった時に、人生で初めて『フロア上で何もやれていない』と実感させられたよ。毎回スクリーンに捕まり、タフショットをねじ込まれ、トランジションでも置き去りにされた。彼についていけなかったんだ。とにかく僕の手には負えなくて、『これがNBAか』と思い知った日だった。オールスターでもない選手にあれほど苦戦させられたのだから」
「その頃の僕は少し調子に乗っていて、気持ちが緩んでいたんだと思う。あの試合のおかげで、『NBAの試合ではどんな選手が相手でも真剣にやる』という考えが身に付いた。そもそも選ばれた人間しかここにはいないんだ。そのことを早い段階で学べたよ。それが僕にとっての『NBAの洗礼』だった」
Q:自分が決めてきたゲームウイナーの中で一番のお気に入りはどれ?
「僕自身のお気に入りは、プレイオフでサンダー相手に決めた一発。第1に、あのショットで白熱していたシリーズを終わらせることができた。第2に、あれは僕のキャリアにとって最も重要なショットだった。そして第3に、あのショットで50得点に到達できた」
▼これ
Q:あなたはNBAで最もクラッチな(勝負所に強い)選手の一人として知られています。どんな気持ちで正念場に臨んでいるのですか?どうすればあなたのように冷静沈着でいられるのですか?緊張することってありますか?
「試合の大事な場面に臨む際、僕が頭の中に描くのは“成功するシーン”のみ。『失敗したらどうしよう』なんて絶対に考えない」
「そんな状況で僕が冷静でいられるのは、そのための準備を常にしているからだと思う。オフシーズンでもシーズン中でもたくさん練習し、チーム練習後にもトレーナーと夜間のワークアウトに取り組む。いつもキツイ練習をしているわけじゃない。量より質。大切なのは集中した状態で反復練習をこなし、シャープなコンディションでい続けること。そうすることでタイトなプレイを保ち、理想のプレイができるようになる。だから試合の重要な場面でも自信を持てる。自分が費やしてきた努力の大きさを信じられるからね」
Q:今のリーグで最も優れたペリメーター・ディフェンダーは誰だと思いますか?3人教えてください
「ドリュー・ホリデーとベン・シモンズ、ルー・ドート。彼らが僕にとってのトップ3だ」
Q:近年NBAの主流となっている「リングorバスト」(優勝がすべて)のカルチャーについて、選手たちはどう考えているのでしょう?あなたもその決断を迫られた選手の1人ですが、あなたの選択(スーパーチームへの移籍を選ばなかった)について他の選手たちは何と言っていますか?
「今のNBAでは優勝できないと評価してもらえない。まるで簡単に優勝が達成できるかのように語られる時代だ。キャリアを通して優勝できなかった偉大な選手はたくさんいる。NBAでリングを勝ち取るのはそれだけ難しいことであり、多くのことが揃わないと実現できない。ロスターの戦力はもちろん、チーム内の繋がりも不可欠で、運の強さも必要。十分なタレントを保持しつつ怪我を回避しなければならない。これらの条件をすべて満たすのは本当に難しい。だからこそ、リーグ制覇は特別なことなんだ」
「僕はキャリアの中で多くのことを達成してきたと思う。この先チャンピオンシップリングを獲得できないとしても、その気持ちは変わらないだろう。もちろん最大の目標は優勝すること。ただ「リングorバスト」の文化には賛成できないし、そんなナラティブのためにキャリアを費やしたくない。“チャンピオンシップリング”だけに囚われた考え方を決断の軸にはしたくないんだ。自分自身のことは良く分かっている。信念や自分らしさを捨てまで優勝を達成できたとしても、僕が想像するような充実感を得られないはずだ」
「リーグの選手たちからは『お前はこのチームに行くべきだ』『ポートランドを離れるべき』などと言われることもある。彼らは僕のためを思って助言してくれるんだ。選手たちの中には、その経験の有無に拘らず、(スーパーチーム結成に対して)好意的な人たちがいる。彼らは僕が環境を変えて優勝を狙うべきだと思っている。だからいろいろとアドバイスをしてくれるのだけど、彼らも最終的には僕のスタンスを尊重してくれていると思う」
Q:あなたが取り入れたことのある型破りな練習方法について教えてください。ボクシングをトレーニングに取り入れたことは聞いています。それは効果的でしたか?カイリー(アービング)がハンドリングを鍛えるためにビニール袋を使っていたと聞いたことがあります。デリック・ローズもシカゴにいた頃は練習で重いボールを使っていたとか?
