オールスターブレイク後のNBA順位表: 1位はペイサーズで最下位がラプターズ
以下は、オールスターブレイクとトレードデッドライン以降に行われた9~12試合における各チームの成績順位(2月19日~3月12日)。意外なチームが調子を上げてきたり、逆に大転落したりと、なかなか興味深い結果となっている。
イースタンカンファレンス
2月19日~3月11日 | |||
チーム | W-L | 勝率 | |
1 | ペイサーズ | 8-1 | 88.9% |
2 | キャブス | 8-3 | 72.7% |
3 | ホークス | 7-3 | 70.0% |
4 | ヒート | 7-5 | 58.3% |
5 | セルティックス | 7-5 | 58.3% |
6 | ホーネッツ | 6-5 | 54.5% |
7 | ブルズ | 6-6 | 50.0% |
8 | マジック | 4-6 | 40.0% |
9 | バックス | 4-7 | 36.4% |
10 | ネッツ | 4-7 | 36.4% |
11 | ウィザーズ | 3-7 | 30.0% |
12 | ニックス | 2-8 | 20.0% |
13 | ピストンズ | 2-8 | 20.0% |
14 | シクサーズ | 2-9 | 18.2% |
15 | ラプターズ | 2-9 | 18.2% |
イーストでは昨季と真逆のような現象が起きている。
昨季はオールスター後に急失速したペイサーズだったが、今季は大幅に調子を上げてきた。ここ9試合でオフェンスとディフェンスの両方がシーズン前半と比べ物にならないほど向上しており、100ポゼッションあたりの得失点差では何とリーグ1位の+13点を記録している。
▼ペイサーズのオールスター前/後の得失点比較
得点 | 失点 | 成績 | |
AS前 (54試合) |
99.3 (リーグ26位) |
101.6 (リーグ11位) |
21-33 |
AS後 (9試合) |
105.1 (リーグ6位) |
92.1 (リーグ2位) |
8-1 |
※得点/失点はいずれも100ポゼッションあたりの平均数値(via NBA/stats)
この先も同じ調子を維持できるかは微妙なところ。オールスター後の9試合中6試合がホームゲームだった上、シクサーズ戦2回/ニックス戦2回と比較的イージーなスケジュールだった。それでもこの期間にウォリアーズ(カリー抜き)、ブルズ、キャブス(レブロンとアービング抜き)といったプレイオフチームを下しており、唯一の敗北はアウェイでのサンダー戦だけだ。
ペイサーズ好調の理由は、シーズン前半を怪我で離脱していたジョージ・ヒルが完全復帰し、ようやくリズムを取り戻し始めたことが大きく影響しているだろう。ここにポール・ジョージが復帰すれば、プレイオフで面白い戦いをみせてくれるかもしれない。
一方で、今季前半を36勝17敗の好成績で乗り切ったラプターズだが、オールスター後はリーグワーストの2勝9敗とメルトダウン状態に陥っている。それに伴い、順位も2月15日時点のイースト2位から4位まで転落した。アップダウンが昨季とはまるで正反対だ。
とはいえ、ラプターズのスケジュールが極めて過酷だったのも事実。11試合中7試合がプレイオフチームとの対戦で、1勝6敗を記録(スパーズ、サンダー、ロケッツ、マブス、キャブス、ウォリアーズ、ホークス)。しかも9試合がアウェイ戦だったことに加え、3試合でエースのカイル・ローリーを欠いていた。
ラプターズと同じく、前半絶好調だったウィザーズも3勝7敗と不調が続いている。強豪との対戦は10試合中わずか3試合だったにもかかわらず、平均得点で91.3点のロースコアを記録しており、とにかくオフェンスが振るわない。
またバックスも4勝7敗と調子を落としており、ラプターズ/ウィザーズの低迷をものにして順位を上げることができなかった。ブランドン・ナイトの放出は失敗だったか?
