オバマ大統領とマイケル・ジョーダンがメディアを通してディス合戦
アメリカはまったくユニークな国だ。スポーツ史上最高のアスリートが自国の最高権力者をテレビでディスり、言われた大統領もスルーせずにきっちりと反撃する。
事の発端は、10月に収録されたインタビュー番組でマイケル・ジョーダンが残した発言。番組ホストのアマド・ラシャドが「二人一組のゴルフマッチをするなら誰を選ぶ?」と質問した際に、無類のゴルフ好きで知られるジョーダンは次のように答えた:
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ジョーダン:「オバマとゴルフをしたことはないけど、やってみてもいいかな。いや待てよ、やっぱりやめだ。彼をリストから外そう。オバマはへっぽこだ。彼と一緒にプレーしたら日が暮れてしまう」
ラシャド:「本当にそんなこと言っていいのか?アメリカ合衆国大統領がへっぽこだって?」
ジョーダン:「心配するな。オバマがダメな政治家だと言ったわけじゃない。俺はただ彼がクソゴルファーだと言っているだけだ」
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現役時代のジョーダンはNBAのベストプレーヤーであると同時に、リーグ屈指のトラッシュトーカーでもあった。誰が相手でも容赦なく罵る。しかしそれがホワイトハウスにまで及ぼうとは…。しかも「クソゴルファー」とは言葉が汚い。
このジョーダンのディスに対して、バラク・オバマ大統領は現地3日にウィスコンシン州のラジオ番組に出演した際に、あくまでもやわらかく、かつ皮肉たっぷりな言葉で反撃した:
「恐らくマイケルは番組の視聴率を上げようとでも考えていたのだろう。マイケルが私よりもゴルフが上手いというのは疑いようのない事実だ。もちろん、過去15年間で私に1日2回ゴルフをするような時間があったなら話は変わっていたがね」
– バラク・オバマ
「私は君のように暇な人間じゃないんだ」ということか…。ジョーダンには遠く及ばないものの、オバマ大統領も大のゴルフ好きとして知られており、2009年の就任以来、多忙の合間を縫って200ラウンド以上プレーしたとされている。
大統領、さらにとどめの一撃:
「マイケルはボブキャッツ、もしくはホーネッツの運営にもっと精を出したほうがいいだろう」
– バラク・オバマ
ジョーダンが趣味のスキル面を弄ったのに対して、オバマ大統領は仕事のスキル面を指摘。最近ましになってきたとはいえ、2000年のウィザーズから始まったジョーダンのチーム経営者としてのキャリアは、とても完璧とは言い難い。さすがはスピーチの達人といわれるだけあって、反論しにくいような痛いところを突く。
ただ仕事面の話をするならば、オバマ大統領率いる民主党は翌日のアメリカ中間選挙で共和党に大敗を喫しているので、ジョーダンへの忠告はちょっとしたブーメランともいえる。
もちろんこの2人が本気でディスり合っているわけではない。オバマ大統領はジョーダンに皮肉を浴びせた後に、「でも彼のことは大好きだ。シカゴにチャンピョンシップをたくさんもたらしてくれたからね」と付け加えた。
大統領はシカゴ・ブルズの大ファンだ。今年1月に2013年度NBAチャンピョンのマイアミ・ヒートをホワイトハウスに招待した時には、「(ヒートのシーズンは)もう少しで72勝シーズンのブルズに匹敵するほど素晴らしかった」とスピーチし、「ヒートの健闘を祈る。ブルズと対戦するとき以外はだが」と軽いジョークを飛ばしている。
ちなみにマイケル・ジョーダンは、ビル・クリントン元大統領と一緒にゴルフをした際にも面と向かってトラッシュトークを仕掛けたらしい。バスケの神様は怖いもの知らずだ。
Thumbnail: double-double/Barack Obama via Flickr
ソース:「USA Today」