「いろいろなトレーニングを試してきたよ。ボクシングもその一つ。ただボクシングを習うことは僕の中で決して“型破り”なことじゃない」
「男として自分の身を守る手段を身につけることは大切だと思う。だから僕がボクシングを取り入れた理由は、体を鍛えることに加え、自分自身や家族を守れる強さを手に入れるためでもある。バスケットボール選手として“型破り”なトレーニングはボクシングくらいだね」
Q:バスケ界もしくはヒップホップ界で一番憧れた人は誰ですか?
「バスケットボールだと、子供の頃に憧れたのはアレン・アイバーソン、マイケル・ジョーダン、ステフォン・マーベリー、ギルバート・アレナス、コービー・ブライアント。でも一番の憧れはアレン・アイバーソンだった。なぜなら彼は僕のように辛い環境で育った“ネイバーフッドの少年”を思い起こさせてくれるから。彼の立ち振る舞いや懸命さを見れば分かる。そういった彼の姿勢が子供の頃の僕の大きな希望となった。だからアレン・アイバーソンは僕の憧れなんだ」
「ヒップホップでは2パックだね。彼は何者にも屈することなく自分自身を表現し、その姿勢が音楽にも描かれていた。2パックのラップを聴けば、彼のレンズを通した世界観や主張を感じられる。僕がアーティストとして目指しているのはそこだ。僕はツーパックの大ファン。彼と同じような形で自分の経験や価値観をシェアをし、“声なき人々”の代弁者になりたいと思っている」
Q:バスケ上達のアドバイスをください
「僕にできる一番のアドバイスは、とにかく反復練習をしろということ。何事においても、何度も繰り返して常に努力していれば、自然と上達していくものだと思う。優秀なシューターになれるまで何本もシュートを打つ。僕のバスケットボールキャリアはそんな感じだ。ハンドリングの練習を重ねるほど、試合でオンボールを務めるための自信が増す。だからジムでの草バスケにしろ、友達と遊んでいるだけにしろ、本気でバスケが上手くなりたいと思うなら、1日1時間でもいいから時間を作ってとにかく反復練習。シュートを打て。そうすれば自信が持てるようになる。それが僕の知る一番の近道だ 」
Q:プレイスタイルやメンタリティの面で、自分自身を彷彿させる若手選手はいますか?
「プレイスタイルは似ていないけど、メンタリティの面ならジャ・モラントかな。とにかく自信を持ってプレイしている。誰が相手でもアタックし、自分を他のトッププレーヤーと同じ最高のレベルにいると考えている。僕も若い頃は同じ考えだった」
Q:もしバスケ以外のスポーツでプロになれるとすれば何を選ぶ?
「ボクシング。バスケを除けば一番好きなスポーツだ。でもボクシングは過酷なスポーツであり、体と脳の両方に後遺症が残るかもしれない。だから考え直させてくれ」
「バスケ以外だとプロ野球選手かな。子供の頃は野球が上手かったと思う。野球はプロになればたくさんお金を稼げるし、過度なフィジカルコンタクトを要求されるスポーツでもない。メジャーリーグに入るには並々ならぬ努力が必要だろう。ただあれほど給料が良くて、なおかつフィジカルゲームを強いられないのなら、プロ野球に挑戦したい」
Q:一番笑いを提供してくれたチームメイトは誰?
「一番面白かったのは間違いなくエバン・ターナー。2番目はクリス・ケイマンだね。詳細を語れないのが本当に残念」
ソース:「Reddit」