ケビン・デュラントのウォリアーズ移籍とNBA選手たちの反応
FAのケビン・デュラントが現地4日、『The Players Tribune』にショートコラムを寄稿し、ゴールデンステイト・ウォリアーズに移籍することを正式に発表した。
以下、デュラントの『My Next Chapter』より一部抄訳:
これまでのプロフェッショナル・キャリアで最も困難な数週間だった。選手として、人間として進化を遂げるうえでの岐路に直面していたこと、そしてそれが極めて難しい選択を伴うということを、はっきりと理解していた。しかしながら、このプロセスでこれほど感情が揺れ動くとは、知るよしもなかった。
今回の決断をするにあたって自分自身に言い聞かせたのは、選手として成長するための可能性を決断の軸にすることだった。その考え方は、常に僕を正しい方向へと導いてくれた。その一方で、人間として成長できるチャンスを見つけることも等しく重要だと考えるようにもなった。それは、居心地の良い場所から飛び出し、僕の個人的な成長と貢献に最も大きな可能性を提示してくれる新たな街やコミュニティーへと移ることだ。これらを考慮して、僕はゴールデンステイト・ウォリアーズへの移籍を決心した。
僕はワシントンDCの出身だが、オクラホマシティーは僕を育ててくれた。家族の意味、そして大人になることの意味について、たくさん教えてくれた。この球団とコミュニティーが、僕にとってどれほど重要なものか、とても言葉では言い表せない。この気持ちは、いつまでも僕の心にあり続けるだろう。思い出や友人関係は、バスケットボールよりもずっと大きなものだ。こういった貴重なつながりが、今回の選択をとても困難なものにした。
大勢の人たちを失望させるのは本当に心が痛い。だが、現時点での僕の人生とバスケットボールキャリアにとって、正しい選択をしたと信じている。
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ESPNによると、デュラントの契約は2年/5430万ドルで、2年目がプレーヤーオプションになるとのこと。よって、デュラントが来年に再びFAとなる可能性もある。
NBAプレーヤーたちの反応
アンドレ・ドラモンド
https://twitter.com/AndreDrummondd/status/750000213331357697
「ケビン・デュラントがウォリアーズ?みんなの意見は?」
ジェレミー・リン
ジャレット・ジャック
エバン・フォーニエ
「ワォ…マジで?」
ジェフ・ティーグ
「スプラッシュ・ファミリー(笑)」
マルチン・ゴータット
https://twitter.com/MGortat/status/749992890684833792
「クレイジーだ!KDがGSW??1試合で200点でも取るつもりか」
オースティン・リバース
https://twitter.com/AustinRivers25/status/750011907508232192
「ウェストのレギュラーシーズンとプレーオフは最高にヘビー級な競争になる!昨季以上だな。楽しみだ」
ペリー・ジョーンズ
「すべての人を満足させるのは無理だよ(笑)KDの決断におめでとう」
ジョエル・エンビード
「NBA2k17では常にGSWを使うことにする…。来季に200点を取ったとしても驚かないよ」
ユスフ・ヌルキッチ
「負かされた相手のところにいくのか…?スーパースターはそんなことしないだろ…」
アンソニー・モロー
https://twitter.com/MrAnthonyMorrow/status/750001230605389824
「なんてこった」
エネス・カンター
https://twitter.com/Enes_Kanter/status/750001365003350016
「トルコ・ラブ・サンダー」
デイミアン・リラード
「ゲームが劇的に変わった」
ポール・ピアース
https://twitter.com/paulpierce34/status/750021937573748736
「勝てないのならば仲間になれ」
ルディ・ゴベール
https://twitter.com/rudygobert27/status/750029600697180164
「唯一の問題は、ボールが一つしかないこと…」
※ ※ ※
なるほどなるほど…。ウェスタンカンファレンスのパワーバランスを崩壊させた今回のビッグニュースは、あまりにも衝撃的で、どう反応すればいいのか、正直まだよくわからない。
73勝を達成した歴史的チームに、恐らく世界一のピュア・スコアラーが加入。チームの4人が昨季オールNBAチームで、4人とも26歳~28歳とまさにキャリア絶頂期。しかもそのうちの3人(カリー、トンプソン、デュラント)は、50-40-90の達成も可能な歴代屈指のシューター。このチームを相手に、誰が7ゲームシリーズを互角に戦えるだろう?
スター軍団が、初めから上手く機能するとは限らない。状況は異なるが、コービー/ハワード/ナッシュ/ガソルの2012-13レイカーズ、あるいはビッグスリー結成初年の2011マイアミ・ヒートも、オフェンスが思うように機能せず、ポテンシャルを最大限に発揮するまでに時間がかかった。ルディ・ゴベールの言う通り、優秀な選手が何人いても、ボールはコート上に一つしかない。
ただボールシェアという点では、ウォリアーズは問題がなさそうだ。カリー、トンプソン、デュラントのようなトップクラスのシューターは、ボールを持っていない状態でも大きな脅威となる。オフボールで動き回るだけで、相手の守備を混乱させ、ダメージを与えられる。ディフェンダーはこの3人に対して、常に張り付いてマークする必要があり、ウォリアーズは手薄になったインサイドをドライブやカットで攻めて、これまで以上にイージーな点をあげられるようになるはず。
ところでカリーとデュラントのピック&ロールなんて、一体どうすれば対応できるのか?トラップを仕掛けたり、スクリーンの下をくぐったりするのは論外で、この2人に対しては、ほんのわずかなスペースを与えることすら許されない。スイッチしたとしても、デュラントを1対1で止められるポイントガードなどいないだろう。ファイナルでは、カリーのミスマッチを徹底的に攻められ(主にレブロンに)、酷い目に合ったウォリアーズだったが、それと同様の武器を手に入れた。
その一方で、今回のデュラント獲得で、これまでのウォリアーズの強みの一つだった選手層が薄くなってしまったのは確かだ。ショーン・リビングストンを選んだことにより、アンドリュー・ボガットとフェスタス・エジーリを手放さざるを得なくなったため、センターポジションが頼りない。
…と思わせといて、デュラントの移籍発表から半日後、ザザ・パチュリアが1年/290万ドルの大バーゲンでウォリアーズと契約合意した。
ティモフェイ・モズゴフの約5分の1の年棒でパチュリアをゲットした。これが優勝最有力チームの引力。なんとしてもチャンピョンシップリングを手に入れたい優秀な人材が、大幅なペイカットを受け入れてチームに集まってくる。
今後もウォリアーズは、限られたキャップスペースでのベンチ補強が必要だ。デュラントが加わったからといって、来季優勝やダイナスティが約束されたわけではなく、主力の怪我やタレントの衝突といった予期せぬ事態で、早い時期にプレーオフから敗退し、チームが1年で崩壊してしまう可能性だってゼロとは言えない。さらに来季のウォリアーズは、2010-11ヒート並みに各地から敵視されることになるだろう。いずれにせよ、とてつもないモンスターチームが誕生した。
昨季は、キャブスやサンダー、スパーズが、すべてのオン/オフボール・スクリーンに対してスイッチしつつ、さらにドレイモンド・グリーンに優秀なウィングプレーヤー(レブロン、デュラント、レナード)をつけて、カリー/グリーンのピック&ロールを効果的に制限できたことで、ようやくウォリアーズをスローダウンさせるための青写真的なものが見つかったかとも思ったが、また各チームとも一から戦略の練り直しだ。
ソース:「My Next Chapter」