ウェスタンカンファレンス
2月19日~3月11日 | |||
チーム | W-L | 勝率 | |
1 | ジャズ | 8-2 | 80.0% |
2 | ペリカンズ | 9-3 | 75.0% |
3 | ウォリアーズ | 9-3 | 75.0% |
4 | ブレイザーズ | 6-3 | 66.7% |
5 | クリッパーズ | 7-4 | 63.6% |
6 | ロケッツ | 7-4 | 63.6% |
7 | サンダー | 7-4 | 63.6% |
8 | スパーズ | 6-4 | 60.0% |
9 | グリズリーズ | 6-5 | 54.5% |
10 | マブス | 5-6 | 45.5% |
11 | サンズ | 5-7 | 41.7% |
12 | レイカーズ | 4-6 | 40.0% |
13 | キングス | 4-7 | 36.4% |
14 | ナゲッツ | 4-8 | 33.3% |
15 | ウルブズ | 3-7 | 30.0% |
オールスター後のウェストで最大のサプライズはユタ・ジャズだろう(8勝2敗)。エネス・カンターを放出したことで得点力はやや低下したが、反対にディフェンス力はオールスター前のリーグワースト4位からリーグダントツ1位にまで一気に跳ね上がった。
実際に、ここ10試合でのジャズの平均失点はわずか83.4点。その間にブレイザーズ、スパーズ、グリズリーズなどの強豪を破っており、相手に90点以上を許したのは1試合しかない(レイカーズ)。
▼ジャズのディフェンス力
失点 |
相手のFG% | 成績 | |
AS前 (53試合) |
106.1 (リーグ27位) |
45.8% | 19-34 |
AS後 (10試合) |
89.6 (リーグ1位) |
39.7% | 8-2 |
ジャズのディフェンスが飛躍的に改善されたのは、移籍したカンターの代わりとしてルディー・ゴベールの出場時間が増えたからだろう。
ゴベールはオールスター後の10試合すべてにスタメン出場しており、出場時間はAS前の平均21.9分から33.5分へと大幅に上昇。それに伴い得点、リバウンド、ブロック数なども高くなった。
▼ゴベールのスタッツ比較
得点 | リバウンド | ブロック | |
AS前 (53試合) |
6.9 | 7.3 | 2.2 |
AS後 (10試合) |
9.7 | 13.3 | 3.0 |
2月1日以降の試合で、「ゴール下8フィート以内での相手チームのFG成功率」を50%以下に抑えているのは、ペイサーズとジャズのみ。リーグ屈指の高さでペイントエリアを死守するゴベールの存在が大きい。
▼ルディー・ゴベール、3月3日グリズリーズ戦ハイライト
ペリカンズも9勝3敗と、プレーオフ進出を目指してオールスター後に大奮闘している。正直、2月19日のトレードデッドラインにサンズが放出セールをやった時点で「ウェストの8位争いはサンダーで決まりだな」と思っていたが、この調子だと最後までどうなるのかわからなさそうだ。
その他のチームは相変わらずだが、マブスの低迷が少し気になるところ。チャンドラー・パーソンズ離脱の影響が大きかったことに加え、ラジョン・ロンドがシステムに上手くかみ合っていないような印象だ。
▼ロンド獲得前と後のマブス
得点 | 失点 | 成績 | |
ロンド獲得前 (27試合) |
113.6 | 105.1 | 19-8 |
ロンド獲得後 (39試合) |
102.9 | 101.2 | 22-17 |
※得点/失点はいずれも100ポゼッションあたりの平均数値
シーズン前半は70%以上(19勝8敗)を維持していたマブスの勝率だが、ロンド獲得後の39試合では56.4%(22勝17敗)に低下。ディフェンスは以前よりも良くなっているものの、リーグトップを誇っていた攻撃力が並程度に落ちてしまった。
ピック&ロール、パス回し、スペーシングが最大の武器だったマブスオフェンスにとって、ロンドのようにボールキープの時間が長く、シューティングが苦手なガードはあまり相性が良くなかったのかもしれない。だがプレイオフになれば、ウェストのエリートガードたちとマッチアップできるロンドのディフェンス力が必要になってくるのも確かだ。
Image by Keith Allison/Flickr
参考:「Reddit」