元NBAスターのヴィン・ベイカー、新たな夢はスタバのマネージャー
1990年代にミルウォーキー・バックスやシアトル・スーパーソニックスで大活躍した元NBAプレーヤーのヴィン・ベイカー。全盛期には20得点/10リバウンドのダブルダブルを平均した優秀なビッグマンで、4年連続のオールスターゲーム出場を果たした他、2000年にはシドニー五輪のアメリカ代表として金メダルを勝ち取った。
そんな輝かしいキャリアを送ってきたベイカーだが、引退から9年近く経った現在は、ロードアイランド州ノースキングスタウンの「スターバックス」でバリスタとして働いている。ベイカーは『Providence Journal』紙の取材でNBA引退後の生活を語った。
「ノースキングスタウンの街が大好きだ。故郷を思い出させてくれて、とても居心地が良い。そしてこのコミュニティーも大好きだ。スターバックスにはリピート客が多いので、今ではたくさんの人が私の事を知っているよ」
– ヴィン・ベイカー
Basketball Referenceによると、ベイカーが13年のキャリアを通して稼いだサラリーは約1億ドル。その大部分は、アルコール依存症や投資の失敗などが原因で消えてしまったそうだ。
「あるチョイスや決断をして、それが一生続くと思い込んでしまう。そうなると無駄遣いの癖がついてしまい、それが中毒になり、さらなる浪費につながっていく。敗北への確実な方程式だ。もし私生活を見通せる力がなく、100万ドルもしくは1500万ドルを持つことの意味を理解できなければ、それはいずれ消えてしまう」
「人生の教訓を学んだ。経済的にどんな状況に居ようとも、知っておくべき大切なことは、それが我が身にも起こりえるということ。私はアルコール依存症だった。そして財産を失った。大きな才能を持っていたが、棒に振ってしまった。外から見ている人たちにしてみれば、『ワオ!』といった感じだろう。だけど私にとっては違う。私は43歳で、4人の子供がいる。事態を修復しなければならない。私は父親であり、教会の聖職者でもある。この状況を受け入れて、誰でも失敗から立ち直れるということを証明しなくてはならない」
まさに人生の大転落を経験したベイカーだが、今では生活を立て直そうと前向きに励んでいる。新しい目標は、いつか自分のスターバックス店舗を持つこと、そしてコーチングスタッフとしてプロバスケの世界に返り咲くことだ。最近では、古巣バックスのスタッフとしてサマーリーグに参加している。
「私にしてみれば、刑務所や棺桶の中に終わっていた可能性だってあった。大抵の場合、こういったストーリーはそんな結末を迎える。スターバックスで仕事を始め、店舗のマネジメントに夢中になり、そして家族を養おうと努力するための力を奮い立たせることができたこと。私にとってそれらは、身長210cmでフェイダウェイを打てる能力よりも雄々しいものだと思う。私は朝起きることで活力を得ている。まず何よりも、アルコールに依存していないし、養うべき家族がいるという事実に当惑もしていない。何があっても途中で投げ出すわけにはいかない」
– ヴィン・ベイカー
参考記事:「Providence Journal」