ヤニス・アデトクンボ、キャリア通算得点で歴代バックス首位に
NBAでは現地3月31日、イースト優勝候補のミルウォーキー・バックスとブルックリン・ネッツがニューヨークのバークレイズ・センターで対戦。オーバータイムに及ぶ死闘の末、バックスが120-119でネッツを下した。
この日の試合では、バックスのヤニス・アデトクンボが44得点/14リバウンドの大暴れ。特に勝負所での活躍が素晴らしく、第4Q残り18秒に試合を延長戦に持ち込むステップバック・スリーを沈めた他、1点ビハインドで迎えたオーバータイム残り3秒には逆転決勝点のフリースローを成功させる。
これでアデトクンボは、キャリア通算得点で1万4216点に到達。カリーム・アブドゥル・ジャバーの記録(1万4211点)を追い抜き、バックス歴代1位に浮上した。
また通算得点の他にも、すでに通算ブロック数とフリースローアテンプト数、ディフェンシブ・リバウンド数、トリプルダブル数で球団の最多記録保持者となっている。
MVPレース
今シーズンのヤニス・アデトクンボは平均得点でリーグ2位、リバウンドで6位の数字を記録しつつ、守備面でもDPOYレベルの大活躍ぶり。ナゲッツのニコラ・ヨキッチ、76ersのジョエル・エンビードと並んで、今季MVPの最有力候補と見られている。
現地4月1日時点での3人のスタッツは:
- G・アデトクンボ:30.1得点、11.7リバウンド、5.8アシスト、FG55.4%、48勝29敗
- J・エンビード:30.0得点、11.5リバウンド、4.2アシスト、FG49.1%、46勝30敗
- N・ヨキッチ:26.6得点、13.6リバウンド、8.0アシスト、FG58.1%、46勝32敗
そもそもMVPは、チームの順位に大きく左右されてきたアワードで、カンファレンスの上位2チームから選出されるのが大多数。3位シード以下のチームからMVPに輝いたケースは極めて稀であり、過去40年間では2021年のニコラ・ヨキッチ(3位)、2017年のラッセル・ウェストブルック(6位)、1988年のマイケル・ジョーダン(3位)、1982年のモーゼス・マローン(6位)の4選手しかいない。
その点を考慮すると、過去の“MVPの定義”を最も満たしているのはアデトクンボだろう。個人成績も文句なしの数字。ディフェンスでも3人の中で最も活躍している。
ただ、MVP(Most Valuable Player=最も価値のある選手)の言葉の意味を考えると、2・3番手スコアラー不在のチームをプレイオフ圏内に導いているニコラ・ヨキッチこそふさわしいのではと思えてくる。
現在ナゲッツは46勝32敗のウェスト6位。チームのネットレーティング(100ポゼッション当たりの得失点差)におけるOn/Offを比較すると:
- ヨキッチOn:+8.2点(2367分)
- ヨキッチOff:-7.3点(1387分)
つまり今季ナゲッツは、ヨキッチがフロアにいる時はリーグ首位のサンズに匹敵するパフォーマンスを見せているが、ヨキッチがフロアにいないとピストンズやOKCと同じレベルのボトムチームに成り下がってしまうということだ。
On/Offでここまで大きなインパクト(+15.5点)が生じるスター選手は他にいない。現地4月1日に行われたミネソタ・ティンバーウルブズ戦でもこの傾向が顕著となり、ヨキッチがプレイした43分間では123-117(+6点)で上回っていたものの、ヨキッチがベンチに下がったわずか5分間に7-19(-12点)でアウトスコアされ、最終的に130-136で敗北している。
▼38得点/19リバウンド/8アシスト
もしアデトクンボが今季MVPに選出されればキャリア通算3度目。NBA史上で8人しか達成者がいないレジェンド中のレジェンドに仲間入りすることになる。
ボックススコア:「NBA」