NBA、選手たちがポストシーズン続行で賛成
人種差別や警察による暴力に対する抗議活動として、プレイオフが一時中断となっているNBA。選手たちは現地27日にミーティングを開き、プレイオフを続行することで合意した。
まさに、嵐のような48時間だった。
今回の騒動のきっかけとなったのは、ミルウォーキー・バックスによる試合のボイコット。本拠地を置くウィスコンシン州で黒人男性が警察官に銃撃された事件を受け、バックスは現地26日に予定されていたオーランド・マジックとのシリーズ第5戦を事前報告なしにティップオフ直前に棄権した。
26日には他にも2試合が予定されていたが、NBAとNBA選手会はバックスのアクションに連動して、すぐに残りの試合延期を決断。リーグ一丸となって、事件に対する抗議の姿勢を示した。
NBAの歴史で、プレイオフの試合が延期となったのは今回で3度目。1回目はキング牧師が暗殺された1968年、2回目はロドニー・キング事件をきっかけにロサンゼルス暴動が勃発した1992年だ。
今回のプレイオフ試合延期が過去2回と異なるのは、リーグ主導ではなく、選手主導だった点だろう。
なおバックスは、試合のボイコットを独断で決行した時点で、不戦敗を受け入れるつもりだったとのこと。そうなればバックス対マジックのシリーズは3勝2敗となっていたが、マジックは不戦勝ではなく試合の延期を選んだ。
26日には、試合延期後すぐに選手やコーチたちがミーティングの場を設け、残りのプレイオフを続行させるべきかどうかについて協議。話し合いは約3時間に及んだそうだが、意見が大きく割れたため、決断は翌日に持ち越されることとなったという。
ESPNによると、選手たちの多くはシーズン続行を希望していたようだが、その一方でレブロン・ジェイムスやカワイ・レナードら優勝候補チームのスーパースターらは中止を訴えていたという。
1回目のミーティングが解散した時点では、そのままバブルでのプレイオフが中止になる可能性が懸念されていた。それどころか、NBA団体交渉協約(CBA)の崩壊による来季のロックアウトまで危ぶまれていた。
だが一夜明けた27日の協議で、選手たちはプレイオフ再開に合意。金銭的な損失を回避するためという部分はあるだろうが、それ以上に、世間の注目を集められる「バブル」という情報発信のプラットフォームを大切にすべきという結論に至ったのかもしれない。
なお中断となっている今季プレイオフは、現地29日から再開される予定だ。
参考記事:「NBA」