ジェレミー・リン、ケニオン・マーティンの「ドレッドやめろ」発言に「ありがとう」
元NBAオールスターのケニオン・マーティンがジェレミー・リンの髪型について放った発言が、ファンたちの間で物議を醸している。
ユニークなヘアスタイルで知られるリンは、今季から新たに髪型をドレッドロックスにしているのだが、どうやらそれがマーティンの気に障ったらしい。
▼リンのドレッド
まずマーティンは自身のインスタグラムで「聞きたいことがたくさんあるんだが」という一言と共にリンの写真を投稿。それから間もなく、今度は「ネッツのチームメイトや球団がこの愚行を許したことに、私は困惑し、ショックを受け、失望している」というコメントを添え、自撮りのビデオメッセージをシェアした(両方とも削除済み)。
「自分のラストネームが“リン”だということを、この男にわざわざ教えてやらなければならないのか?いい加減にしてくれ。あんなふざけた頭をしていたら、俺がいたチームでは絶対にやっていけなかったはずだ。誰か彼に言ってやれよ、『わかった、お前は黒人になりたいんだな』とね。気持ちはわかるが、君のラストネームはリンだろ?」
– ケニオン・マーティン
「簡単な気持ちで黒人文化を真似するな」ということだろうか?何にせよ、このマーティンの発言にはユーザーたちから非難が殺到。ただ髪型を否定されたリン本人は、マーティンのような意見もあって当然と考えているようで、「むしろ感謝している」と問題の投稿に直接コメントを書き込んでいた。
「何も問題ないよ。君が僕の髪型を好きになる必要はないし、どんな意見を持とうが君の自由だ。むしろ正直な意見をシェアしてくれたことに感謝している。僕が頭をドレッドにして、君が中国語のタトゥーを入れている。僕はそれがすごく嬉しい。だってそれはリスペクトの証じゃないだろうか。マイノリティ人種として、僕たちがもっとお互いの文化を理解すれば、もっとメインストリームの社会に影響を与えられるようになると思うんだ。君がネッツそしてバスケットボールのためにしてくれたことには感謝している。子供の頃は、君のポスターを部屋に飾っていたよ」
– ジェレミー・リン
確かにマーティンは、「患得患失」という漢字のタトゥーを入れている。
なおリンは、ドレッドにすることについて、黒人文化に対する「cultural appropriation」(文化の盗用)に当たるのではないかという危惧があった様子。だがネッツのチームメイトやスタッフからの後押しを受け、大胆に髪型を変える決心をしたという。(プレイヤーズ・トリビューン)
「アジア系アメリカ人として、『文化の盗用』についてはそれなりに理解している。自分の文化が間違った形で認識された時にどんな気持ちになるか知っている。ハリウッド映画がアジア人をただのお飾りの脇役として扱ったり、アジア人の物語をアジア人のキャスト抜きで作ったりしたときは不愉快になる。文化の裏側にある人々や歴史について理解しようとしてもらえない時の辛い気持ちを知っている。世間からブルース・リーや“エビチャーハン”というステレオタイプを押し付けられた時にどれだけ傷つくのか体験した。これらを“ジョーク”として軽く流すのは簡単だが、最終的にそれらの感情は蓄積されていく。そしてそれが積もり積もると、自分が価値のない人間だという気持ちにさせられることさえある」
「ドレッドヘアにすることについての僕の考え方はおかしいのかもしれない。だけどこれが終わりではなく、僕たちが“違い”について対話するきっかけになればと思う。僕たちに必要なのは、批判的な見方を減らし、共感と思いやりの心を増やすこと。それには労力とコミュニケーションが必要だ」