インディアナにランス劇場再び
3月末に古巣インディアナ・ペイサーズへと舞い戻ったランス・スティーブンソンにとって、移籍後初のホームゲームとなった現地4日のトロント・ラプターズ戦は、いろいろな意味でとてもスティーブンソンらしい試合内容だった。
この日は立ち上がりが悪く、第2Q中盤で最大19点ビハインドに陥ったペイサーズだが、第3Qにポール・ジョージの大活躍で一気に試合をひっくり返すと、第4Qはスティーブンソンがテイクオーバー。持ち前のハイテンションとプレイメイク力でチームを盛り上げながら、高確率でショットを成功させてピリオド12得点を獲得し、残り1分24秒にはトドメの一撃となるコーナースリーを沈める。
▼こういったファインプレイを数年前はよく見た
ここまでは、まさに理想的な古巣ホームデビューと言えるが、スタジアムの大歓声に感情が高ぶったのか、ランスは最後の最後で遺恨を残すようなプレイをやらかしてしまう。
第4Q残り8秒のショットクロックがオフになった時点で、リバウンドを確保したペイサーズの15点リード。すでにペイサーズの勝利は確定しており、通常なら勝っている方のチームは終了のブザーまでプレイを止めて時間を使い切るのが暗黙のルールとなっているが、スティーブンソンはノーマークの状態でしれっとレイアップを決める。この行為に腹を立てたラプターズのデマー・デローザンとP.J.タッカーがスティーブンソンに詰め寄り、試合はあと一歩で乱闘騒ぎの険悪ムードとなった。
試合後ラプターズのタッカーは、スティーブンソンのレイアップについて、「下品で礼儀知らず。このリーグにふさわしくない」と強く批判。一方のスティーブンソンは、「気持ちが昂っていた。謝りたいと思う。悪気はなかった。ただファンたちの声援に応えたかっただけだ」とラプターズに謝罪のコメントを残している。
最後にごたごたはあったものの、スティーブンソンのエネルギーがペイサーズにポジティブな影響をもたらしたことは間違いない。普段は冷静沈着なジェフ・ティーグも、この日は試合中に感情をむき出しにした。ゲームハイ35得点を記録したポール・ジョージは、「リードしている時に最後のレイアップを打たないのは鉄則」だとしながらも、勝因について訊ねられると「尽力、気力、そしてランス・スティーブンソン」とお騒がせ者のチームメイトを称えた。
暗黙のルールとはいえ、敵地でやるのはもちろん論外だが、ホームではどのチームも1度くらいやっている気がする。スティーブンソンに激高したラプターズ自身も、昨季に20点差で圧勝したホームゲームの最後にド派手なウィンドミルダンクを叩き込んでいた。
ボックススコア:「NBA」